道尾秀介さんの「ラットマン」を読了。
道尾さんは「向日葵の咲かない夏」「片目の猿」に続く3冊目。
暗い作風にあまり好きじゃない物語の展開で、イマイチ合わなかった作家さんなんですが、今作はミステリーの中でもかなり上位に食い込む素晴らしさ。
大どんでん返しの詰まった傑作小説でした。
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道尾秀介「ラットマン」感想
あらすじ
感想 評価8/10
道尾さんの代表作「向日葵の咲かない夏」はどうもお気に入りにならず、その後に読んだ「片目の猿」も全然気に入らなかったのでもう読む事ないと思ってた道尾さん。
それでも直木賞を受賞し、ミステリー作家の代表格となってる人気作家なので、そのうち合う作品はあるかな?とちょこちょこ探してたら面白ろそうだった「ラットマン」
バンドマンという設定だけで興味を惹かれたのだが、読み始めると今と過去を行き来する展開。
その裏にある家族の奇妙さと23年前に死んでしまった姉の存在。
所々に隠された今の謎めいた雰囲気と怪しい主人公の行動。
その側では、だまし絵の話やフェイクと思われる登場人物の思わせぶりなミスリード。
伏線に次ぐ伏線の先にある物語の終幕は、なんとも切ないお話であった。
雑感ですが正直今の方の話の展開は、ヒントが多すぎて分かってしまってたのだけど、動機の部分はやや後付けだね。
散々引張ておいて多分裏返す事は分かってたのだけど、過去の方にもそのネタがあるとは思わなかったので3回くらい驚かされました。
カマキリとハリガネムシのエピソードもそう言った意味では見事だ多と思う。
人間の思い込みの部分に凄く焦点を当てて、人それぞれの視点でこんなにも物語を変えてくるとは面白い展開でした。
そこまで期待してなかっただけに、驚くべき作品でしたね。