[2024年版]瀬尾まいこ 全作品一覧を順番にご紹介(新作・おすすめ・感想)

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本屋大賞でも話題の瀬尾まいこさんの小説・エッセイなどの全作品や読んだ感想など紹介します。

本屋大賞受賞作でもある「そして、バトンは渡された」以外にも、温かな人間味溢れる作品が多く、読んだ後にほっこりさせて貰える清々しさが心地の良い作者です。

元気になれる本だったり、泣けて、笑える物語が多く、楽しみながら考えさせられる場面も多いです。

瀬尾まいこ 全作品一覧を順番にご紹介(新作・おすすめ・感想)

1.卵の緒(2002年)

あらすじ
僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7’s blood」)。優しい気持ちになれる感動の作品集。

評価 7/10

瀬尾さんにしか書けない独特の言葉や表現方法が好き。

そんな作品の原点となるデビュー作がこれ。

なんで先に読まなかったのか・・って思うほどに、今の瀬尾さんの作品の根底が見える作品。

2話の短編からなるそれぞれ異なる家族の形。

生まれた境遇がどれだけ不幸でも、それを感じさせないポジティブさ全開。

常に前向きだし、物語の悲しい気分が描き方一つで、晴れ晴れするんですよね。

七生が七子と別れる際に髪を切ってと言ったワンシーン。

「・・・ただ、七生がここにいたっていう感覚を、ちょっとの間、リアルにのこしておきたいだけ」

なんか感情がふわっと広がるのが、心地いい読後感にもつながりました。

 

2.図書館の神様(2003年)

あらすじ
思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問になった。…「垣内君って、どうして文芸部なの?」「文学が好きだからです」「まさか」!…清く正しくまっすぐな青春を送ってきた“私”には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。ほかに、単行本未収録の短篇「雲行き」を収録。

評価 6/10

瀬尾さんの書かれた2作目の作品との事ですが、17年前の作品には思えない今に繋がるキャラのユーモア溢れる言葉のセンスと文体のポップさが滲み出ています。

学校が舞台だけど、メインは文芸部の図書室。

時折出てくる先生や生徒、教室の雰囲気に懐かしさを感じつつ、裏で不倫してる先生が悩む姿が物語と反比例していて面白い。

最後には本当に上手くまとまってて、1時間位で軽く読める名作ですね。

 

3.天国はまだ遠く(2004年)

あらすじ
誰も私を知らない遠い場所へ―そして、そこで終わりにする。…はずだったけど、たどり着いた山奥の民宿で、自分の中の何かが変わった。あなたの心にじんわりしみる気鋭の作家の最新長篇。

評価 6/10

仕事や人間関係に疲れた女性が死に場所を求めて日本海側の民宿にたどり着くが、そこで出会った人や景色、時間などに触れ合って自分を再生していく物語です。

瀬尾さん自身の教師の経験の中で赴任した田舎の学校での思い出ストーリーだそうです。

実家に帰ったような安心感と、懐かしさを感じる1冊でしたね。

疲れた時にまた読みたいと思う優しさが詰まってます。

 

4.幸福な食卓(2004年)

あらすじ
佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいて……。それぞれ切なさを抱えながら、つながり合い再生していく家族の姿を温かく描く。吉川英治文学新人賞受賞作。

評価 8/10

独特の文体で家族のあり方を描く瀬尾まいこワールド。

父は父を辞め、母は家出してる普通じゃない家庭の話なんだけど、重い話も描き方が上手いのでめっちゃ気楽に楽しく読めます。

ラストは号泣モノだし、沢山日常に転がった気づきを貰った素敵な本

自分もいろいろな人に守られて生きてきたんだなぁと改めて思いました。

 

5.優しい音楽(2005年)

あらすじ
駅のホームでいきなり声をかけられ、それがきっかけで恋人になったタケルと千波。だが千波はタケルが自分の家族に会うことを頑なに拒む。その理由を知ったタケルは深く衝撃を受けるが、ある決意を胸に抱く―表題作「優しい音楽」。現実を受けとめながら、希望を見出して歩んでゆく人々の姿が、心に爽やかな感動を呼ぶ短編集。

