2021年に読んだ本144冊全て紹介[おすすめ読書・感想]12/28更新

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2021年に読んだ本を紹介するコーナーです。

今年読んだ本をリアルタイムに更新しますので、今読んでる本や気になる本などの感想を参考にしてください。

読書記録と感想をどうぞ。

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2021年に読んだ本全て紹介[おすすめ読書・感想]

202年のTOP10作品紹介

2021年読書ブロガーが読んだおすすめ小説TOP15紹介(2021年発売作品のみ)

こちらに2021年に読んだおすすめの本をまとめてます。 効率よく本に出会いたい方にはこちらの記事を読んでみて下さい。

自転しながら公転する

あらすじ
東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。

感想 8/10

親の面倒を見るのに仕事を辞めて実家住まいのアラサー女子の恋愛、家族、仕事と、想いの果にあるものと、現実とがリアルすぎる位に上手く描かれていて、同世代なら特に突き刺さる作品でした。

特に女性には結婚と出産へのタイムリミットのある焦燥感がすごく上手く伝わるんじゃないのかな。

今の時代は本当に多様になってきてるけど、それでも大多数は人生の岐路ですからね。

内面の描き方や友達との会話などがすごいわかるって感じでした。

 

FIRE 最強の早期リタイア術

内容
30代で経済的自立を達成するための全技術。ニューヨーク・タイムズ、CNBC、ハフポスト、CBCなどで取り上げられたFIRE(経済的自立と早期退職を目標とする人生戦略)第一人者の日本版ついに発売!

評価 6/10

最近話題の早期リタイヤ術FIREの実現方法が事細かに書かれた1冊。

生き方の選択肢として、ミニマルな生活と、投資に対する考え方はもっと持っていた方が良いですね。

投資本というよりは、著者の一生が語られている小説みたいな本で読みやすいです。

 

ほんのよもやま話

内容
作家46組が語る読書の楽しみ。「この方とあの方は仲がよいのだな」「あの作家の愛読者なんだ!」作家同士の繋がりや、意外な組み合わせから読書の楽しみがぐんぐん広がります。

評価 7/10

本好きにはたまらなく楽しめる1冊。

あの作家と、この作家はこんな関係なんやと思う発見があったり、作家の愛読書を勧める所は必見です。

1つ1つの対談は短いですが、数が多いので読み応えあります。

 

ゴミ人間

内容
クラウドファンディング支援総額国内最高(5億円)。オンラインサロン会員数国内最大(7万人)。日本のエンターテイメントの中心にいる男の覚悟。

評価 8/10

常に挑戦をし続け、誰も見たことのない景色を見せてくれるお笑い芸人であり、絵本作家でもあり、起業家でもある西野さんの物語。

西野さんの挑戦の物語はずっと追い続けていましたが、プペルの映画を観て、泣きながら思いました。

夢を語れば笑われて、挑戦すれば叩かれる…どんな生きにくい世の中なんだよね。

芸人が絵本を描いたり、クラファンしたり、サロンを開いたりと、常に仲間からも、世間から冷たい目で見られてましたが、やっと時代が追いついた事に本当に陰ながら嬉しいです。

 

捨てればいいってもんじゃない

内容
無理はしない!好きなものに囲まれる毎日。ミニマリストになれなかった僕のシンプリストという生き方。

評価 6/10

インスタグラマーのエヌケンさんの本。

20代前半の一人暮らしのシンプルライフを発信するフォロワー24万人の凄い方です。

ほぼインスタの内容をまとめた本だったのですが、まとめ多分読みやすく、理解しやすいようになってます。

生活、思考をシンプルにして、人生を充実させたい方にはおすすめです。

 

ハグとナガラ

あらすじ
恋も仕事も失い、絶望していたハグ。突然「一緒に旅に出よう」と大学時代の親友ナガラからメールが届いた。以来、ふたりは季節ごとに旅に出ることに。

評価 7/10

原田マハさんの短編に出てくる、ハグとナガラの旅物語をまとめた6話の短編集。

生きてると色んな楽しいことも、辛い事もある。

そんな時に一緒に旅に出られる友人がいて、旅先で出会える景色や食べ物、人がいる。

そして、帰る先には「ただいま」を言える人がいる。お土産を渡す顔が浮かぶ。

こんなタイミングだからこそ、旅が出来る幸せや身近な人への感謝を感じる1冊でしたね。

 

発注いただきました

あらすじ
有名企業からの原稿依頼に直木賞作家はどう応えるのか。「これが本当のお仕事小説だ!」無理難題(!?)が並ぶ発注書→本文→解説の順で20編を収録!

