[2020年版]本屋大賞歴代ノミネート全作 ランキングとあらすじとをまとめて紹介

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本屋さんが「今、いちばん売りたい本!」を選ぶ本屋大賞。

2004年から始まったこの本屋大賞のノミネート作品を一気に紹介します。

あらすじや感想など知りたい情報をまとめましたので、読みたい本を見つける参考にしてみてください。

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[2020年版]本屋大賞歴代ノミネート全作 ランキングとあらすじとをまとめて紹介

本屋大賞とは?

全国の書店員さんが「今、いちばん売りたい本!」を選ぶ本屋大賞

2004年から始まった本屋独自の企画で、年を重ねる毎に認知度も広まってます。

ノミネート10作品を選ばれ、そこから大賞が発表される流れで、その年を代表する本が選ばれます。

どれもハズレのない名作ばかりで、本を読む時の参考にもなり本屋大賞作品を知っておくと話のネタにもなるのでお勧めです。

[2022年版]本屋大賞歴代受賞作のあらすじと感想をまとめて紹介

歴代受賞作はこちらで紹介しています。

2020年(17回)ランキング

1.凪良ゆう「流浪の月」(432点)

あらすじ
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

評価 8/10

2020年の本屋大賞受賞作品です。

前年の「そして、バトンは渡された」に続いてまたとんでも無い物語が大賞となりましたね。

と言っても物語の切り口はとてもシリアスで、途中で何度も読むのを止めたくなる辛さ。

そして、めちゃくちゃ嫌な奴が出てくるのに何度も嫌気がさしてくる・・・。

普通って事に対して悩み、見放され、社会から突き放される虚しさがとにかく辛い。

何が普通なのか分からないけど、当人たちの強さが希望をくれる光である。

ラストの「たくさん幸せになってね」って言葉にボロボロ泣かされました。

 

2.小川糸「ライオンのおやつ」(380点)

あらすじ
余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があった―。毎日をもっと大切にしたくなる物語。

評価 8/10

小川糸さんの描く余命を生きるホスピスの物語。

読む前から泣ける作品は避けて通りたかったのですが、あまりにも絶賛の嵐だったので読んで見たらやっぱり10回くらい泣いてしまいました。

余命1年とかって言われると命の儚さに失望してしまう立場なのに、今を生きることの大切さをこれだけ伝えられるとね。

自分一人で生きてるって思ってても、誰かに助けられ、自分も誰かにとっての光となる存在で居る事を忘れちゃいけない。

 

3.砥上裕將「線は、僕を描く」(327点)

あらすじ
水墨画という「線」の芸術が、深い悲しみの中に生きる「僕」を救う

評価 9/10

水墨画を描く絵師を題材にした、壮大なヒューマンドラマ。

とてもライトなタッチで読みやすい小説なんだけど、描いてる命の様がとても力強い作品。

心の再生とか、救いとかってかなり重くなる話を水墨画と対峙する事で、絵と一緒に表現するのが凄く上手かったですね。

恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」を思い出す様な描写で、デビュー作とは思えない表現力を感じます。

本当に終わって欲しくない位にあっという間の作品。

本屋大賞2020の3位の作品でしたが、個人的にはこれが獲って欲しかったと思う傑作でした。

 

4.横山秀夫「ノースライト」(277.5点)

あらすじ
一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに…。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた「タウトの椅子」を除けば…。このY邸でいったい何が起きたのか?

評価 7/10

横山さんの描く、緻密でとても繊細なヒューマンドラマ。

警察小説のイメージが強い著者に、こんな美しい物語が書けるんだなぁと正直驚きましたよ。

表現や構成は深みがあり素晴らしく重厚な物語は、読み解くのに時間は掛かるけど一級品の感動があります。

 

5.川越宗一「熱源」(214点)

あらすじ
故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。

評価 8/10

2019年、直木賞受賞作品

北海道、サハリンを舞台にアイヌ民族の史実を元に描いた壮大な物語です。

明治維新から昭和までの間にアイヌの地に起こった悲劇は、文明のもたらす人間の悲惨な現実。

平穏だった島に勝手に侵略して、誰かの国の民族に生まれ変わる運命って何だろう。

サハリンなんて北海道からすぐそこなのに、こんなにも近い存在の事まで知らないんだと思い知らされる内容でした。

圧倒的な熱量で描かれるので、最後まで本当に熱い熱がこもってました

日本人なら知っておきたい過去の歴史なので、いつか北海道のウポポイも行ってみたいです。

 

6.相沢沙呼「medium霊媒探偵城塚翡翠」(198点)

あらすじ
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた―。

評価 7/10

このミス2020大賞受賞作品

王道ミステリーとはまた違った現代感のある作風で、期待をある意味裏切ってくれた。

どんでん返しのネタバレ感は、相当匂ってましたがそこを裏切る怒涛の推理劇が最高。

ミステリーも進化してるなと思う、今の人も昔の人も楽しめる作品でした。

ただ切り口が斬新すぎて、受け付けない人も居るでしょう。

 

7.川上未映子「夏物語」(156点)

あらすじ
大阪の下町に生まれ育ち、東京で小説家として生きる38歳の夏子には「自分の子どもに会いたい」という願いが芽生えつつあった。パートナーなしの出産の方法を探るうち、精子提供で生まれ、本当の父を捜す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言い、子どもを願うことの残酷さを夏子に対して問いかける。この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか―。

8.知念実希人「ムゲンのi」(147.5点)

あらすじ
若き女医は不思議な出会いに導かれ、人智を超える奇病と事件に挑む―。夢幻の世界とそこに秘められた謎とは!?予測不可能な超大作ミステリー。

9.早見和真「店長がバカすぎて」(105.5点)

あらすじ
谷原京子(契約社員、時給998円)「マジ、辞めてやる!」でも、でも…本を愛する私たちの物語。

評価 6/10

よく言えば現代風の軽いタッチのヒューマンドラマ。出版業界のブラックコメディー的な一面もみせてくれました。

最後の最後まで伏線を引っ張ってくれてるので、ミステリー並みに気になるラスト。

まさか?の展開が待ってて楽しめました。

笑えて、心温まる話なんですが、もう少しキャラに魅力があれば評価上がるんですけどね。

 

10.青柳碧人「むかしむかしあるところに、死体がありました。」(91.5点)

あらすじ
鬼退治。桃太郎って…えっ、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が…ヤバすぎる!ここ掘れワンワン埋まっているのは…ええ!?昔ばなし×ミステリ。読めば必ず誰かに話したくなる、驚き連続の作品集!

評価 5/10

昔話を題材にしたミステリー小説。

パロディー作品かと思って読んでみたけど、中身はしっかりミステリーとなっています。

トリックや犯人に関しては、あれ?って思うかもしれませんが、昔読んだ物語を思い出しながら読んでみると面白いと思います。

 

2019年(16回)ランキング

1.瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」(435点)

あらすじ
血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった森宮優子、十七歳。だが、彼女はいつも愛されていた。身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。

評価 9/10

母親2人、父親3人と言う想像も出来ない設定の物語ですが、巧みな会話と人間味溢れるキャラの持ち味がとても面白く描かれております。

親の離婚ってネガィブにしか思えないのにこんなにも明るく受け止められて、何に繋がりも無い人達から愛情を注がれる子供の存在が凄いです。

「親になるって未来が二倍位以上になるってことだよって。

明日が二倍にできるなんて、すごいと思わない?」

森宮さん最高でした。梨花さんの想いにも泣かされるし、最後まで本当に温かいお話です。

 

2.小野寺史宜「ひと」(297.5点)

あらすじ
店を開くも失敗、交通事故死した調理師だった父。女手ひとつ、学食で働きながら東京の私大に進ませてくれた母。―その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の惣菜屋で、買おうとしていた最後のコロッケを見知らぬお婆さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。

3.深緑野分「ベルリンは晴れているか」(282.5点)

あらすじ
総統の自死、戦勝国による侵略、敗戦。何もかもが傷ついた街で少女と泥棒は何を見るのか。1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅出つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり―ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。最注目作家が放つ圧倒的スケールの歴史ミステリ。

4.森見登美彦「熱帯」(250.5点)

あらすじ
沈黙読書会で見かけた『熱帯』は、なんとも奇妙な本だった!謎の解明に勤しむ「学団」に、神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと、「部屋の中の部屋」…。東京の片隅で始まった冒険は京都を駆け抜け、満州の夜を潜り、数多の語り手の魂を乗り継いで、いざ謎の源流へ―!