評価 6/10

優しい音楽ってタイトルの通り、優しさに満ち溢れた表題作の入った短編集。

「幸福な食卓」「春、戻る」「そして、バトンは渡された」この辺の作品読んでたら抵抗なく入れるけど、どれもこれも一筋縄ではいかないちょっと変わった人達が出てきます。

旅行行くからって浮気相手に子供を預けたり、公園でホームレスのおじさんを拾ってきたり、一体何なんやこの設定。

意味わかんないまま読み始めたのに、読んでる途中で妙に家族みたいに溶け込んで、最後はしっかり泣かせるから憎いぞ。

表題作は、何となく先読めてたけど、美味しそうな料理と幸せそうな情景を描いてるのでほっこりさせてくれます。

「タイムラグ」で泣かされたけど、なんか良いよね、この関係性を描ける軽やかさって。

人と繋がるってめんどく事も沢山あるんだけど、こんな幸福度の高い関係性に満ち溢れてると思うと本当良いですよね。

瀬尾さんの書いた短編ならではの駆け抜ける軽快さは、何とも言えない読後感があってとても気持ちがいいです。

 

6.強運の持ち主(2006年)

あらすじ
元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年…。じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。

評価 6/10

こちらは、短編小説。

ルイーズ吉田という占い師の日常に寄り添った、少し不思議な相談者との経緯をまとった温かな4編が描かれています。

特に起伏もなければ、オチも強くないんだけど、ほのぼのとした日常感が読んでる時の癒しをくれます。

日常に寄り添ってるからこその人間力が感じられる素敵なお話です。

 

7.温室デイズ(2006年)

あらすじ
みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが……。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。

評価 4/10

いじめがテーマの重い作品なんだけど、無法地帯の教室に何も介入しない先生達が歯がゆすぎる。

逃げるだけではなく、どうにかしたい気持ちで行動を起こすと標的にされてる。

読んでてとても苦しいし、もう少し救いの欲しい作品でした。

ひとりになりたくてなるのと、ひとりにされるのとはわけが違う

中学ってこんなに崩壊するのかって思うくらいに怖い世界でしたね。

 

8.見えない誰かと(2006年)

あらすじ
あなたはひとりじゃない。きっとどこかにつながっている人がいる。人見知りが激しくて他人と打ち解けるのにも時間がかかったという筆者。親しくもない人と一緒に何かするくらいなら、一人でいたいという性格が、出会いによってどう変わったか。大好きな先生、かわいい後輩、一緒に働きたい友達…。誰かとつながっているよろこびを綴った初エッセイ。

評価 6/10

瀬尾さんが中学校の教師をされていた時代を中心に切り取った内容で、教師の仕事とか、家族のこととかを描いたエッセイ作品です。

瀬尾さんの描く作品って、どれも少し力が抜けていて好きなんですが、それは瀬尾さん自体がちょっと抜けているからなのかと思ってたけど、やっぱりそうなのかと読みながら納得(失礼)

瀬尾さん自体がいっぱい助けられているし、色んな生徒や学校の環境を通して感じたことが作品となっているんだと、今までの作品の舞台や情景とリンクする場面がありましたね。

人間ってやっぱり育ってきた環境に人生左右されるんだなぁと、改めて感じさせてくれたし、物事や人の優しさをどう捉えるかで良くも悪くも人間性が変わってくるな〜と納得。

 

9.ありがとう、さようなら(2007年)

あらすじ
僕は先生のことを愛しています。今度のテストで100点取るので結婚してください」―初めてプロポーズをしてくれた相手は、中学校の教え子でした。小説みたいな瀬尾せんせいの毎日は、大変だけど感動でいっぱい!学校というルールの厳しい社会の中で、出会いと別れを繰り返し、成長していく生徒たちと瀬尾さんが過ごした日々。瀬尾作品すべてのルーツになった、著者の中学校教師時代を描くほっこりエッセイ。

評価 6/10

瀬尾さんが中学校の先生をやっていた頃に書かれていたエッセイ集。

中学校という現場ならではの子供達とのやりとりがあまりにも懐かしくて、自分の中学校時代の先生を思い出しながら読んでしまいました。

笑いもあれば、涙もあって、まさにタイトル通りの作品だと思います。

瀬尾さんの作品って独特の軽いタッチと、ユーモアなセンスと、温かさのバランスがどれも素晴らしく好みなんですが、エッセイになるとより人柄が滲み出てて人間味があって面白いです。

現実はこんなに温かい場面ばかりではないとも思うけど、大人になってからあの頃を振り返る作品としてもおすすめです。

 

10.戸村飯店 青春100連発(2008円)

あらすじ
大阪の超庶民的中華料理店、戸村飯店の二人の息子。要領も見た目もいい兄、ヘイスケと、ボケがうまく単純な性格の弟、コウスケ。家族や兄弟でも、折り合いが悪かったり波長が違ったり。ヘイスケは高校卒業後、東京に行く。大阪と東京で兄弟が自分をみつめ直す、温かな笑いに満ちた傑作青春小説。坪田譲治文学賞受賞作。