評価 6/10

朝井リョウさんによる、企業とのタイアップ小説のまとめ本。

映画のサントラで作品の世界観を出す感じのアルバムはあるけど、タイアップ作だけのまとめって非常に珍しいなと思います。

しかも、この作品の凄いところは企業からの発注内容まで書いてあって、作品ができるまでの裏話が見えるんですよね。

読み終わった後には、各話著者の解説付きと言うスペシャル仕様です。

 

滅びの前のシャングリラ

あらすじ
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして―荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。

評価 8/10

よく描かれる世界の終わりって、それを目の前にしたら一体自分は何を思うだろうかなと、結構入り込んでしまいます。

秩序が乱れていく世界で、自分の愛した人を守ったり、かつての恋人に逢いに行ったり、本当の幸せって何だろうなって?って考えさせられる場面が色々ありました。

極限状態だからこその本当に欲してるものが、本当に大切なもんなんだろうなと、救われる気分になりました。

読み終わったあとはきっと、人生を生きる気持ちが変わるんじゃないでしょうかね。

 

習慣が10割

評価 6/10

新年なので目標達成をして、習慣を変えていくためにこんな本を読了。

人は習慣で出来ているので、毎日やることを意識的に変える事ができれば当然結果が変わりますよね。

楽しく続けるために必要なヒントに出会えます。

こちらは、Amazonのプライム会員なら無料で読めます。

 

家族じまい

あらすじ
認知症の母と、齢を重ねても横暴な父。両親の老いに姉妹は戸惑い、それぞれ夫との仲も揺れて…。別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。

評価 8/10

タイトルからしてかなり重そうな話でしたが、やっぱりリアルに起こりそうでとても辛い展開でしたね。

私も認知症の祖母がいましたが、介護ってだけで疲弊するのに存在を忘れられていくと本当に心が痛かったですからね。

高齢化社会の中では、こんな話がリアルに起こってるんだろうなと思うと、人ごとじゃないので是非読んでみて欲しいですね。

 

八月の銀の雪

あらすじ
科学の揺るぎない真実が、人知れず傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。

評価 6/10

今作も、化学的な知見の入ったマニアックな話を万人に分かるとても美しく、温かい物語に仕上げてくれてます。

物語に出てくるのは、地球の中心に積もる鉄の雪、クジラたちの知性の話、伝書鳩、気象と原子力など、表面しか知らなそうなお話や全然知らない話が多くて驚きの連続です。

人だけじゃなくて、自然や化学の力を理解する事でこんなに世界の見え方、捉え方が変わるんだと思わせてくれます。

 

お金超入門

評価 7/10

コロナ時代のお金の入門書として発売されてたので、気になって購入しました。

お金を稼ぐ、貯める、増やすだけじゃなくて、もっと生活に寄り添った部分での幅広いリスクヘの分散が書かれていて他の本よりもより身近な内容です。

今の時代に改めて勉強するなら、ちょうど良いお金の本ですね。

 

元彼の遺言書

あらすじ
本年度の第19回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作は、金に目がない凄腕女性弁護士が活躍する、遺産相続ミステリー!

評価 7/10

この作品、主人公が女性弁護士なのですが、すごくお金好きで、結構な自信家で、かなり強烈なキャラなんですよね。

犯人を捕まえるんじゃなくて、いかにして犯人になるかという破天荒な展開もめっちゃ面白い。

推理しながら読んでも、ただただ読み進めるだけでも普通に楽しめるキャラ物ミステリー。

 

家日和

あらすじ
会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは…。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。

評価 8/10

身近な家族の話を描いた短編6話。

どの話も家庭の中にある不満を描きながらも、実は日常に幸せがあったという事を気づかせてくれます。

最後は必ずほっこりさせてくれるので、読んでて気分が晴れました。

お家時間が増えて不満が出やすい今のタイミングに読むと、気分も変わるでしょう。

 

雑談の一流、二流、三流

評価 7/10

コミュニケーション能力の向上に必須のスキルとなる雑談。

ちょっとした話し方を変えるだけで、話の盛り上がりも、人への印象も変わるという的ニックが非常にわかりやすいです。

 