5.平野啓一郎「ある男」(242.5点)

あらすじ
彼女の夫は「大祐」ではなかった。夫であったはずの男は、まったく違う人物であった…。平成の終わりに世に問う、衝撃の長編小説。

評価 8/10

マチネの終わりにの作者である平野さん。

期待は高かったけど、期待以上にミステリアスで面白い物語。

かなり構成を練られてるので、最後まで目が離せない展開に驚かされました。

人の人生の裏側を知り、それでも人を愛せるのかと言う、なかなかヘビーな話だったけど、人間味が溢れて素晴らしい小説でした。

 

6.木皿泉「さざなみのよる」(239.5点)

あらすじ
「小国ナスミ、享年43。」宿り、去って、やがてまたやって来る―感動と祝福の物語。

7.三浦しをん「愛なき世界」(208.5点)

あらすじ
恋のライバルは草でした(マジ)。洋食屋の見習い・藤丸陽太は、植物学研究者をめざす本村紗英に恋をした。しかし本村は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。見た目が殺し屋のような教授、イモに惚れ込む老教授、サボテンを巨大化させる後輩男子など、愛おしい変わり者たちに支えられ、地道な研究に情熱を燃やす日々…人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!?道端の草も人間も、必死に生きている。世界の隅っこが輝きだす傑作長篇。

8.知念実希人「ひとつむぎの手」(167.5点)

あらすじ
大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば…。さらに、赤石が論文データを捏造したと告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。個性的な研修医達の指導をし、告発の真相を探るなか、怪文書が巻き起こした騒動は、やがて予想もしなかった事態へと発展していく―。

9.芦沢央「火のないところに煙は」(151.5点)

あらすじ
神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の「私」は、かつての凄惨な体験を振り返る。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。「私」は、事件を小説として発表することで情報を集めようとするが―。予測不可能な展開とどんでん返しの波状攻撃にあなたも必ず騙される。一気読み不可避、寝不足必至!!読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!

評価 7/10

これは、フィクション?ノンフィクション??

マジでなんやねん。夜読み始めたのを後悔したわ。

このジワジワくる恐怖感とリアリティーが怖さを爆増させてくれるんですよ。

「もう怪談を止めてくれ」って言いたくなるけども、読み進めたくなる圧巻のサスペンスホラー小説でした。

 

10.伊坂幸太郎「フーガはユーガ」(136.5点)

あらすじ
常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。

2018年(15回)ランキング

1.辻村深月『かがみの孤城』(651.0点)

あらすじ
どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―

評価 10/10

辻村さんの最高傑作だと思う、様々な要素が詰め込まれた辻村ワールドが体験できます。

また子供の孤独で暗い話か…と読み始めた物語も、その孤独を超えて自分の世界を破れるきっかけを与えてくれるドラえもんの様な素晴らしい物語が出来上がってるんだなと感動してしまいましたね。

辻村ワールド独特の孤独感と、闇を心に抱えた子供たちが出会った孤城が舞台で、その中で起こる1年の中で明かされる衝撃の事実に泣かされます。

あまりにも世界に没頭できるので、あの分厚い本もあっという間に読めます。

辻村深月「かがみの孤城」感想 7人の孤独が時を超えて繋がる心温まる物語

2.柚月裕子『盤上の向日葵』(283.5点)

あらすじ
埼玉県天木山山中で発見された白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志していた新米刑事・佐野のコンビが捜査を開始した。それから四か月、二人は厳冬の山形県天童市に降り立つ。向かう先は、将棋界のみならず、日本中から注目を浴びる竜昇戦の会場だ。世紀の対局の先に待っていた、壮絶な結末とは―!?

3.今村昌弘『屍人荘の殺人』(255.0点)

あらすじ
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と明智恭介は、曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子とペンション紫湛荘を訪れる。しかし想像だにしなかった事態に見舞われ、一同は籠城を余儀なくされた。緊張と混乱の夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。それは連続殺人の幕開けだった!奇想と謎解きの驚異の融合。

評価 8/10

初っ端からこんな設定を目にして、めっちゃシンプルに王道かよと早くも期待がw

物語自体はラノベに近い軽さで読みやすいストーリー性と会話やキャラで非常にペラペラと読み進んで行くんだけど、急に訪れたたった一つの出来事を界に思考停止させられた・・・。

全く予想してなかったので一瞬チープなネタものかと思ったけど、あくまでもクローズドサークル(雪山や孤島と同じで閉じ込める設定)をソレによって作ってしまったのだ。

久しぶりに斬新なミステリーでした。

今村昌弘「屍人荘の殺人」感想 本格ミステリーの先を行くエンタメ性が凄い

4.原田マハ『たゆたえども沈まず』(227.0点)

あらすじ
19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホと、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇跡の出会いが“世界を変える一枚”を生んだ。読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。

5.伊坂幸太郎『AX アックス』(221.5点)

あらすじ
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。物語の新たな可能性を切り拓いた、エンタテインメント小説の最高峰!

評価 7/10

殺し屋シリーズ第3弾という事で、名作グラスホッパーから始まったあの物語。

今までの物語は本当にプロの組織的な感じだったのだけど、今回は一般の家庭で普通に生活しながらも、裏の顔を持ったパパとしての殺し屋。なんか身近に居そうな存在w

殺し屋×恐妻家=唯一無二の物語でした。

伊坂幸太郎「AX」感想 恐妻家な殺し屋の極上エンタメ作

6.塩田武士『騙し絵の牙』(214.0点)

あらすじ
出版大手「薫風社」で、カルチャー誌の編集長を務める速水輝也。笑顔とユーモア、ウィットに富んだ会話で周囲を魅了する男だ。ある夜、上司から廃刊の可能性を匂わされたことを機に組織に翻弄されていく。社内抗争、大物作家の大型連載、企業タイアップ…。飄々とした「笑顔」の裏で、次第に「別の顔」が浮かび上がり―。

7.今村夏子『星の子』(166.0点)

あらすじ
林ちひろは、中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく…。野間文芸新人賞を受賞。

8.知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』(162.5点)

あらすじ
広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女はなぜ死んだのか?幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?希代のトリックメーカーが描く、今世紀最高の恋愛ミステリー。

9.村山早紀『百貨の魔法』(162.0点)

あらすじ
時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける―。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語!

