辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」を読んだ感想

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久しぶりの辻村作品は「子どもたちは夜と遊ぶ」を読みました。

冷たい校舎に続き、かなりの長編モノ。

それでは感想をどうぞご覧ください。

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辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」

あらすじ

大学受験間近の高校三年生が行方不明になった。家出か事件か。世間が騒ぐ中、木村浅葱(あさぎ)だけはその真相を知っていた。「『i』はとてもうまくやった。さあ、次は、俺の番ーー」。姿の見えない『i』に会うために、ゲームを始める浅葱。孤独の闇に支配された子どもたちが招く事件は、さらなる悲劇を呼んでいく。

感想 評価6/10

長い。とても長過ぎた物語

最初の掴みの部分の印象が弱く、いつもの通り読み進めるのが結構大変な辻村ワールド。

ただただ、大学生活がダラダラと続きながら少しずつ見えてくる物語。

最初の殺人が起き、次の殺人が起き、「I」と「θ」の関係性が出てくると物語は一気に進んできますが、若干終わりも想像できる展開に。

 

これはもしかしてサイコミステリーの王道のあのパターンじゃないのか?

頭の中に芽生えた展開は最後まで払拭できずにそのパターンに落ち着いた結末。

ただ話の重要な部分はそこじゃなかった。

もう1歩上を行く作者の罠がありました

 

落としておいて、もう1つ落として行く。

「おいおい、ここでそう来たか!」物語を複雑に収集させようとミスリードの上をいくんですね。

若干、秋先生が何かに関わってくるかと思ってましたが、見事に裏切られました。

 

そして、最後の月子に会いにいくあのシーンだけはこの物語で唯一と言って良いほど温かかった

この部分だけは「スロウハイツの神様」の環を思い出しました。

辻村さんのキャラに通じるものだと思うけども、主人公の女の子とても強いです。

 

それにしても今作はかなりの重さがあります。

人の命がどんどん削られていく殺人ゲームが繰り広げられるんで当然なんですが、その中での各キャラクターへの感情移入がすごい事。

どの作品も凄い繊細なタッチで描くキャラを描かれている分、軽く読める作品じゃないんですよね。

それでも、覚悟して読む事で最後には思いもよらぬ感情と出会う事ができます。

 

どんな人生を送ってたらこんな物語が描けるのかとても不思議な作者です。

どの作品も暗いので、人にお勧めするには適さないけど、ハマった人にはこれ以上突き刺さる物語も早々ないと思うので思い切って読んでみるのもお勧めです。

辻村ワールドハマります。

 

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