推し、燃ゆ

あらすじ
推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。

評価 7/10

推しのアイドルが炎上したというとても今っぽいタイトルなんだけど、描いてる世界はちょっと面白いオタクの世界の文学。

熱量が物凄くて、惹きつけられる物語の展開が芥川賞の割に面白かったです。

それぞれの持ってる推しへの情熱が伝わるのだけど、救いのないような気分になるラストでした。

多様性を楽しむ生き方

評価 5/10

昭和の良さを引き立てながら、著者の人生を振り返るエッセイ本。

懐かしい気分にさせられる昭和のワードが多いので、アラフォー以降の年齢にはピッタリなんじゃ無いかと思うけど、昭和ギリギリ生まれとしては響かない場面も多かった。

昭和の良さも感じつつ、現在の良い所も合わせて上手く活かせて生きたいですね。

 

オルタネート

あらすじ
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。

評価 6/10

タイトルの「オルタネート」は、物語の中で出て来る高校生限定のマッチングアプリのこと。

SNSで繋がる現代社会の中で、主人公となる三人がどの様に人と繋がり、生きていこうとするのかという感じの青春物語です。

章ごとに主人公が変わり、ラストに向かって段々と繋がっていく展開は、読み応えがあって面白かったです。

 

看守の流儀

あらすじ
刑務所、そこは更生の最後の砦―。シャバ以上に濃厚な人間関係が渦巻く場で起きた五つの事件。仮出所した模範囚の失踪、暴力団から足を洗う“Gとれ”中に起きた入試問題流出事件など、刑務官たちの矜持と葛藤がぶつかり合う連作ミステリー。『このミス』大賞受賞作家、渾身の一作!刑務所を舞台に描く重厚な人間ドラマ。

評価 8/10

刑務官と受刑者のドラマが結構シリアスに描かれていて、どの話も本当に没頭してしまいました。

刑務所ならではの緊張感ある物語は、海外ドラマ「プリズンブレイク」を観てて面白かったのですが、あんなに酷いものじゃなくて最後は全部心優しい物語になってます。

 

羊は安らかに草を食み

あらすじ
過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい――
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅” に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。

評価 9/10

人生最後の旅で知る認知症になった友人の壮絶な人生の物語。

生きるための選択。大事な人を生かすための選択。

11歳の益恵たちの「生きて帰るためには何でもやらなくちゃ」と言う覚悟に想像もできない重さを感じました。

最後のアレは余分だったのだけど、本当に圧倒された1冊。お見事すぎて何回泣いたか忘れました。

読み始めた頃には想像できなかった壮絶さと絶望感を味わいながらも、読み終わってほっとする自分もいました。

「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」

 

「こだわり」が収入になる! インスタグラムの新しい発信メソッド

評価 7/10

インスタを頑張りたい方必見の1冊。

発信するジャンルの選び方や有効な情報の発信の仕方など、結構考えてない方の多いインスタのファン獲得までの道筋が描かれています。

色々とインスタ関連の記事を見てましたが、これはかなりいい情報が詰まってると思いまっす。

 

ときどき旅に出るカフェ

あらすじ
平凡で、この先ドラマティックなことも起こらなさそうな毎日を過ごす瑛子が近所で見つけたのは日当たりが良い一軒家のカフェ。店主はかつての同僚・円だった。苺のスープなどメニューにあるのは、どれも初めて見るものばかり。旅先で見つけたものを再現し、出しているという。瑛子に降りかかる日常の小さな事件は世界のスイーツによって少しずつほぐれていく。読めば心も満たされる“おいしい”連作短篇集。

評価 7/10

旅好きの店主が様々な旅行先から持って帰ってくる、本場のレシピを再現してくれるカフェ。

こんなカフェがあったら良いだろうなを表現してくれる、とっても素敵な空間に出会えました。

ちょっとした事件や人との距離感の考え方など、短編ながら色々と考えさせられる楽しいお話でしたね。

 

とわの庭

帰って来ない母を“とわ”は一人で待ち続ける。何があっても、前を向いて生きる―。草木や花々、鳥の声。生命の力に支えられ、光に守られて生き抜く“とわ”の物語。

評価 7/10

どれだけ普通ってことが有難いのか…。

きっと日常の不満に思ってたことすべてが、吹き飛ぶ様な読書体験ができると思います。

当たり前に感謝して、日常がパッと明るくなる素敵な1冊。

今までの本当はテイストが違うけども、描いた世界の晴れた感じはやっぱり温かかったです。

 

心淋し川

不美人な妾ばかりを囲う六兵衛。その一人、先行きに不安を覚えていたりきは、六兵衛が持ち込んだ張形に、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして…(「閨仏」)。飯屋を営む与吾蔵は、根津権現で小さな女の子の唄を耳にする。それは、かつて手酷く捨てた女が口にしていた珍しい唄だった。もしや己の子ではと声をかけるが―(「はじめましょ」)他、全六編。生きる喜びと哀しみが織りなす、渾身の時代小説。