10.小川糸『キラキラ共和国』(88.5点)

あらすじ
亡き夫からの詫び状、憧れの文豪からのラブレター、大切な人への遺言…。祖母の跡を継ぎ、鎌倉で文具店を営む鳩子のもとに、今日も代書の依頼が舞い込みます。バーバラ婦人や男爵とのご近所付き合いも、お裾分けをしたり、七福神巡りをしたりと心地よい距離感。そんな穏やかで幸せな日々がずっと続くと思っていたけれど。『ツバキ文具店』続編。

2017年(14回)ランキング

1.恩田陸『蜜蜂と遠雷』(378.5点)

あらすじ
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。

評価 8/10

大好きな恩田陸さんは、常に最高傑作の上をいく新刊が出てきます。

現時点での最高傑作は直木賞&本屋大賞を受賞したこちら。

もう、キラッキラの物語で、音楽が綺麗に溢れてる物語が文字だけで聴こえてくる様な内容です。

流石恩田さんと言える繊細で無駄のない文章は、疲れる事なく次々と読み進める事ができます。

読んだ後の余韻に浸りながら、彼らの音楽にまた触れたいなと思いました。

恩田陸「蜜蜂と遠雷」の感想 直木賞&本屋大賞W受賞の快挙作品

2.森絵都『みかづき』(331点)

あらすじ
昭和36年。放課後の用務員室で子供たちに勉強を教えていた大島吾郎は、ある少女の母・千明に見込まれ、学習塾を開くことに。この決断が、何代にもわたる大島家の波瀾万丈の人生の幕開けとなる。二人は結婚し、娘も誕生。戦後のベビーブームや高度経済成長の時流に乗り、急速に塾は成長していくが…。

評価 9/10

親がすべきは一つよ。人生は生きる価値があるってことを、自分の人生をもって教えるだけ

日本の教育の歴史が語られていて、学ぶと言うことを真剣に問う小説です。

家族と教育という面白い視点から描かれているのですが、日本の将来に対してとても情熱がこもっていてすごく考えさせられるんですよね。

時代は変わっても教育の重要性は変わらないと思うし、私たちはもっと学ばないといけないと思わせる作品です。

 

3.塩田武士『罪の声』(305点)

あらすじ
京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それは日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始め―。圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。

評価7/10 

前から気になってた小説なのですが、結構なボリュームと圧倒的な筆力で読み進めるのがかなり面白かったです。

グリコ・森永事件を題材にしてフィクションなのか、ノンフィクションなのか分からないレベルで凄い圧倒されます。

ラストがとても切なく、題名の意味を思うととても辛くなる。

 

4.小川糸『ツバキ文具店』(302.5点)

あらすじ
鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙…。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。

5.村山早紀『桜風堂ものがたり』(261点)

あらすじ
万引き事件がきっかけで、長年勤めた書店を辞めることになった青年。しかしある町で訪れた書店で、彼に思いがけない出会いが…。田舎町の書店の心温まる奇跡。

6.原田マハ『暗幕のゲルニカ』(249.5点)

あらすじ
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑶子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑶子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒涛のアートサスペンス!

7.西加奈子『i』(160点)

あらすじ
「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまでは―。「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!

8.森見登美彦『夜行』(122.5点)

あらすじ
十年前、同じ英会話スクールに通う僕たち六人の仲間は、連れだって鞍馬の火祭を見物にでかけ、その夜、長谷川さんは姿を消した。十年ぶりに皆で火祭に出かけることになったのは、誰ひとり彼女を忘れられなかったからだ。夜は、雨とともに更けてゆき、それぞれが旅先で出会った不思議な出来事を語り始める。尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡。僕たちは、全員が道中で岸田道生という銅版画家の描いた「夜行」という連作絵画を目にしていた。その絵は、永遠に続く夜を思わせた―。果たして、長谷川さんに再会できるだろうか。怪談×青春×ファンタジー、かつてない物語。

9.村田沙耶香『コンビニ人間』(70.5点)

あらすじ
「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。

10.川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』(68.5点)

あらすじ
お願いします、あの日に戻らせてください―。「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」不思議なうわさのある喫茶店フニクリフニクラを訪れた4人の女性たちが紡ぐ、家族と、愛と、後悔の物語。

2016年(13回)ランキング

1.宮下 奈都「羊と鋼の森」(372点)

あらすじ
高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。

評価 7/10

ピアノの調律師を目指した男の成長と葛藤を描いた物語。

普段クローズアップされない調律師というアンダーグラウンドの話ですが、めっちゃ緻密に描かれていて世界観が凄い。

苦悩の中での成長過程だったり、自分の出来る事に一生懸命に打ち込むのっていつの時代もキラキラしてるよね。

芯を持ったプロの職人に出会える人生はとても羨ましいですよ。

宮下奈都「羊と鋼の森」感想 とても静かな音の森に感じる素晴らしき世界

2.住野よる『君の膵臓をたべたい』(327.5点)

あらすじ
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!

評価 6/10

言わずと知れた代表作であり、ベストセラーになり、映画にもなった泣ける青春小説。

めっちゃタイトルが神秘的すぎて、いったいどんな物語だろうか?と期待して読んだのですが、めっちゃ世の中にありがちな余命何年的な話。

ただ期待外れ感とは別に用意された秘密が幾つかあって、ラストはどんでん返しがあり色んな意味で期待を裏切られました。

住野よる「君の膵臓をたべたい」感想・ネタバレ “キミスイ”映画化決定で号泣確実

3.中脇初枝『世界の果てのこどもたち』(274点)

あらすじ
珠子、茉莉、美子―。三人の出会いは、戦時中の満洲だった。生まれも境遇も何もかも違った三人が、戦争によって巡り会い、確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、三人は日本と中国でそれぞれの道を歩む。時や場所を超えても変わらないものがある―。二〇一六年本屋大賞第三位の傑作、遂に登場。

4.西川美和『永い言い訳』(261点)

あらすじ
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、妻が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。悲劇の主人公を装うことしかできない幸夫は、妻の親友の夫・陽一に、子供たちの世話を申し出た。妻を亡くした男と、母を亡くした子供たち。その不思議な出会いから、「新しい家族」の物語が動きはじめる。

5.辻村深月『朝が来る』(229.5点)

あらすじ
長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ栗原清和・佐都子夫婦は民間団体の仲介で男子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平仮な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった―。

6.米澤穂信『王とサーカス』(226.5点)

あらすじ
海外旅行特集の仕事を受け、太刀洗万智はネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王殺害事件が勃発する。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクション、米澤ミステリの記念碑的傑作。

7.深緑野分『戦場のコックたち』(223点)

あらすじ
合衆国陸軍の特技兵、19歳のティムはノルマンディー降下作戦で初陣を果たす。軍隊では軽んじられがちなコックの仕事は、戦闘に参加しながら炊事をこなすというハードなものだった。個性豊かな仲間たちと支え合いながら、ティムは戦地で見つけたささやかな謎を解き明かすことを心の慰めとするが。戦場という非日常における「日常の謎」を描き読書人の絶賛を浴びた著者の初長編。

8.東山彰良『流』(99点)

あらすじ
一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で?無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。

9.中村文則『教団X』(93点)

あらすじ
突然自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人を中心とした宗教団体、そして彼らと敵対する、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。二人のカリスマの間で蠢く、悦楽と革命への誘惑。四人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。

10.又吉直樹『火花』(46点)

あらすじ
売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。

2015年(12回)ランキング

1.上橋菜穂子「鹿の王 」(383点)

あらすじ
強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!?たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる―!

2.西加奈子『サラバ!』(310点)

あらすじ
僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。

評価 8/10

「あなたが信じるものを誰かに決めさせてはいけないわ」

壮絶な自分探しの物語。

国も人種も宗教も違う民族を通して上手く展開させる事で、家族の姿と自分のあるべき姿を改めて知らせる上手い展開でした。

日陰で日の目を見ない様に生きて行く無難な姿を見せていた歩の人生が、30歳を過ぎてどん底に落ちる感じが堪らなく残酷な感じです。

西加奈子「サラバ」感想 芯を持って、信じて生きる大切さを知る

3.辻村深月『ハケンアニメ!』(309.5点)

あらすじ
1クールごとに組む相手を変え、新タイトルに挑むアニメ制作の現場は、新たな季節を迎えた。伝説の天才アニメ監督・王子千晴を口説いたプロデューサー・有科香屋子は、早くも面倒を抱えている。同クールには気鋭の監督・斎藤瞳と敏腕プロデューサー・行城理が手掛ける話題作もオンエアされる。ファンの心を掴むのはどの作品か。声優、アニメーターから物語の舞台まで巻き込んで、熱いドラマが舞台裏でも繰り広げられる―。

4.柚木麻子『本屋さんのダイアナ』(239.0点)

あらすじ
私の名は、大穴。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた―。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が…。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。

5.月村了衛『土漠の花』(236.5点)

あらすじ
ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。そこに命を狙われている女性が駆け込んだ時、自衛官達の命を賭けた戦闘が始まった。一人の女性を守ることは自分達の誇りを取り戻すことでもあった。極限状況での男達の確執と友情。次々と試練が降りかかる中、生きて帰ることはできるか?一気読み必至の日本推理作家協会賞受賞作!