評価 9/10

タイトルからして全く予想のつかない物語の内容ですが、関西人らしい味を出したとても楽しい飯屋の家族のお話です。

兄弟って、親って、こんな想いを持って生きてきたんだね・・・(涙)

自分の人生に重なる部分も多くて、改めて親の存在の大きさを感じさせられました。

食事の風景や大阪人の人情なども溢れてる、愛のあるお話です。

 

11.僕の明日を照らして(2010年)

あらすじ
中学2年生の隼太は、この春に名字が変わった。シングルマザーだった母が、町で人気の歯医者と結婚したのだ。すごく嬉しかった。なのに…。優ちゃんはときどきキレて隼太を殴る。母さんは気づかない。隼太が、優ちゃんの抗議をものともせず全力で隠しているからだ。この孤独な闘いから隼太が得たものはなにか。友だち、淡い初恋、そしてこの家族に、選択の時が迫る。

評価 6/10

再婚相手の父親からのDVを受ける子供が主人公の物語。

隼太と優ちゃんの一見仲の良さそうな親子に見えるけど、息子に手を出してしまう父と、それを母に露見させずになんとか止めようとする息子がとっても読んでて違和感・・・なんだけど、読み進めていくとその意味がわかります。

瀬尾さんらしい優しい感じでゆるく描かれてるんだけど、かなりシリアスな内容で当事者たちにしか分からない特別な感情がそこにはあります。

親がいないって経験をしたことがない為、この繊細な気持ちってすごく響きました・・・。

 

12.おしまいのデート(2011年)

あらすじ
中学三年生の彗子は両親の離婚後、月に一度、父の代わりに祖父と会っていた。公園でソフトクリームを食べ、海の見える岬まで軽トラを走らせるのがお決まりのコース。そんな一風変わったデートを楽しむ二人だったが、母の再婚を機に会うことをやめることになり……。表題作のほか、元不良と教師、バツイチOLと大学生、園児と保育士など、暖かくも切ない5つのデートを瑞々しく描いた短編集。

評価 6/10

デートって言うと恋人とするものと思うでしょうが、この本は孫とおじいさん、先生と生徒、男子学生同士など、??と思ってしまうシチュエーションのデートを並べた短編集。

読み始めた時はちょっと不思議な関係も、読み終わったら涙が流れるような素晴らしい物語に仕上がってました。

瀬尾さん独特の会話のテンポは、短編でもバッチリハマります。

2話目の「ランクアップ丼」読むだけでもこの本の価値がありますね。

 

13.僕らのごはんは明日で待ってる(2012年)

あらすじ
兄の死以来、人が死ぬ小説ばかりを読んで過ごす亮太。けれど高校最後の体育祭をきっかけに付き合い始めた天真爛漫な小春と過ごすうち、亮太の時間が動きはじめる。やがて家族となった二人。毎日一緒に美味しいごはんを食べ、幸せな未来を思い描いた矢先、小春の身に異変が。「神様は乗り越えられる試練しか与えない」亮太は小春を励ますが……。

評価 7/10

4編の短編からなる、高校から社会人までの2人の恋愛の話。

タイトルからは想像できない展開だったのですが、やっぱり瀬尾さんワールドは見事に人の気持ち闇の底から救ってくれます。

本当に会話のテンポと出てくるワードがツボすぎて、こんな暗い気分になったのに笑えますからね。

日常の尊さと当たり前に感謝していきましょう。

 

14.あと少し、もう少し(2012年)

あらすじ
陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。

評価 7/10

中学最後の駅伝大会を描いた青春のスポーツ小説です。

めちゃくちゃ面白くて、息つく暇なく一気読みしましたね。

瀬尾さんの描く中学生は、とても人間らしく悩みながら成長する姿がすごいカッコいい。

キャラ一人一人がクラスにいる様な存在で、読んでいてとても共感できる姿でしたね。

 

15.春、戻る(2014年)

あらすじ
結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手が実家で営む和菓子屋にも顔を出し、知らず知らずのうち生活に溶け込んでいく。彼は何者で目的は何なのか。何気ない日常の中からある記憶が呼び起こされて―。今を精一杯生きる全ての人に贈るハートフルストーリー。

評価 6/10

どの作品も変わった家族の形を見事に表現されるのですが、これは奇を衒ったおにいさんの存在で物語を上手く作っていくのが凄い見事。

不思議すぎる話なんだけどしっくり来るし、最後は納得できる終焉。

良い人しか出てこないので、ハッピーエンドなのもありがたいです。

 

16.君が夏を走らせる(2015年)

