河合 雅司「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」感想

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昨年話題になってた本「未来の年表」を読みました。

日本の未来というか、現実で起こっている少子高齢化の状況を具体的に数字で表し、悲劇的な問題を連ねて紹介してくれる。

感覚では分かってるはずだったのに、ここまでも数値で表されるとショッキングな内容。

気になる所をピックアップしていきたいと思います。

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河合 雅司「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」

内容

日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか?
人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、「静かなる有事」である。

書店には、人口減少・少子高齢社会の課題を論じた書物が数多く並ぶ。しかし、テーマを絞って論じるにとどまり、恐るべき日本の未来図を時系列に沿って、かつ体系的に解き明かす書物はこれまでなかった。それを明確にしておかなければ、講ずべき適切な対策とは何なのかを判断できず、日本の行く末を変えることは叶わないはずなのに、である。

本書が、その画期的な役目を担おう。
第1部は「人口減少カレンダー」とし、年代順に何が起こるのかを時系列に沿って、かつ体系的に示した。未来の現実をデータで示した「基礎編」である。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として提示した。こちらは、全国の公務員・政策決定者にも向けた「応用編」と言える。

これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書!

内容抜粋

 

2017年 「おばあちゃん大国」に変化

いまや4人に一人が65歳以上、女性の3人に一人が65歳以上になっています。

2036年には3人に一人、2065年には2.5人に一人が高齢者。18さいにんこ

そうなると夫の死後、生活が回らない家庭が増え、生活保護で対応すると財政が破綻。

 

2018年 国立大学が倒産の危機へ

18歳人口が急落しはじめ、定員割れは当たり前。

学生の募集を停止する流れが発生する。

 

2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ

労働の期待の高まるAIにも人口減少の影響は大きく、IT関連産業の就職者が退職者の数を下回る。

AI開発スケジュールは停滞化し、実用化にも遅れが生じる。

 

また、高齢化を迎えるのは人だけではなく、生活を支える道路や水道、建築物などの社会インフラも老朽化が進んでる。

多くは1960年代の高度経済成長期に整備されたものであり、2033年には建設から50年を経過する。

利用者が減る中で、更新料はかさみ、収支の悪化が酷くなる。

水道料金は、2046年には64%の値上げとなる試算。

人口の少なくなった自治体では、生活の基盤さえも受益者負担となり、値上げや供給そのものを止めるケースも避けられない。

 

2021年 介護離職が大量発生する

高齢者の増加と共に介護保険料もうなぎ上りに増えていき、2025年には2000年の倍以上。

最も懸念されるのは、介護難民の大量発生。

政府が施設から、在宅へのシフトをしていくが、2025年には介護難民は43万人に達成する試算。

在宅介護の費用は月額平均7万円と高く、家計に重くのしかかる。

少子化により介護負担や金銭援助を頼める人がおらず、老いた親を一人で抱えるケースは珍しくない。

夫と妻がそれぞれの親を介護するケースも増えていく。

2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する

人口減少なのに世帯は増えていく。

子供と同居しない高齢者が増え、夫が亡くなり、一人暮らしの女性が増加。

未婚の増加で、より深刻化する。

離婚の増加も一人暮らしを増やす理由。

一人暮らしが日本の主流になれば、家族の消滅の危機である。

深刻なのが社会保障制度。一人暮らしの増加を織り込んでいない。

 

2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

労働人口が5年間で300万人も減る一方、団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代になるタイミング。

労働人口が減少すると、経済規模や労働市場が縮小する。

購買力のあるこの世代が減ったのでは消費も冷え込み、経済が停滞化する悪循環をもたらす。

人手不足はあらゆる仕事に降りかかる。

 

2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

全国民の6人に1人が75歳以上、毎年の死亡率は出生率の2倍。

人類史上経験したことのない高齢者大国の誕生。

認知症患者の増加や、社会保障費の膨張、「地域の足」や高齢者向けの住宅をどう確保するかなど、これまで問題視されてなかったような問題が2015年を前にして表面化する。

 