6.吉田修一『怒り』(231.0点)

あらすじ
殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!

評価 7/10

一つの事件が千葉、東京、沖縄それぞれの生活に絡んでくる物語の作り方。

前半部分では見えないものが下巻で繋がっていくのですが、ミステリーよりもヒューマンドラマ寄りなのでそこまで派手さはありません。

犯人に関して最後まで気になる展開なんだけども、ラストの結構地味な終わり方でした。

「悪人」と比べると難しいテーマですよね。

 

7.米澤穂信『満願』(185.5点)

あらすじ
もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

8.阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』(155.0点)

あらすじ
謎の疫病「村上病」。太平洋戦争末期に蔵王山中に墜落した米軍機。世界同時多発テロ計画。これらに端を発する陰謀に巻き込まれた相葉と井ノ原は、少年時代の思い出を胸に勝負に出た。ちりばめられた伏線が反撃のために収束する、謎とアクション満載の100%徹夜エンタメ!巻末に書き下ろし掌編小説を収録する。

9.伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』(131.0点)

あらすじ
妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

評価 7/10

エピソードが複雑に絡み合い、形を作っていくと、そこにはとんでもない未来がある。

学生時代と今とを往復しながら驚きのパズルが完成する様な楽しい話。

悲観的な事もないし、ハッピーエンドが中心となるので読んでて苦になる事もない。

明日が楽しくなる小説 でした。

伊坂幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」感想 世代を超えた恋愛短編作

10.川村元気『億男』(42.5点)

あらすじ
「お金と幸せの答えを教えてあげよう」。宝くじで三億円を当てた図書館司書の一男は、大富豪となった親友・九十九のもとを訪ねる。だがその直後、九十九が三億円と共に失踪。ソクラテス、ドストエフスキー、福沢諭吉、ビル・ゲイツ。数々の偉人たちの言葉をくぐり抜け、一男のお金をめぐる三十日間の冒険が始まる。

評価 6/10

「人生に必要なものは、勇気と想像力。 それと、ほんの少しのお金です」(チャップリン)

3億円の宝くじが当たった主人公の目の前から、親友と共に一夜にして消えてしまったお金。

親友を探しながら、本当の幸せとは?と言う考えをめぐる旅に出ます。

会う人会う人がお金によって人生を狂わされたエピソードを持ち、お金の本質について色々と語ってくれます。

読みやすく大衆向けの作品を作るのが上手い川村さんの作品。

川村元気「億男」感想 お金と幸せの関係性を教えてくれる物語

2014年(11回)ランキング

1.和田竜「村上海賊の娘」(366.5点)

あらすじ
時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊―。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く―。本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞!木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編。

評価 6/10

時代小説をエンターテイメントにして、没頭できる世界観が素晴らしいので長い作品も頭の中で映像化されて一気読みできる作品。

まるでパイレーツオブカリビアン的な面白さを堪能できるアクション映画級の小説です。

個性の強いキャラが一層際立ってるのがより面白く読ませてくれます。

ただ序盤は良かったけど、少し長すぎた感じもするので後半はダレてしまいました。

 

2.木皿泉『昨夜のカレー、明日のパン』(332.0点)

あらすじ
7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。

3.辻村深月『島はぼくらと』(299.0点)

あらすじ
瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。

4.岩城けい『さようなら、オレンジ』(274.5点)

あらすじ
オーストラリアに流れてきたアフリカ難民サリマは、精肉作業場で働きつつ二人の息子を育てている。母語の読み書きすらままならない彼女は、職業訓練校で英語を学びはじめる。そこには、自分の夢をあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。人間としての尊厳と“言葉”を取り戻し異郷で逞しく生きる主人公の姿を描いて、大きな感動をよんだ話題作。

5.万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』(267.5点)

あらすじ
天下は豊臣から徳川へ。度重なる不運の末、あえなく伊賀を追い出され、京でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その運命は一個の「ひょうたん」との出会いを経て、大きくうねり始める。時代の波に呑みこまれる風太郎の行く先に漂う、ふたたびの戦乱の気配。めくるめく奇想の忍び絵巻は、大坂の陣へと突入する!

6.長岡弘樹『教場』(243.0点)

あらすじ
希望に燃え、警察学校初任科第九十八期短期過程に入校した生徒たち。彼らを待ち受けていたのは、冷厳な白髪教官・風間公親だった。半年にわたり続く過酷な訓練と授業、厳格な規律、外出不可という環境のなかで、わずかなミスもすべて見抜いてしまう風間に睨まれれば最後、即日退校という結果が待っている。必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩。それが、警察学校だ。

評価 7/10

1話ごとに隠された謎や人間の闇に潜んだ部分が沢山出てくる短編小説。

ホラー並に黒い闇がチラついて読んでて恐ろしさを感じる作品です。

人間性には欠けるけど、ストーリーの上手さや伏線の部分が非常に良く出来てます。

 

7.柚木麻子『ランチのアッコちゃん』(221点)

あらすじ
地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!

8.いとうせいこう『想像ラジオ』(213.5点)

あらすじ
深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。

9.森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』(156.0点)

あらすじ
社会人2年目の小和田君は、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしをすることが唯一の趣味。そんな彼の前に狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて…。宵山で賑やかな京都を舞台に果てしなく長い冒険が始まる。

10.中村文則『去年の冬、きみと別れ』(136.0点)

あらすじ
イターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか?それは本当に殺人だったのか?何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。それぞれの狂気が暴走し、真相は迷宮入りするかに思われた。だが―。日本と世界を震撼させた著者が紡ぐ、戦慄のミステリー!

2013年(10回)ランキング

1.百田尚樹「海賊とよばれた男」(278.0点)

あらすじ
敗戦の夏、異端の石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は、なにもかも失い、残ったのは借金のみ。そのうえ石油会社大手から排斥され売る油もない。しかし国岡商店は社員ひとりたりとも馘首せず、旧海軍の残油集めなどで糊口をしのぎながら、たくましく再生していく。20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とはいったい何者か―実在の人物をモデルにした本格歴史経済小説。

評価 10/10

「永遠の0」の作者である百田さんも名作を沢山ありすぎますが、個人的にはこれが一番感動しました。

出光の創設者 出光佐三の人生を描いたノンフィクションのドキュメンタリー的な大作です。

今の日本があるのは、こんな素晴らしい人達がこの国の為に生きてたんだと知れる素晴らしい筆力を持った情熱的な1冊。

歴史的な背景に魅力的な人物を沢山描き、誰もが感動する様な構成を見事に構築した物語。

映画だけじゃなくて、小説を読んでもっと深く知って欲しいと思える素晴らしい人物の成し遂げた功績をぜひ読んでみて下さい。

たしかに国岡商店の事業はすべてなくなった。残っているのは借金ばかりだ。

しかしわが社には、何よりも素晴らしい財産が残っている。一千名にものぼる店員たちだ。

彼らこそ、国岡商店の最高の資材であり財産である。

この素晴らしい考え方が好き。

[2024年版]読書初心者におすすめ小説10本紹介[ミステリー・青春・恋愛・ホラー]

2.横山秀夫『64』(266.0点)

あらすじ
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。

評価 9/10

横山さんの最高傑作は、とても濃密で物語の構成が素晴らしい作品です。

先の読めない前半から、ジェットコースターの様にラストの圧倒的な展開は本当に見事。

この年の1位と2位は本当に選ぶのが難しいですよ。

 

3.原田マハ『楽園のカンヴァス』(238.5点)

あらすじ
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。

評価 7/10

とにかく構成が良く出来た話で、結構作品の時間軸がズレるのですが、これがとても巧妙で時折タイムスリップした気分で当時の様子を絵画と共に感じられるんです。

特に二人の読んでいる古書に描かれた物語全7章。

これを読んでいる時のタイムスリップ感が凄い

絵画を知るにはその作品を見る事。

美術品に込められた想いってこんなにも深いんですね。

 

