この所伊坂幸太郎さんの作品をまとめ買いしていたので、読んでなかった作品を一気読みする読書の秋。
今回は「アイネクイライネナハトムジーク」を読みました。
伊坂ファンにはお馴染みで、ジェットコースターのようなワクワクする伏線たっぷりな短編小説。
伊坂さんでは珍しい恋愛小説で、ドキドキと甘酸っぱい感情もあって楽しめましたよ。
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あらすじ
妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。
感想 評価7/10
数日前に読んだ「ジャイロスコープ」から選んだのはまた短編ものの小説。
伊坂さんは長編は映画化する作品も多く有名なんだけど、短編も切れ味鋭く、どの作品もカドがあって、まとまりも良くて、1冊通して読むと「えっ!?」と驚く凄い展開が待ち受けてる。
先述した「ジャイロスコープ」では、その読み終わった後の繋がりの弱さはあったんだけど、本作は期待を裏切らない出来。
登場人物はそこそこ居て、時代交差するので整理しない限り追いつかないと思うが、じっくりと読みながら納得していくと驚きの連続である。
「ラッシュライフ」のあの感動が短編で感じられるくらいに忙しい過去と未来。
そこにあるのは殺し屋でも、強盗でも泥棒でもなく、普通の会社員とボクサーである。
前の物語で出て来たなんの気ないエピソードが複雑に絡み合い、形を作っていくと、そこにはとんでもない未来があるんだね。
学生時代と今とを往復しながら驚きのパズルが完成する様な楽しい話。
悲観的な事もないし、ハッピーエンドが中心となるので読んでて苦になる事もない。
明日が楽しくなる小説だ。
よくもまぁここまで読者を楽しませることが出来るのだろうと感心する。
強いて言えば出てくるキャラが弱かった。
主人公の傍にいるキャラが強い印象の伊坂作品だが、今作は織田にしても、藤間にしても、どれもが弱かった。
そもそもの主人公は居ないので、難しいのだけど、陣内や黒澤みたいな存在が欲しかったと思う。
元々斉藤和義さんに提供する詞を小説にしたと言う事から始まったみたいなので、仕方がないのかもね。
そのまま歌になってしまったこの曲を聞いたら納得でした。
まさに歌う小説です。
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