あらすじ
金髪ピアスでろくに高校も行かずふらふらしている俺が、先輩の小さな子どもの面倒をみる羽目になった。泣きわめかれたり、ご飯を食べなかったり、最初は振り回されっぱなしだったけど、いつしか今まで知らなかった感覚が俺の心を揺り動かしていた――。16歳の思いがけない奮闘を描いた、感涙必至の新しい青春小説。

評価 8/10

瀬尾さんの文庫新刊は、名作「あと少し、もう少し」のスピンオフ物語。

あの青春の駅伝2区を走った、少し不器用な不良の太田君が主人公。

突然任せられた先輩の1歳10ヶ月の子供のお守り。

言葉も上手く話せない子どもに翻弄されながらも、一生懸命成長しながら、自分の居場所を見つけていく感動作でした。

それなのに、京香は俺のことを確実に忘れてしまうだろう。

俺が二歳の記憶など全くないように、京香の中に俺のことなど何一つ残らない。
これから京香には今よりもはるかに広い大きな世界が待っているのだから、当然だ。

 

17.ファミリーデイズ(2017年)

あらすじ
中学校教師として多忙な生活を送っていた著者。けれど40歳を目前に、想定外の妊娠発覚! 母となり、やんちゃな娘の育児に奮闘する毎日が幕を開け──。「乳児 太もも 太すぎ」とインターネットで悩みを検索し続けた日々。どんなときも至ってのん気でマイペースな夫。教職時代に生徒たちが教えてくれた、子育てにとって一番大切なこと……。“明日”がもっと楽しみになる、ほのぼの家族エッセイ。

評価 6/10

エッセイ本とういう事ですが、普通のフィクション小説を読んでるよりも楽しい物語があるんですね。

とにかく日常の中で言葉出来るレパートリーが多いので、笑いがありすぎて腹痛いw

関西人の例えってなんであんなに見事なんでしょうね。

エッセイは、本当センスが出るけどここまで面白いと、嫉妬してしまいます。

 

18.そして、バトンは渡された(2018年)

あらすじ
幼くして実の母親を亡くし、様々な事情で血の繋がらない〈親〉たちの間をリレーされ、四回も苗字が変わった優子だが、決して不幸だったわけではない!
〈親〉たちの愛を一身にうけて、〈親〉たちのことも愛して、いま十七歳の優子は幸せなのだ。

評価 9/10

母親2人、父親3人と言う想像も出来ない設定の物語ですが、巧みな会話と人間味溢れるキャラの持ち味がとても面白く描かれております。

親の離婚ってネガィブにしか思えないのにこんなにも明るく受け止められて、何に繋がりも無い人達から愛情を注がれる子供の存在が凄いです。

「親になるって未来が二倍位以上になるってことだよって。

明日が二倍にできるなんて、すごいと思わない?」

森宮さん最高でした。梨花さんの想いにも泣かされるし、最後まで本当に温かいお話です。

 

19.傑作はまだ(2019年)

あらすじ
「実の父親に言うのはおかしいけど、やっぱりはじめましてで、いいんだよね?」そこそこ売れている引きこもりの作家・加賀野の元へ、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然訪ねてきた。月十万円の養育費を振込むと、息子の写真が一枚届く。それが唯一の関わりだった二人。真意を測りかね戸惑う加賀野だが、「しばらく住ませて」と言う智に押し切られ、初対面の息子と同居生活を送ることに―。孤独に慣れ切った世間知らずな父と、近所付き合いも完璧にこなす健やかすぎる息子、血のつながりしかない二人は家族になれるのか?その「答え」を知るとき、温かく優しい涙が溢れ出す。笑って泣ける父と子の再生の物語。

評価 6/10

「やっぱりはじめましてで、いいんだよね?」で始まる物語。

「春、戻る」では、不思議なおにいさんの出てくるお話でしたが、こっちは会った事のない実の息子の物語。

一癖も二癖もある家族のあり方を普通に描く瀬尾さんの中でも、また変わった話でした。

特に父親の天然記念物みたいな化石な姿にはw

明日がもっとすばらしいことをきみはぼくに教えてくれた。

今日はきっと君を知る日になる。

それでも、最後はきっちりと締めてくれる温かさが好きですね。

 

20.夜明けのすべて

あらすじ
知ってる?夜明けの直前が、一番暗いって。

「今の自分にできることなど何もないと思っていたけど、可能なことが一つある」

職場の人たちの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、やる気がないように見える、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。

山添君は、パニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。
互いに友情も恋も感じていないけれど、おせっかいな者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになるーー。

人生は思っていたより厳しいけれど、救いだってそこら中にある。
生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。