4.中脇初枝『きみはいい子』(212.5点)

あらすじ
17時まで帰ってくるなと言われ校庭で待つ児童と彼を見つめる新任教師の物語をはじめ、娘に手を上げてしまう母親とママ友など、同じ町、同じ雨の日の午後を描く五篇からなる連作短篇集。家族が抱える傷とそこに射すたしかな光を描き出す心を揺さぶる物語。

5.西加奈子『ふくわらい』(182.0点)

あらすじ
暗闇での福笑いを唯一の趣味とする編集者の鳴木戸定。愛情も友情も知らず不器用に生きる彼女は、愛を語る盲目の男性や、必死に自分を表現するレスラーとの触れ合いの中で、自分を包み込む愛すべき世界に気づいていく。

6.窪美澄『晴天の迷いクジラ』(167.0点)

あらすじ
デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた―。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。

7.宮部みゆき『ソロモンの偽証』(149.5点)

あらすじ
クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か、自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった――。ひとつの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、真実を求める生徒たちを描いた、現代ミステリーの最高峰。

評価 6/10

長い長い宮部さんの物語。マジで長すぎる・・・。

所々の伏線からの展開は読み手の想像力を最大限に引き立てるのだけど、途中のダレ感が強すぎるわ。

最後に読者も一緒に救って欲しかったです。

8.川村元気『世界から猫が消えたなら』(145.5点)

あらすじ
郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引を持ちかけてきた。僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計…僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。

評価 6/10

余命を1日伸す代わりにこの世から大事なものが消えていく。

この世から自分が消えようとする中で、代わりに消えていくもの。

最後は自分の死の決意を父に私に行く姿がなんとも言えないのだ。

大衆向けにした読みやすさと、読み手の感情を揺さぶる表現の絶妙さが際立ってましたね。

 

9.山田宗樹『百年法』(139.5点)

あらすじ
不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て死ななければならない―国力増大を目的とした「百年法」が成立した日本に、最初の百年目が訪れようとしていた。処置を施され、外見は若いままの母親は「強制の死」の前夜、最愛の息子との別れを惜しみ、官僚は葛藤を胸に責務をこなし、政治家は思惑のため暗躍し、テロリストは力で理想の世界を目指す…。来るべき時代と翻弄される人間を描く、衝撃のエンターテインメント!

10.伊藤計劃、円城塔『屍者の帝国』(109点)

あらすじ
屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―伊藤計劃の未完の絶筆を円城塔が完成させた奇蹟の超大作。

11.冲方丁『光圀伝』(108点)

あらすじ
「なぜあの男を自らの手で殺めることになったのか」老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎でその経緯と己の生涯を綴り始める。父・頼房の過酷な“試練”と対峙し、優れた兄・頼重を差し置いて世継ぎに選ばれたことに悩む幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れる中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて文事の魅力に取り憑かれた光圀は、学を競う朋友を得て、詩の天下を目指す―。誰も見たことのない“水戸黄門”伝、開幕。

2012年(9回)ランキング

1.三浦しをん 「舟を編む」(510.0点)

あらすじ
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

評価 8/10

辞書を作る淡々とした仕事の物語。

真面目な主人公が淡々と仕事に打ち込み、終わりのない辞書作りを全うする。

言葉を扱う仕事の難しさだったり、仕事への姿勢だったり、これを読んでから色々と考えさせられましたね。

映画も名作なので、どちらもお勧めです。

 

2.高野和明『ジェノサイド』(355.5点)

あらすじ
ラクで戦うアメリカ人傭兵と、日本で薬学を専攻する大学院生。まったく無関係だった二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。そして合衆国大統領が発動させた機密作戦の行方は―人類の未来を賭けた戦いを、緻密なリアリティと圧倒的なスケールで描き切り、その衝撃的なストーリーで出版界を震撼させた超弩級エンタテインメント。

評価 7/10

世界は広いけど、全く絡み合いそうにない所で人の運命が絡み合う壮大なエンタメ小説です。

SF小説でありながらも、そのストーリー性の面白さに圧倒されるスケールのデカさ。

1位があの作品じゃなかったら勝ってたのにな~。

 

3.大島真寿美『ピエタ』(324.0点)

あらすじ
18世紀ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で、“合奏・合唱の娘たち”を指導していた。ある日教え子エミーリアのもとに恩師の訃報が届く―史実を基に、女性たちの交流と絆を瑞々しく描いた傑作。

4.中田永一『くちびるに歌を』(265.0点)

あらすじ
長崎県五島列島のある中学校に、産休に入る音楽教師の代理で「自称ニート」の美人ピアニスト柏木はやってきた。ほどなく合唱部の顧問を受け持つことになるが、彼女に魅せられ、男子生徒の入部が殺到。それまで女子部員しかいなかった合唱部は、練習にまじめに打ち込まない男子と女子の対立が激化する。一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課した。そこには、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた。

5.小川洋子『人質の朗読会』(213.0点)

あらすじ
遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた―慎み深い拍手で始まる朗読会。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして…。人生のささやかな一場面が鮮やかに甦る。それは絶望ではなく、今日を生きるための物語。しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

6.沼田まほかる『ユリゴコロ』(208.0点)

あらすじ
ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか―。絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!各誌ミステリーランキングの上位に輝き、第14回大藪春彦賞を受賞した超話題作!

評価 6/10

不気味すぎる物語で、映画も見ると一層怖くなります・・・。

こんな怖すぎる人間は、受け付けない人も多いと思うので、リアルなホラー寄りの作品嫌いにはオススメしません。

 

7.宮下奈都『誰かが足りない』(173.5点)

あらすじ
おいしいと評判のレストラン「ハライ」に、同じ時に訪れた6組の客の物語。仕事に納得がいっていない。認知症の症状がではじめた。ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない。人の失敗の匂いをかぎとってしまう―「足りない」を抱える事情はさまざまだが、前を向いて一歩踏み出そうとする時、おいしい料理とともに始めたい。

8.三上延『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』(153.0点)

あらすじ
鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。

評価 6/10

本好きの事件簿を描いたラノベ作品。

表紙から感じるイメージよりはしっかりした作品ですが、物語の展開自体は軽めで読みやすいです。

コナンくん的な展開が待ってますw

 

9.万城目学『偉大なる、しゅららぼん』(137.5点)

あらすじ
高校入学を機に、琵琶湖畔の街・石走にある日出本家にやって来た日出涼介。本家の跡継ぎとしてお城の本丸御殿に住まう淡十郎の“ナチュラルボーン殿様”な言動にふりまわされる日々が始まった。実は、日出家は琵琶湖から特殊な力を授かった一族。日出家のライバルで、同様に特殊な「力」をもつ棗家の長男・棗広海と、涼介、淡十郎が同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がる…!