評価 6/10

一言で言えば読み終わった後にホッとする味わい深い時代小説。誰もが抱えてる人生の境遇や哀しみをいい意味で受け入れながら生きてる時代だからこその人間らしさを感じました。

儚い10代の恋物語の「心淋し川」と昔別れた女との再開する「はじめましょ」が好きでした。

 

職業、お金持ち

評価 8/10

「貧乏ってね、自分自身で選んでるんだよ?」

女子大生と大富豪の対話形式で進む話なので、非常に読みやすくて理解もしやすい内容なのですが、確信的なワードが多くて読んでてメモを書く手が止まりませんでした。

稼ぐ額を増やしたいなら、自分の器を広げるって確かに大事だなぁと共感。

お金をポジティブに学べる良書でした。

 

コロナと潜水服

評価 7/10

ちょっとした日常に起こる奇跡が愛おしい物語。

帯にある「あなたのしあわせ、って何ですか?」

この問いへの答えを考えながら読んでみると、コロナで変わった生活様式への考え方も改まるかなと思います。

ずっと欲しかった車を手にした男性が遭遇した奇跡のお話、「パンダに乗って」が素晴らしかったです。

完パケ!

経営難で閉校が噂される武蔵映像大学で、卒業制作の映画を撮れるのは、たった一人。監督志望の安原と北川は、コンペでガチンコ勝負することに。天然の安原と、策士の北川。撮影は、前途多難の幕開けとなったが―。さまざまな喪失を経て傷つきながら、彼らが手にしたものは。瑞々しく輝く青春ストーリー!

評価 6/10 

映画監督を目指す大学生の直球勝負の青春ストーリーって感じで、まるでドラマか映画を見ている気分にさせてくれる作品。

持ってる者と持たざる者が、互いに惹かれ合いながらもライバル関係でいるって、ベタベタなストーリーながらも、描き方が上手いのでめっちゃ没頭して一気読み。

珍しく恋愛要素もなくて、夢にだけただ真っ直ぐに向かっていく様は熱くさせてくれましたね。

 

きみはポラリス

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている―。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集

評価 6/10

三浦しをんさんの描く11話からなる恋の短編集。

人の数だけ色々な恋愛の模様があると思うのだけど、それを体現した様な小説でした

恋愛の本質って人それだろうなと、幸せの捉え方に対してなんだか考えさせられました。

 

花束みたいな恋をした

はじまりは、終電だった――
東京・明大前駅で終電を逃し偶然に出会った山音 麦と八谷 絹。
人生最高の恋をした、奇跡のような5年間を描く、
映画『花束みたいな恋をした』より、ノベライズ。

評価 7/10

大ヒット中の映画「花束みたいな恋をした」のノベライズ版。

最後の方は、心にチクチク刺さる感じがあるけど、読んで良かったと思える温のあるラブストーリーでした。

ほんとに幸せって人それぞれだよねと思いながら、幕を閉じた二人の関係性に切なく涙しました。

 

その扉をたたく音

あらすじ
29歳、無職。

ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。

音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。

人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。

評価 6/10

29歳で無職のミュージシャンを目指す若者が主人公の物語。

瀬尾さんらしい文体で描かれる若者と老人ホームの人達の会話は、わかっていても笑ってしまうくらいに軽快で面白い。

少しずつ変わって行く日々の中で、青春を思い出しいながら一歩踏み出す決意をする主人公と図々しくもそれを後押ししてくれる老人達。

二人のセッションに、音楽に感動させられるし、最後は本当に泣かされた。

 

四十九日のレシピ

あらすじ
妻の乙美を亡くし気力を失ってしまった良平のもとへ、娘の百合子もまた傷心を抱え出戻ってきた。 そこにやってきたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。 乙美の教え子だったという彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を伝えにきたのだった。 大切なひとを亡くしたひとつの家族が、再生へ向かうまでの四十九日間を描いた、感動の物語。

評価 7/10

去年読んだ2作品が大当たりだった、伊吹さんの10年前の作品。

喪に服す悲しい話かと思いきや、問題を抱え込んだ家庭の再生の物語で、優しくもあり、切なくもあり、希望が持てるお話。

キャラが結構軽めな設定なので、重い話も非常に軽快に読めましたね。

 

