彩瀬まる「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」を読んだ感想 心に残った名言

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彩瀬まる「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」を読みました。

食べ物を通して思い出す家族だったり、大切な人との思い出。

年齢と共に風化していく記憶の中にある食べ物が教えてくれるビターな6つの短編集です。

感想やレビューをどうぞ。

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彩瀬まる「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」を読んだ感想 心に残った名言

彩瀬まる「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」あらすじ

スポーツ用品販売会社に勤める素子は、同じく保育園に通う子供を持つ珠理を誘って、日帰り温泉旅行に出かけることに。

ずらりと食卓に並ぶのは、薬味をたっぷり添えた鰹のたたき、きのこと鮭の茶碗蒸し、栗のポタージュスープ。

季節の味を堪能するうち、素子は家族を優先して「自分が食べたいもの」を忘れていたこと、母親の好物を知らないまま亡くしてしまったことに思いを巡らせ…(「ポタージュスープの海を越えて」)。

彼女が大好きな枝豆パンは、“初恋の彼”との思い出の品。病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた鶏とカブのシチュー。―“あのひと口”の記憶が紡ぐ6つの物語。

感想 評価 6/10

「家族には手間と時間をかけた料理を出して当然、って平成を飛び越えて昭和じゃなーい?」

初めましての彩瀬まるさん。

表紙が美味しそうで手にとって、プロフィール見たら同い年。

直木賞候補になった作品もあるんですね。

 

ほっこりした美味しい食べ物の話かと思ったら、想像を超えてビター系の話ばかり。

ちょっと重々しくて、悩み深くて、なんだか暗い話なんだけど、妙にリアリティーのある心情と会話で読めてしまうから不思議。

食べることは生きることなんだよね

 

6話本当にそれぞれのエピソードどれかが突き刺さるとと思うし、共感できない話もあると思う。

でも、食を通しての家族の思い出とか、大切な人との時間とか、読んでると不意に込み上げてくるものがある。

懐かしい記憶の断片にある美味しいもの。

美味しくなかったけど、食べさせられた母の味の懐かしさとかね

辛かった時期に救って貰った食べ物とか印象深いんですよ。

大人になったからこそ気づけること。

 

全編通して、人の優しさって無限大だな。って思わされた

タイトルの温かい鍋を抱いておやすみって、見事だなぁと読み終わって納得。

多分、女性の方が共感できるお話多いと思いますね。

 

印象に残った言葉

「家庭の食卓って、忖度の積み重ねでできてるよね。

自分がこれ食べたい、以外の理由で組み立てた料理を毎日作り続けるって、考えてみると結構クレイジーだよ。

しかもそうして作った料理を、家族が喜ぶかっていうと微妙なわけだし」

「親として接してもらうよりも、もっとお母さん自身のことを覚えておきたかった?」

「・・・でも、そんなことを考えるのは、私が大人になったからだよ。

子供の頃はもっと、毎日食卓に出てくる料理を、食べるのに見てない、みたいな、とろーんとした無感覚の中にいた。

親への興味なんて、なかったんだから、仕方ない」

「子供って、親からすれば体の外側にある急所なんだよ。
内蔵みたいなもん。

内蔵を潰されたら死ぬか、死にかけるだろ。

だからその友人も、死にそうなんじゃないか」

彩瀬まるさん、次は長編読んでみたいな。

 

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