10.百田尚樹『プリズム』(72.0点)

あらすじ
ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。「僕は、実際には存在しない男なんです」。感涙必至の、かつてない長編恋愛サスペンス。

2011年(8回)ランキング

1.東川 篤哉 「謎解きはディナーのあとで 」(386.5点)

あらすじ
国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。「お嬢様の目は節穴でございますか?」―暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。二〇一一年ベストセラー一位のミステリ、待望の文庫化。書き下ろしショートショート『宝生家の異常な愛情』収録。

評価 4/10

この年になんでこれが選ばれたのか分からないエンタメ感の強い作品

確かに面白いのだけど、本屋大賞の傾向の中で一番浮いてると思います。

 

2.窪美澄『ふがいない僕は空を見た』(354.5点)

あらすじ
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。

3.森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(310点)

あらすじ
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした―。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。

4.百田尚樹『錨を上げよ』(307.5点)

あらすじ
戦争が終わってちょうど十年目、いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。高度経済成長、六十年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、よど号ハイジャック事件、日本列島改造論、石油ショック―激動の昭和の時代、生まれながらの野生児、作田又三は、人生という荒海を渡っていく。いざ、海図なき嵐の海へ。さあ、錨を上げよ!疾風怒濤の2400枚。

5.奥泉光『シューマンの指』(270.5点)

あらすじ
音大のピアノ科を目指していた私は、後輩の天才ピアニスト永嶺修人が語るシューマンの音楽に傾倒していく。浪人が決まった春休みの夜、高校の音楽室で修人が演奏する「幻想曲」を偶然耳にした直後、プールで女子高生が殺された。その後、指を切断したはずの修人が海外でピアノを弾いていたという噂が…。

6.梓崎優『叫びと祈り』(263点)

あらすじ
砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作を巻頭に据え、美しいラストまで突き進む驚異の連作推理。各種年末ミステリ・ランキングの上位を席捲、本屋大賞にノミネートされるなど破格の評価を受けた大型新人のデビュー作。

7.貴志祐介『悪の教典』(259.5点)

あらすじ
学校という閉鎖空間に放たれた殺人鬼は高いIQと好青年の貌を持っていた。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー。

評価 5/10

上巻と下巻の温度差の激しい物語。

サイコホラーから、サバイバルな殺人劇への変化で一気に冷めました。

エンタメ作品としては良いけど、話の流れとしてはかなり残念なお話でした。

 

8.夏川草介『神様のカルテ2』(259点)

あらすじ
栗原一止は、夏目漱石を敬愛する信州の内科医だ。「二十四時間、三百六十五日対応」を掲げる本庄病院で連日連夜不眠不休の診療を続けている。四月、東京の大病院から新任の医師・進藤辰也がやってくる。一止と信濃大学の同級生だった進藤は、かつて“医学部の良心”と呼ばれたほどの男である。だが着任後の進藤に、病棟内で信じがたい悪評が立つ。失意する一止をさらなる試練が襲う。副部長先生の突然の発病―この病院で、再び奇蹟は起きるのか。

9.有川浩『キケン』(241点)

あらすじ
ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称「キケン」。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。

10.有川浩『ストーリー・セラー』(202点)

あらすじ
妻の病名は、致死性脳劣化症候群。複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至る不治の病。生きたければ、作家という仕事を辞めるしかない。医師に宣告された夫は妻に言った。「どんなひどいことになっても俺がいる。だから家に帰ろう」。妻は小説を書かない人生を選べるのか。極限に追い詰められた夫婦を描く、心震えるストーリー。

2010年(7回)ランキング

1.冲方丁「天地明瞭」(384.5点)

あらすじ
徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。

評価 7/10

江戸時代に日本独自の暦を作った数学者のお話。

先に映画を観て素晴らしかったので、本を読んだらかなり緻密に描かれておりした。

何気なく毎日カレンダーをめくってるけど、暦ってこうやって考えられたのかと感動しましたね。

人によってはちょっと長すぎてリタイヤするかもしれないので、映画を先に見てストーリーを知っておくと良いです。

 

2.夏川草介『神様のカルテ』(294点)

あらすじ
栗原一止は信州にある「二四時間、三六五日対応」の病院で働く、悲しむことが苦手な二十九歳の内科医である。職場は常に医師不足、四十時間連続勤務だって珍しくない。ぐるぐるぐるぐる回る毎日に、母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば最先端の医療を学ぶことができる。だが大学病院では診てもらえない、死を前にした患者のために働く医者でありたい…。悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。

評価 7/10

ほんわかして、とても美しい医療小説です。

それでいてユーモアある文体と人柄を感じさせてくれる先生とハルさんの存在が印象的でした。

宮崎あおいさんの出演する映画もお勧めです。

 

3.吉田修一『横道世之介』(270点)

あらすじ
なんにもなかった。だけどなんだか楽しかった。懐かしい時間。愛しい人々。吉田修一が描く、風薫る80年代青春群像。

4.三浦しをん『神去なあなあ日常』(256点)

あらすじ
美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ~!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。

5.小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』(237点)

あらすじ
大きくなること、それは悲劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」として奇跡のような棋譜を生み出す。静謐にして美しい、小川ワールドの到達点を示す傑作。

6.川上未映子『ヘヴン』(220点)

あらすじ
「大きくなること、それは悲劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」として奇跡のような棋譜を生み出す。静謐にして美しい、小川ワールドの到達点を示す傑作。

7.藤谷治『船に乗れ!』(209点)

あらすじ
「大きくなること、それは悲劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」として奇跡のような棋譜を生み出す。静謐にして美しい、小川ワールドの到達点を示す傑作。

8.有川浩『植物図鑑』(182.5点)

あらすじ
お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です―。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。

9.東野圭吾『新参者』(130.5点)

あらすじ
日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。

評価 7/10

加賀恭一郎シリーズ第8弾は、人情溢れる日本橋署の下町物語。

本来は殺人事件の捜査なんだけど、本質とは別のところにあるサイドストーリーが見事すぎて、それに感動してたらいつの間にか犯人出てきたw

短編で繰り広げられる伏線が見事に繋がった瞬間にやられた感がすごい。

加賀さんのシリーズの中でも、一番読みやすいと思います。

 

10.村上春樹『1Q84』(91.5点)

あらすじ
1Q84年―私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう。青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。…ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。

2009年(6回)ランキング

2009年(第6回)湊かなえ「告白」(411点)

あらすじ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!

評価 7/10

デビュー作にして、スマッシュヒットした大人気小説です。

こちらの小説で湊かなえさんを知り、初めて読みました。

最後の最後まで物語の展望が読めない所や著者独特のグロさが興味を惹くので、あっという間に読み終わります。

読後感はなんとも言えない後味の悪さですが、湊かなえと言えばイヤミスですw。

[2024年版]湊かなえ 作品一覧を順番にご紹介 おすすめ・感想・新作随時更新

2. 和田竜『のぼうの城』(328点)

あらすじ
時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。

評価 7/10

漫画みたいに読みやすい歴史物のエンタメ小説。

ある程度史実に基づいてるのですが、くだけた感じがよても万人受けする話になってます。

キャラが立ちまくってるので想像力を掻き立てるし、とにかくユーモアで楽しめる作品でした。

 

3.柳広司『ジョーカー・ゲーム』(243.5点)

あらすじ
結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。

4.池上永一『テンペスト』(228.5点)

あらすじ
19世紀の琉球王朝。嵐吹く晩に生まれた真鶴は、厳しい父の命に従い、男として生まれ変わることを決心する。名を孫寧温と改め、13歳の若さで難関の科試を突破。憧れの首里城に上がった寧温は、評定所筆者として次次と王府の財政改革に着手する。しかし、王室に仕える男と女たちの激しい嫉妬と非難が寧温の前に立ちはだかる…。伏魔殿と化した王宮を懸命に生き抜く波瀾万丈の人生が、春の雷のごとく、いま幕を開けた。

5.百田尚樹『ボックス!』(214.5点)

あらすじ
天才的なボクシングセンス、だけどお調子者の鏑矢義平と、勉強は得意、だけど運動は苦手な木樽優紀。真逆な性格の幼なじみ二人が恵美寿高校ボクシング部に入部した。一年生ながら圧倒的な強さで勝ち続ける鏑矢の目標は「高校3年間で八冠を獲ること」。だが彼の前に高校ボクシング界最強の男、稲村が現れる。

評価 7/10

天才 VS   努力。

挫折や困難を乗り越えていく、とても爽やかな青春ボクシング漫画です。

ストーリー性もさることながら、ボクシングの場面がとてもカッコいい作品です。

 

6.貴志祐介『新世界より』(207.5点)

あらすじ
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力」を得るに至った人類が手にした平和。念動力の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた…隠された先史文明の一端を知るまでは。

