池井戸潤さんの大人気作品であり、私自身も大好きなシリーズ「下町ロケット」第3作目となる新刊「下町ロケット ゴースト」が発売されました。
ドラマ化された人気作品が再びテレビに戻ってくると言う事で期待の新作。
早速読みましたので感想をどうぞ。
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池井戸潤「下町ロケット ゴースト」
あらすじ
倒産の危機や幾多の困難を、社長の佃航平や社員たちの、熱き思いと諦めない姿勢で切り抜けてきた大田区の町工場「佃製作所」。
しかし、またしても佃製作所は予期せぬトラブルにより窮地に陥っていく。
いまや佃製作所のシンボルとなったロケットエンジン用バルブシステムの納入先である帝国重工の業績悪化、主要取引先からの非情な通告、そして、番頭・殿村に訪れた危機――。
そんな絶体絶命のピンチを切り抜けるため、佃が下した意外な決断とは・・・・・・。
感想 評価8/10
直木賞を受賞した池井戸さんの大出世作品の3作目が出ました。
個人的にもこの下町ロケットに出逢ったから池井戸さんが大好きになったんですよね。
池井戸さんの作品の中でも特にこの下町ロケットは、
- 不屈の精神で、夢に向かって生きる男達がカッコよく描かれている
- 企業の中での人の価値が本当に大事に語られて、人が好きになる
- 主人公以外の人達が際立ってる
こんな所が好きでした。
1作目は、夢を諦めない男達の姿と負けない中小企業の発展する姿を描き、前作のガウディ計画では、子供の命を助ける為に奮闘する姿と正義は勝つって感じのいつもの勝ちパターン。
そして、今作に関しては農業と言うキーワードと共に今の日本の現状を問いただす様な内容となってます。
ゴーストって?何だろって感じで、お化けは意味分からないしなぁ…と読み始めたらいつも通り止まらない展開でまくし立てられて、寝れない夜を迎えてしまいました。w
要点をまとめると
- 殿村の父が倒れる(300年続く農家)→殿村は伝統と自分の新たな夢のために退社
- 佃は殿村との事がきっかけで、トラクターの変速機が変われば農業が変わると確信→エンジンと変速機が作れるメーカーを目指す
- 農機具用の変速機を設計する会社「ギアゴースト」に出逢う→変速機用のバルブを開発し、コンペに勝利
- ギアゴーストが弁護士の裏工作によって潰される危機に陥っている→佃製作所にギアゴーストへの出資の話が出る
- 弁護士よりギアゴーストへの買収の話が出る→昔伊丹が倒産させてしまったと思ってた会社の社長が登場(ダイダロス)
- 佃の紹介で神谷弁護士が登場し、特許権の無効と不正競争防止法違反という形で勝利
- だが過去の屈辱に縛られた伊丹はダイダロスと組む事を決め、帝国重工への復讐へ島津をクビにする
- 帝国重工もロケット事業を縮小。財前はこの国の農業危機を救う為に動き出す
- そして、物語は続く…
本当に目まぐるしい展開のゴースト。
職場の墓場に落とされた2人の出発の地であったこの物語は、いろんな人の決意の表明の場となった。
殿村は、
珍しくこんな言葉を語った。
先祖の想いと伝統を受け継いだ父の想い。
自分の基礎を作った場所である田畑。
その壮大な歴史と恵を前に、自分の今やってる仕事の意味を見出してしまうのである。
田舎を飛び出し、都会に出て就職する多くの若者は、いつしか社会という現実に縛られて、日々の忙しさと辛さをぶちまけながらも、時間と共に過ぎ去る時間をただただ慢性的に過ごしていると思う。
ふと気づいたら思った以上に時間は経ち、年を重ねて、今自分が本当にやりたい事って何だったんだろうと気づく瞬間がやってくる。
この殿村の想いは、そんな虚しさを抱えながらつまらない毎日を生きている人達にとって、とても突き刺さってしまうんじゃないのかな?
本書はいくつかの展開の先を残して終わるのだけど、これは秋に刊行予定の「下町ロケット ヤタガラス」に続くらしい。
最後に財前のスピーチにあった「しばしのお別れだ」という言葉。
これが意味する所は、殿村のこれからの仕事、財前の事業、佃製作所のこれからの展望に対するメッセージなんじゃないかと思いますね。
まぁほとんどの方は先が読めると思いますが、この壮大な未来に対する男達の物語は一筋縄では行かないよね。
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