ミッキーマウスの憂鬱

あらすじ
東京ディズニーランドでアルバイトすることになった21歳の若者。友情、トラブル、恋愛……。様々な出来事を通じ、裏方の意義や誇りに目覚めていく。秘密のベールに包まれた巨大テーマパークの〈バックステージ〉を描いた、史上初のディズニーランド青春成長小説。登場人物たちと一緒に働いている気分を味わってみて下さい。そこには、楽しく、爽快な青春のドラマがあるはずです。

評価 6/10

まさに夢の世界の裏側にある物語なんですが、夢見てた世界とのギャップと、ゲストの夢の為の努力が描かれててなかなかのお仕事小説です。

こんなとこでも、社員同士の確執や出世の争いなんかの、人間らしいリアルが垣間見えるとは。
踊る大捜査線の刑事みたいな世界だなぁと笑えました。

アーモンド

あらすじ
扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」を丸暗記されることで、なんとか“普通の子”に見えるようにと訓練してきた。だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちになってしまう。そんなとき現れたのが、もう一人の“怪物”、ゴニだった。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく―。怪物と呼ばれた少年が愛によって変わるまで。

評価 7/10

感情のない主人公が淡々と描かれているのだけど、物語の起伏は結構激しくて、辛い事も楽しい事も起こります。

感情を抱くことはできないけど、他人の感情を理解し、尊重しようとする姿勢と、成長をみてると心がとても揺さぶられました。

全てを受け入れながら、しっかりと前を見て生きていくこと。

最後に感じる救いによって、物語の余韻は深くなりましたね。

 

TSUGUMI

あらすじ
病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と姉妹のように育った海辺の小さな町に帰省した私は、まだ淡い夜の始まりに、つぐみとともにふるさとの最後のひと夏を過ごす少年に出会った――。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第二回山本周五郎賞受賞作。

評価 8/10

もう、吉本ばななさんの世界観が素晴らしすぎでした。

なんでこんな混沌とした世界をキラキラと透明感のある素晴らしい情景で描けるんだろうね。

夏、友情、恋、青春の煌びやかな中につぐみをはじめとする強烈なキャラがいて、想像力を掻き立てる素晴らしい描写の数々。

夏になるときっとこの作品を思い出す。また夏が来たらこの作品を読みたくなる

切ないけれどまた、読みたくなる素敵な作品です。

 

満天のゴール

あらすじ
舞台は星空が美しい医療過疎地。人生どん底のシングルマザー、人生に責められ続ける医師、人生をあきらめている老女、3人の出会いが、人生を変えてゆく―希望をもたらす、人間味あふれる医療小説。

評価 8/10

長年看護師として働いた藤岡さんが見てきた人の生と死。

死をゴールと言いながら、生きている時間をとても前向きに捉えながら自分の最期の時間を過ごす。

死という重いテーマながらも、描く世界は前向きで暗い話ではないのがとてもいいです。

読んだ後に何を感じ取って、自分の人生をどう生きるかを考えさせられる素敵な作品。

 

メンタル強め美女白川さん

あらすじ
女子の自己肯定感が世界を救う! メンタル強め美女・白川さんが、ひがみ、嫌がらせやマウントなど、女性を苦しめるプチストレスをはねのける。現代の闇と戦うすべての女子に捧ぐ、最強美女の痛快コミック登場!

評価 6/10

SNSで話題のコミックエッセイを読みました。

「私の辞書に「ひがみ」の文字はない。女子の自己肯定感が世界を救う!」というキャッチコピーの通り、めっちゃ前向きな美女白川さんの日常に起こるひがみや嫌がらせなどを跳ね返す白川さんの言葉の数々がとても痛快です。

 

ほたるいしマジカルランド

あらすじ
大阪の北部に位置する蛍石市にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘中。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら……。そんなある日社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走る。

評価 6/10

寺地さんの新刊は、テーマパークを舞台とした1週間の物語。

曜日毎に登場人物の視点が変わりながら、その人の抱えてる苦悩や悩みを他の人が気づきをくれる。

社長の優しさや遊園地の存在意義など、感じられることがたくさんあり、そこで働くこと意味とやってくる人の気持ちはやっぱり特別なんだなと。

コロナ時代だからこそ、人に希望とか豊かさの意味を教えてくれる遊園地の物語を描いたのかな?と思ってしまいます。

 

すーちゃん

あらすじ
玄米を試したり恋愛攻略本を買ったり老人ホームの広告を見て「大人」とため息をついたり。今の自分は嫌だけど、なりたい自分もわからない。カフェで働くすーちゃん34歳の日常を描く四コマ漫画。