評価 8/10

SF小説の中でも特に好きなのが、この新世界よりですね。

とにかく構成が見事な長編な作品なので、長さを感じずに気づいたら読み終わってる感じで一気に読める面白さ。

物語の設定がリアルに面白い世界ので、人類の手にした世界がこうなると怖いよなって思いながら読んでみて欲しい。

 

7.飯嶋和一『出星前夜』(203.5点)

あらすじ
寛永十四年、突如として島原を襲った傷寒禍(伝染病)が一帯の小児らの命を次々に奪い始めた。有家村の庄屋・鬼塚甚右衛門は旧知の医師・外崎恵舟を長崎から呼ぶが、代官所はあろうことかこの医師を追放。これに抗議して少年ら数十名が村外れの教会堂跡に集結した。折しも代官所で火事が発生し、代官所はこれを彼らの仕業と決めつけ討伐に向かうが、逆に少年らの銃撃に遭って九人が死亡、四人が重傷を負う。松倉家入封以来二十年、無抵抗をつらぬいてきた旧キリシタンの土地で起こった、それは初めての武装蜂起だった…。

8.天童荒太『悼む人』(203.5点)

あらすじ
聖者なのか、偽善者か?「悼む人」は誰ですか。七年の歳月を費やした著者の最高到達点!善と悪、生と死が交錯する至高の愛の物語。

評価 7/10

人の死を悼むと言う事を深く考えさせられた作品です。

とても重くて辛い作品なんですが、天道さんの作品はそんな辛い時に読むと救いがありました。

 

9.東野圭吾『流星の絆』(139点)

あらすじ
何者かに両親を惨殺された三兄妹は、流れ星に仇討ちを誓う。14年後、互いのことだけを信じ、世間を敵視しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。三人で完璧に仕掛けはずの復讐計画。その最大の誤算は、妹の恋心だった。涙があふれる衝撃の真相。

評価7/10

ドラマにもなった3兄弟の絆が印象深い傑作ミステリー。

ドラマの印象が深すぎて、キャラと笑いが入ってしまうのが残念だけど、シリアス感のあるミステリーと兄弟の絆が合間って凄くいい作品です。

 

10.伊坂幸太郎『モダンタイムス』(135点)

あらすじ
恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。

評価 6/10

まるで未来を予想してる様な作品ですが、本当に世の中はそう変わっていくかもしれないからこそ怖い。

エンタメ作品としては人を選ぶ内容なんですが、これは現代の問題点を色々と指摘してるので、とても面白い作品ですよ。

 

2008年(5回)ランキング

1.伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」(509.5点)

あらすじ
衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない―。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

評価6/10

伊坂さんらしいエンタメ感の強い物語なんですが、個人的には評価はあまり高くありません。

物語の規模がでかすぎるのに終わりが・・・って感じ。

なんだかラストにスカッとしない展開です。

伊坂幸太郎さんのファンですが、正直この作品で本屋大賞?って感じです。

もっと素晴らしい作品多いので、参考にしてください。

[2024年版] 伊坂幸太郎 作品一覧・感想を順番にご紹介(新作・おすすめ) 

2. 近藤史恵『サクリファイス』(312点)

あらすじ
ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと―。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!大藪春彦賞受賞作。

3. 森見登美彦『有頂天家族』(280.5点)

あらすじ
「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー。

4.吉田修一『悪人』(233.5点)

あらすじ
保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。

5.金城一紀『映画篇』(227.5点)

あらすじ
友情、正義、ロマンス、復讐、そして、笑いと感動―。五つの物語の力が、あなたを救う。今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった、完全無欠のエンターテインメント!書き下ろし最新小説集。

6. 角田光代『八日目の蝉』(225点)

あらすじ
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。

評価 6/10

とても儚い偽りの母子の物語です。

ずっしりと重い感情を胸に突きつけられる作品ですが、読む人によって感じ方が様々になると思います。

映画もオススメです。

 

7. 桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』(213.5点)

あらすじ
“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。―千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く一族の姿を鮮やかに描き上げた稀代の雄編。

8. 万城目学『鹿男あをによし』(196.5点)

あらすじ
大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ―出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。

9.桜庭一樹『私の男』(129.5点)

落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった十歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から二人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く第138回直木賞受賞作。

10. 重松清『カシオペアの丘で』(126点)

あらすじ
丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった―。肺の悪性腫瘍を告知された三十九歳の秋、俊介は二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再会と贖罪の物語が、静かに始まる。

2007年(4回)ランキング

1.佐藤 多佳子「一瞬の風になれ」(475.5点)

あらすじ
春野台高校陸上部、一年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感…。ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第一部、スタート。

2.森見 登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(455点)

あらすじ
私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ!先輩、奇遇ですねえ!」…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。

3.三浦 しをん『風が強く吹いている』(247点)

あらすじ
箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。

4.伊坂 幸太郎『終末のフール』(228点)

あらすじ
八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。

5.有川 浩『図書館戦争』(176点)

あらすじ
2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る“王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート。

6.万城目 学『鴨川ホルモー』(175点)

あらすじ
このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。

評価 7/10

筆者の作品は、映画化もしているので結構メジャーな作品が多いのですが、本書が初見。

めちゃくちゃエンターテイメント要素が多くて、こんなフィクションが楽しく読めたのは最高だったと思います。

鴨川デルタは早速遊びに行きました。

映画も是非チェックしてください。

 

7.小川 洋子『ミーナの行進』(152.5点)

あらすじ
美しくて、かよわくて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない―ミュンヘンオリンピックの年に芦屋の洋館で育まれた、ふたりの少女と、家族の物語。あたたかなイラストとともに小川洋子が贈る、新たなる傑作長編小説。

8.劇団ひとり『陰日向に咲く』(139点)

あらすじ
ホームレスを夢見る会社員。売れないアイドルを一途に応援する青年。合コンで知り合った男に遊ばれる女子大生。老婆に詐欺を働く借金まみれのギャンブラー。場末の舞台に立つお笑いコンビ。彼らの陽のあたらない人生に、時にひとすじの光が差す―。不器用に生きる人々をユーモア溢れる筆致で描き、高い評価を獲得した感動の小説デヴュー作。

9.三崎 亜記『失われた町』(127.5点)

あらすじ
30年に一度起こる町の「消滅」。忽然と「失われる」住民たち。喪失を抱えて「日常」を生きる残された人々の悲しみ、そして願いとは。大切な誰かを失った者。帰るべき場所を失った者。「消滅」によって人生を狂わされた人々が、運命に導かれるように「失われた町」月ケ瀬に集う。消滅を食い止めることはできるのか?悲しみを乗り越えることはできるのか?時を超えた人と人のつながりを描く、最新長編900枚。

10.宮部 みゆき『名もなき毒』(89点)

あらすじ
今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだった。解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、経歴詐称とクレーマーぶりに振り回される。折しも街では無差別と思しき連続毒殺事件が注目を集めていた。人の心の陥穽を圧倒的な筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。

2006年(3回)ランキング

1.リリーフランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(279点)

あらすじ
オカン。ボクの一番大切な人。ボクのために自分の人生を生きた人―。四歳のときにオトンと別居、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らした。やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々。還暦を過ぎたオカンは、ひとりガンと闘っていた。「東京でまた一緒に住もうか?」。ボクが一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来る―。大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作。

2.奥田 英朗『サウスバウンド』(196.5点)

あらすじ
小学校6年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても変わってるという。父が会社員だったことはない。物心ついた頃からたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、よその家はそうではないことを知った。父は昔、過激派とかいうのだったらしく、今でも騒動ばかり起こして、僕たち家族を困らせるのだが…。

3.伊坂 幸太郎『死神の精度』(190点)

あらすじ
CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。

評価7/10

死神の千葉が出てくるへんてこりんな物語。

短編集ながらもちょっとずつ伏線があるので、最後には不覚にも涙しましたよ

サラッと読めるんだけど、ほんと内容は素晴らしくて最高ですよ。

 

4.東野 圭吾『容疑者Xの献身』(184.5点)

