2018年に映画になった話題の小説「十二人の死にたい子どもたち」を読了。
映画館で予告を見る限りエンタメ的なミステリーかな?と思って軽く読むつもりでしたが、全く予想外の展開が待ってたので、ラストは想像を超えてましたね。
若干ネタバレを挟みつつの感想を紹介します。
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冲方丁「十二人の死にたい子どもたち」小説の感想・ネタバレ
あらすじ
感想 評価6/10
十二人の子供がサイトで知り合って、集まって安楽死をしようとする最近の小説によくある物語。
映画化するのならエンタメ要素が抜群で、軽く読めるであろうと思い正月明けに読み始めたのですが…全然意味分からんくらいツマラネー。
最初の方はミステリー要素が濃く、集まった12人+一人の死体が出会う所からスタート。
いやミステリーで、12人のメインキャラって多すぎでしょうw
とりあえず現場がおかしいと言い出す中で、王道の誰が殺したのか?って犯人探しがはじまります。
最初はちょっとぼんやりとしか追えないようなキャラも、徐々に濃くなっていき輪郭がはっきりしてくるので、メモしなくても分かるようになります。
この辺りは、読者的にはありがたいですが、中盤のこのミステリーシーンの描写が無駄に長いのがこの話の欠点であると思う。
最終的には、誰がどうしたって言う犯人探しよりも重要なメッセージがあるのですが、その物語に辿り着くまでに殆どの人が諦めて離脱するよね。
実際に私も半分の時点で、「もう映画見ようっかなー」なんて思いましたから。
犯人も、この物語の実際に伝えたい思いはラストの2割くらいの部分で一気に紐解かれます。
正直ここからがこの本のメイン所であり、実際に読んで欲しいのはこの部分です。
子どもは、生まれてくるかどうか自分では選べない。
親を選ぶことなどできない。生まれて来ることさえなければ、苦しみを背負わずに済んだのに
避妊に失敗したとか、男に逆らえないからとか、単に教育がないからとか、あるいはただの無責任だとかで、まさに産み落とされてしまうのよ。
愛もなく、幸せもなく、健康すら与えられないにもかかわらず。そういう人が、この集いにもいるはずでしょう。
そういう苦しみを社会からなくすための制度なの。もちろん、今の社会では受け入れがたいものかもしれない。
病気や自分の生まれた環境、置かれた環境などに嫌気をさしたりして、生きる事への光を失った子供たちが集まってるのですが、今まで嫌いだったキャラの一人からこの発言が飛び出して驚きました。
私は、社会は変わるべきだと思っている。
そうして子どもを、親と同じ人生を繰り返すだけの存在にしてしまうんだわ。
いったいそんな生に何の価値があるというの?
いつだって彼らは、生まれてしまった者たちを持て余しているのよ。
生まれた者同士を争わせ、傷つけ合わせて、自分たちはただ傍観している。
そんな劣悪な社会をどうにかすべきなのよ。
そしてその最も効果的な解決方法は、生まれた私たち自身が、生まれてきたことに抗議することなの。私たちのこの生には何の意味もないと――
ラストの怒涛のこの流れにより、一気にこの小説のテーマというものが理解できたと思います。
思っていたミステリー要素は吹き飛ばされて、命と向き合う話になりました。
最後にこんな解説がありました。
なんかアマゾンレビューを見てると、本当に伝えたい部分が全く伝わってない様な悲しいレビューばかりで物語の設定自体が損してるんじゃないかと思います。
設定を複雑化しすぎて、伝えたい所まで辿り着いてないかなって気がしますね。
よく私も自分の生まれる環境は選べないんだけど、生きて行く道は自分で作れると言い聞かせています。
自分の持ってるコンプレックスを跳ね飛ばして、本当の生きたい道を生きる為には考え方ひとつで本当は変わると思ってます。
こんなにも便利な世の中なのに何故人はこんなにも生きづらくなったんだろうね。
命を助けて貰いたい人も沢山居るんだから、もっと自分の命を大切に感じて欲しいと思うきっかけになって欲しい作品です。