先日の「凍りのくじら」に続きまた辻村深月さんの作品を読み終わりました。
ハマってしまうと掘り下げてしまうタイプなので、なかなか横に広がらずどんどん同じ作者の作品に浸ってしまいます。
[ad#co-1]
辻村深月「スロウハイツの神様」
あらすじ
感想 評価 8/10
若きクリエイター達が切磋琢磨し、夢を叶える為の階段を登っていく姿を描いた「青春小説」と思いながら読み始めたこのお話。
読み終えるとそんな姿よりも、「純愛モノ」の痛いほど切ない物語に変わってました。
上巻で淡々と語られる一人一人の物語。
時には和気藹々と時間を共にし、時にはぶつかり合い、夢を叶える為に頑張ってる姿が目に浮かんでたのですが、実はみんな表に出せない秘密や闇を抱えてるんですね。
下巻で徐々に語られるその「秘密」が明らかになっていくに従って物語りは全く違う姿を露呈していきます。
そして、ラスト1章にこの物語の隠された真実が明かされる。
環とコウちゃんが出逢った時の「お久しぶりです」に隠された真相はもう泣けてくるを通り越して、ちょっと引いちゃいます。
色んな複線からして重要ワードだとは思ってましたが、こんな形で露になるとは思いませんでしたからね。
でも、この気持ちってよく分かります。
私も音楽や小説に助けられた事って沢山あって、そんな気持ちは今でも変わらない位に勇気やパワーをくれます。
でも、この部分は若干予想できた事でもあって、一番騙されたのはやっぱり狩野の奴でした。
まさか奴がこんな形で日の目を浴びてたとはね。上手く騙された。
「凍りのくじら」の主人公でもあった芹沢理帆子も登場したりして、物語のリンクがこんな感じであるんだなと作者のスタイルが良く分かりました。
淡々と日常生活が進んでいく物語に面白みを感じられない方が我慢できずにリタイアしていく様なお話ですが、もし少しでも共感できたり、お気に入りのキャラがいれば全編通して読んで貰うと面白いです。
世界観がほんとに独特なので、この気持ちは完読した人にしか共有できないと思います。
ぜひこの作品はいろんな人に感じて貰いたいなと思います。
後半は本当にミステリーかと思いましたよ。
レビューもチェック
著者のその他の作品の感想
最新作にして、2017年最高傑作。ドラえもんが読みたくなる素敵物語
学校で起こる謎の事件が驚愕のラストへ導いてくれる。
少し読むのが辛くなるような物語だけど、ラストに救われました。
これも辛い話になるのだけど、多くの人に読んで欲しい名作です。
一件落着かと思ったラストに待ってる大どんでん返しがお見事
短編なので読みやすい直木賞受賞作。