伊坂幸太郎「AX」感想 恐妻家な殺し屋の極上エンタメ作

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2017年のラストに読んだのは伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズ第3弾 AX

グラスホッパーマリアビートルに続く物語が今度はカマキリとして登場。

今回も危険な物語の匂いを払拭する、極上のエンタメ作品となってます。

それでは感想をどうぞ。

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伊坂幸太郎「AX」

あらすじ

最強の殺し屋は―恐妻家。「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。

一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。

引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。

こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。

『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる殺し屋シリーズ最新作!書き下ろし2篇を加えた計5篇。

 

感想 評価7/10

2017年見逃した作品という事で、最後に読んだのがAX。

最新のホワイトラビットがあまりも最高傑作だったので、これは年内に読もうと買ってたのに読みたい本が重なってラストになってしましました。

殺し屋シリーズ第3弾という事で、名作グラスホッパーから始まったあの物語。

グラスホッパーは初期の作品の中でも、衝撃的に面白かったんだけど、マリアビートルは嫌いなキャラが多すぎてそこまで好きじゃなかったんですよね。

それでも、伊坂さんのなかでは貴重なシリーズと言う事で楽しみにしていました。

 

今回は5話からなる短編物語

主人公のは腕の立つ殺し屋。

普段は文具メーカーの営業として働きながら、裏では請け負った人間を殺す仕事を受け持つ。

その本当の顔は家庭を持った心優しいお父さん

でも、家には恐ろしい妻がいる恐妻家。(恐ろしいのかは本人しか分からないのだけども、逆らえない存在なのだ)

また医者という仕事の仲介役が居て、今までの岩西とかとはまた違った意味で面白い。

 

まず設定がお見事である。

今までの物語は本当にプロの組織的な感じだったのだけど、今回は一般の家庭で普通に生活しながらも、裏の顔を持ったパパとしての殺し屋

なんか身近に居そうな存在である。

今までよりもそう言った所から凄く物語に入っていきやすいのである。

 

今回のポイントは恐妻家。とにかくここがツボである。

どれだけ人を見事に殺そうが、どれだけ影で家庭を守ろうが、家に帰ると尻に敷かれているのであるw

このギャップがとにかく面白い。

読んでいても人を殺しに行く場面よりも、妻との会話や同じ恐妻家に出会った時のエピソードの部分の方が楽しいからね。

伊坂さんの中でも家庭を舞台にした作品は結構あるんだけども、今回はまた違った視点を垣間見れて楽しめました。

殺し屋×恐妻家=唯一無二の物語であった

そんな妻に怯えてばかりの兜であったが、ラストの2ページで救われる場面がある。

こう言う展開が伊坂さん上手だなといつも読んでて思います。

 

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