2025年 ついに東京都も人口減少へ

働き口の多い東京圏は、地方から若者を吸い上げることで、街としての若さを保ってきてた。

この為東京一極集中の是正策は、地方の雇用創出や地方大学の活性化など、若者の流入を如何に抑制するかが重要だった。

しかし、今後は地方にも若者がいなくなる…。

そうなると地方に住んでた高齢者が、東京圏に住む息子を頼り、同居するケースも出てくる。

こうした流れが強まると、新たな社会混乱が起こる。

一気に高齢化が進んでしまうと、医療機関や福祉施設の不足がより一層深刻になるからだ。

 

2026年 認知症患者が700万人規模に

認知症介護が急増。介護される側もする側も認知症という現実が待ち受ける。

2012年の時点で高齢者の7人に1人が認知症ともはや国民病となっている。

 

2027年 輸血用血液が不足する

今までは10-30代の血液が50歳以上に使われてきた。

献血が可能な年代は16-69歳だが、少子化によってこの年齢層全体が先細りとなっていく。

輸血用血液は80%が、がんなどの外科手術に使われるが、これにより血が足りなくて手術ができないケースが出てくる可能性も。

これは要するに「病院に行けば助かる」と言うこれまでの常識が通用しなくなる。

 

2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える

生産年齢人口が極端に減り、全国都道府県の80%が生産力不足に陥る。

生産力不足に陥れば、所得税や法人税といった地方税収の落ち込みに直結し、地方自治体は地方交付税への依存度を高めることになる。

生産力が不足すれば、住民の暮らしに不可欠なサービスも維持できなくなる。

スーパーも美容院も金融機関も、ある程度顧客の数が見込める地域にしか店を維持できない。

 

2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

空き家数が増大すれば、景観が悪くだけではなく、倒壊の危険性が増し、犯罪も誘発する。

廃墟ばかりの殺伐とした区域が広がれば、街全体のイメージが悪くなり、住民の流出も加速する。

人口の減少が避けられない事、それゆえに空き家対策が必要な事も分かっていながら、新築を促す人気政策を優先させたが故の顛末。

 

2039年 深刻な火葬場不足に陥る

国内死亡数が約168万人とピークを迎え、霊園不足という問題も降りかかる。

暗すぎる…。

 

2040年 自治体の半数が消滅の危機に

2017年秋田県の人口が100万人を割り込んだ。

2040年までに、全国の自治体の半数が将来的な「消滅」の危機にさらされる。

 

2042年 高齢者人口が4000万人とピークに

就職氷河期世代が老い、独居高齢者が大量に生まれる。

この世代はバブル崩壊後の不況時に新卒者だった事で、思うような職に就けなかった人が多く、低賃金のまま歳を重ねたものが少なくない。

 

2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に

地方よりも深刻な都市部の高齢化。

大都市部では総人口はあまり変わらず、高齢者の実数だけが増えていく。

 

2050年  世界的な食料争奪戦に巻き込まれる

日本が人口減少する一方、世界人口は増え続けて100億人に。

地球規模での食料不足をもたらす。

 

2065年 外国人が無人の国土を占拠する

現在の居住地域の約20%が「誰も住まない土地」になってしまう。

人の目が行き届かなる場所が増えれば、治安だけでなく、国防の危機にもつながる。

極端な例が離島だが、島民が減った所に外国人が大量に住めばそこはどこの国のものだか分からなくなる。

 

感想

書いてある内容を少しずつ抜粋してみましたが、ここまで具体的な数値で出されると本当にショッキングなレベル。

これが現在進行形で起こっている事だと思うと、楽観視する事が出来ずに恐怖以外の何物でもないでしょう。

これが100年後とかの世界ならまだ良いが、2-30年の間に起こる事だと思うと本当に今からでも自分達に出来る事を考えて置く事はとても大事になるでしょう。

 

そうなってくると「ライフ・シフト」みたいな本が一緒に生きてくるんだろう。

もっとこの現状を当たり前にしていき、国民全体が危機感をもって生きていく様にしていかないとね。

個人レベルでは解決しないだけにすごく無力感はあるのだけど、少しでもこの内容を人に伝えればと思います。

 

それにしても、最近は随分と現実的な本がベストセラーとなってますね。

良い事なんだけど、少し暗い国になってる気がします。

 

<追記>続編が出ました

続編が発売されました。

こちらはもっと身近な生活に起こることの年表となっています。

合わせて読むと非常にわかりやすいです。

関連記事:「未来の年表2」感想 少子高齢化の日本で、身近な世界に起きる事例

 

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