あらすじ
天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

評価10/10

東野圭吾さんの超名作にして、直木賞受賞作です。

人を守るための完全犯罪の行方にある、隠された献身的な愛。

全てが分かった時には、目からこぼれ落ちる涙が止まりません。

 

5.重松 清『その日のまえに』(179.5点)

あらすじ
僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。

6.島本 理生『ナラタージュ』(162点)

あらすじ
お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある―大学二年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。後輩たちの舞台に客演を頼まれた彼女は、先生への思いを再認識する。そして彼の中にも、消せない炎がまぎれもなくあることを知った泉は―。早熟の天才少女小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学。

7.町田康『告白』(152.5点)

あらすじ
人はなぜ人を殺すのか―。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。

8.古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』(152点)

あらすじ
キスカ島に残された四頭の軍用犬北・正勇・勝・エクスプロージョン。彼らを始祖として交配と混血を繰りかえし繁殖した無数のイヌが国境も海峡も思想も越境し、“戦争の世紀=20世紀”を駆けぬける。炸裂する言葉のスピードと熱が衝撃的な、エンタテインメントと純文学の幸福なハイブリッド。文庫版あとがきとイヌ系図を新に収録。

9.桂望実『県庁の星』(141点)

あらすじ
ここでなにが学べる?県民の食生活か?―県庁に勤めるエリートが、民間企業に出向することになった。選ばれたのは、二万九千人の職員の中から、たった六名。そんな栄光を勝ち取った野村聡だが、研修先は、なんと片田舎のスーパーだった。臨機応変な対応が求められる現場で、頭のかたい偏差値エリートは鼻つまみ者として扱われるが…。

10.西加奈子『さくら』(135点)

あらすじ
ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。超美形の妹・美貴は、内に篭もった。母は肥満化し、酒に溺れた。僕も実家を離れ、東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾にピンク色の花びらをつけていたことから「サクラ」と名付けられた十二歳の老犬が一匹だけ。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏に薄い鉛筆文字で書かれた家出した父からの手紙が握られていた―。二十六万部突破のロングセラー、待望の文庫化。

11.伊坂幸太郎『魔王』(103点)

あらすじ
会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

評価7/10

漫画にもなった人気な物語。

この頃からちょっと作風を変えて来てるんだけど、内容的には社会派でもありつつ読みやすい作品です

こんな視点を持って世の中を見てるのが凄いなぁと思いましたよ。

 

2005年(2回)ランキング

1.恩田陸「夜のピクニック」(374点)

あらすじ
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

評価 8/10

夜のピクニックって不思議なタイトルだけど、読んでみると高校最後にこんなイベントがやりたかったなぁと青春時代を懐かしむ物語。

青春感が強くて、むちゃくちゃ感情が揺さぶられて心温かくなる物語です。

恩田陸さんは、本当に温かい作品ばかりでお勧めが多いです

恩田陸「夜のピクニック」感想 青春の一時を思い出そう

2.荻原 浩『明日の記憶』(302点)

あらすじ
広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう!

3.梨木 香歩『家守綺譚』(274点)

あらすじ
庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。

4.絲山 秋子『袋小路の男』(185点)

あらすじ
高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、大谷日向子の思いは募っていった。大学に進学して、社会人になっても、指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。

5.伊坂幸太郎『チルドレン』(155点)

あらすじ
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

評価8/10

愛されキャラの陣内さんの出てくる名作といえばこちら。

伊坂作品はキャラ立ちした人の会話聞いてるだけで面白いのだけど、中でも本書の陣内とラッシュライフ等でお馴染み黒澤の存在は大きいです。

続編の「サブマリン」と合わせて読んで欲しい作品です。

 

6.角田 光代『対岸の彼女』(153点)

あらすじ
女の人を区別するのは女の人だ。既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。立場が違うということは、ときに女同士を決裂させる。

7.雫井 脩介『犯人に告ぐ』(138点)

あらすじ
闇に身を潜め続ける犯人。川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった―史上初の劇場型捜査が幕を開ける。第7回大藪春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位に輝くなど、2004年のミステリーシーンを席巻した警察小説の傑作。

8.飯嶋 和一『黄金旅風』(102点)

あらすじ
江戸初期、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に、二人の大馬鹿者が生まれた。「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたその二人は、やがて、権力に蹂躙される長崎の人々の、光り輝く守護神となった。海神に愛でられし者たちの熱き奔流のような生涯。

9.三浦 しをん『私が語りはじめた彼は』(92点)

あらすじ
私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘―それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか…。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。

10.市川 拓司『そのときは彼によろしく』(74点)

あらすじ
小さなアクアプラント・ショップを営むぼくの前に、ある夜、一人の美しい女性が現れる。店のドアに貼ってあったアルバイト募集のチラシを手にして―。採用を告げると彼女は言った。「私住むところがないの。ここに寝泊まりしてもいい?」出会うこと、好きになること、思いやること、思い続けること、そして、別れること…。

2004年(1回)ランキング

1.小川洋子 「博士の愛した数式 」(202点)

あらすじ
「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。

2.横山 秀夫『クライマーズ・ハイ』(148点)

あらすじ
1985年、御巣鷹山で日航機が墜落。その日、北関東新聞の古参記者・悠木は同僚の元クライマー・安西に誘われ、谷川岳に屹立する衝立岩に挑むはずだった。未曾有の事故。全権デスクを命じられ、約束を違えた悠木だが、ひとり出発したはずの安西はなぜか山と無関係の歓楽街で倒れ、意識が戻らない。「下りるために登るんさ」という謎の言葉を残して――。若き日、新聞記者として現場を取材した著者みずからの実体験を昇華しきった、感動あふれる壮大な長編小説。

評価 7/10

日航機の墜落事故を描いた壮絶な小説。

緊迫感が文字の中からしっかりと伝わってきて、記者たちの苦悩と葛藤がヒリヒリと伝わってきます。

命を掛ける男達はこんな所にも居たんだなぁと、当時を知らない世代にも伝わる名作です。

 

3.伊坂 幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(111点)

あらすじ
大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。

評価8/10

設定も見事で、伏線も見事で、物語の展開も見事な1冊でした。

傑作ミステリー作品としては、かなりレベル高くて、面白い作品ですよ。

伊坂さんの中でも5本の指に必ず入る名作。

 

4.森 絵都 『永遠の出口』(109点)

あらすじ
「私は、〈永遠〉という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。こてんぱんにくだけちった高校での初恋……。どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。

5.伊坂 幸太郎『重力ピエロ』(99点)

あらすじ
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

6.石田 衣良『4TEEN』(76点)

あらすじ
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。

7.よしもと ばなな『デッドエンドの思い出』(54点)

あらすじ
幸せってどういう感じなの?

人の心の中にはどれだけの宝が眠っているのだろうか——。時が流れても忘れ得ぬ、かけがえのない一瞬を鮮やかに描いた傑作短篇集

8.福井 晴敏『終戦のローレライ』(51点)

あらすじ
昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。

9.京極 夏彦『陰摩羅鬼の瑕』(38点)

あらすじ
「花嫁が死ぬんですよ、呪いで」謎の洋館「鳥の城」の主、「伯爵」こと由良昂允は、四度も妻を婚礼の夜に失っていた。五人目の花嫁の命を守るべく、探偵・榎木津礼二郎と、小説家・関口巽は、昂允の依頼を受け、白樺湖に向かう。館の住人達の前にして、榎木津はいきなり叫んだ。「おお! そこに人殺しが居る!」

10.矢作 俊彦『ららら科學の子』(38点)

あらすじ
男は殺人未遂に問われ、中国に密航した。文化大革命、下放をへて帰還した「彼」は30年ぶりの日本に何を見たのか。携帯電話に戸惑い、不思議な女子高生に付きまとわれ、変貌した街並をひたすら彷徨する。1968年の『今』から未来世紀の東京へ―。30年の時を超え50歳の少年は二本の足で飛翔する。覚醒の時が訪れるのを信じて。

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