評価 8/10

出口のない病気は、暗い毎日の底が見えない気分になると思う。

そんな時に気遣って優しく接してくれる人の存在の大きさってすごいよね。

おせっかいに感じる言動も、自分の事を考えてくれる想いや時間があるこそ出来ることなんだよね。

最初は自分勝手な二人に思えてたけど、読めば読むほどに人間味に溢れた優しさを感じました。

今まで家族や恋人の温かい物語を書いてた瀬尾さんの、人を想う気持ちが溢れた優しい作品です。

 

21.その扉をたたく音(2021年2月)

あらすじ
29歳、無職。

ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。

音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。

人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。

評価 6/10

29歳で無職のミュージシャンを目指す若者が主人公の物語。

老人ホームで出会った渡部のサックスの音に惚れ込み、ホームに通いこむうちにかなり図々しいじいちゃんばあちゃん達に色んな頼み事をされる日々。

瀬尾さんらしい文体で描かれる若者と老人ホームの人達の会話は、わかっていても笑ってしまうくらいに軽快で面白い。

少しずつ変わって行く日々の中で、青春を思い出しいながら一歩踏み出す決意をする主人公と図々しくもそれを後押ししてくれる老人達。

二人のセッションに、音楽に感動させられるし、最後は本当に泣かされた。

瀬尾さんの描く世界ってただ優しく、温かいだけじゃなく、日常にあるものの大切さとかをしっかりと伝えてくれるんですよね。

 

22.夏の体温(2022年)

あらすじ
夏休み、小学3年生の瑛介は血小板数値の経過観察で1ヶ月以上入院している。退屈な毎日に、どうしたっていらいらはつのる。そんなある日、「俺、田波壮太。3年。チビだけど、9歳」と陽気にあいさつする同学年の男子が病院にやって来た。低身長のための検査入院らしい。遊びの天才でもある壮太と一緒に過ごすのは、とても楽しい。でも2人でいられるのは、あと少しだ――。

評価 7/10

瀬尾まいこさんの新刊は、2つの短編が入った少しビターで、心がじんわりと温かくなる作品でした。

大人になったら忘れてしまう、小さい頃の楽しかったあの時間。

こんなに楽しい時間が、いつまでも続いてくれたらなと思う様な素敵な物語と関係性が温かく描かれてました。

 

23.掬えば手には(2022年)

あらすじ
大学生の梨木匠は平凡なことがずっと悩みだったが、中学3年のときに、エスパーのように人の心を読めるという特殊な能力に気づいた。ところが、バイト先で出会った常盤さんは、匠に心を開いてくれない。常盤さんは辛い秘密を抱えていたのだった。だれもが涙せずにはいられない、切なく暖かい物語。

評価 8/10

レモンイエローの装丁が素敵な優しさに満ちた作品でした。

読み終わった後に書いてるけど、じんわりと温かくなった心が満たされてる感じが最高です。

特に自分に取り柄がなくて、自信がないと思ってる様な方には、これはすごく響く内容だと思います。

存在意義って自分が思ってるよりも、周りのみんなは知っているんだよ。

読みながら自分にもって思えるし、きっと背中を押してくれる作品。

 

24.私たちの世代は(2023/7/24)

あらすじ
「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」
今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。
不自由で息苦しかった毎日。
家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。
多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。
それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった――。

瀬尾さんの新刊は、コロナ時代が直撃した2人の小学生が主人公の物語。

今後忘れることはないだろうコロナ禍の数年間から15年先までの未来が舞台です。

社会に様々な影響を及ぼしたコロナが、子どもたちに及ぼす影響ってそこまで考えてなかったんだけど、この作品読んですごく大事な時期を失い、その後に大きな影響を与えられた子も多いんだろうな。

色んなことに制限がかかり、奪われたことを嘆き悲しんでいた時期なんだけど、今までの当たり前にあった人との繋がりの大切さを改めて教えてくれた貴重な時間でもあったんですよね。

失うことの方が目立つし、その度に悲しくなることは多かったけど、決してマイナスなことばかりじゃないってことを改めて思わされました。

今作は、瀬尾さんの作品の中では珍しい仕掛けがあって、読んでてちょっと新鮮な感覚がありました。

キャラや会話もいつもみたいな突拍子もない感じではないのが残念。

それでも、大事な部分はいつもの瀬尾さんの優しい言葉が詰まっていて、特に冴の母の言葉には涙が止まらなかったです。

当たり前にある日常の周りには、必ず手や愛を差し伸べてくれる人がいてわたしたちは生きているってことを再確認できる物語でした。

 

瀬尾まいこおすすめ作品ランキング

[2024年版]瀬尾まいこ おすすめ10作品ランキング紹介(新作随時更新)

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