評価 6/10

30歳くらいの人生の分岐点にいる人に刺さるコミックエッセイ。

誰もがド派手な人生で何かが起こるなんてことは無くて、何も起こらない人生だからこそ悩んで、悩んでまた頑張るの繰り返し。

そんな日々に疲れた人の心を癒やしてくれる作品です。

 

グラスバードは還らない

あらすじ
マリアと漣は大規模な希少動植物密売ルートの捜査中、得意取引先に不動産王ヒューがいることを掴む。彼には所有タワー最上階の邸宅で、秘蔵の硝子鳥(グラスバード)や希少動物を飼っているという噂があった。タワーを訪れた二人だったが、タワー内の爆破テロに巻き込まれてしまう! 同じ頃、ヒューの所有するガラス製造会社の社員や関係者四人は、知らぬ間に拘束され、窓のない迷宮に閉じ込められたことに気づく。「答えはお前たちが知っているはずだ」というヒューの伝言に怯える中、突然壁が透明になり、血溜まりに横たわる社員の姿が!?

評価  8/10

「ジェリーフィッシュは凍らない」から続くマリア&漣シリーズの第3弾がようやく文庫として登場。

72階の超高層ビルで起こる殺人事件と、同じビルで起こる爆破テロ。

同時刻の同じ場所で起こっている事件が、平行に描かれているはずなんだけど‥全員死んでる。

今回も、正直やられました。(これで3回目‥お見事。)

 

昨夜のカレー、明日のパン

あらすじ
悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」の力がじんわり心にしみてくる人気脚本家がはじめて綴った連作長編小説。

評価  7/10

25歳で亡くなった夫の妻と義父のその後の日常を綴った物語。

残された2人が移り変わっていく日々の中で、どう生きるのか。

淡々と過ごしてゆく日常に散りばめられた言葉と想いが深く染みます。

派手なことも起こらず、日常は続いていくけど、何故か納得してしまう。

これが生きていくことって、感じさせられる物語でした。

 

本屋の新井

評価6/10

本屋のとタイトルにある通り、本屋で働く書店員さんのエッセイ集。

現場目線ならではの逸話や本にまつわる内容ばかりなので、読書好きな方は結構新鮮で面白い本だと思います。

 

麦本三歩の好きなもの

あらすじ
好きなものがたくさんあるから、毎日はきっと楽しいー
図書館勤務の20代女子・麦本三歩のなんでもないけど
幸せな日々を描いた心温まる日常小説。

評価 6/10

三歩の日常にあるなにげないエピソードが笑えたり、温かくて、少し笑えるんですが憎めないキャラ。

誰もがドラマや映画みたいな劇的な人生を過ごしてないけど、日常って幸せに満ちてるよって教えてくれる住野さんの視点がおもしろい。

好きなものがある日常は、だらだらとなにも起こらなくても楽しいもんだと思わせてくれる物語です。

 

法廷遊戯

あらすじ
法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不可解な事件が続く。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――?

評価  8/10

ミステリなので詳しく書けませんが、一言で言うと読みだしたら止まらん面白さで一気読み。

法の専門的な知識で難しい場面も出てきますが、非常に読みやすい描き方が多かったです。

本格的なミステリーの中に冤罪というテーマがあって、随所にある伏線からのラストが見事でしたね。

 

おしゃべりな人見知り

あらすじ
時に一緒に笑い、時に悩みに寄り添って涙する。泣いて、笑って、大忙しの作品集。大人気料理ブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」の大反響ネタに大幅加筆。さらに書き下ろしの新作も多数掲載。エッセイにちなんだおいしいレシピも掲載した欲張りな一冊です

評価  7/10

大人気料理ブロガーの3冊目のエッセイです。

ブログも毎回チェックしていますが、めちゃくちゃ笑えるので読む時は一人になって読んで下さい。

特に好きなのは、毎年恒例で旦那さんの実家に帰省する際の「ただ食べたものを書き連ねらだけの日記」

食べてるだけ、息してるだけ、消化してるだけの話なのに面白すぎます。

 

白鳥とコウモリ

あらすじ
遺体で発見された善良な弁護士。
一人の男が殺害を自供し事件は解決――のはずだった。
「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」
2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の”告白”、その絶望――そして希望。
「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」
私たちは未知なる迷宮に引き込まれる――。

評価  9/10

東野圭吾さん98冊目の作品は、罪と罰をテーマに描くミステリー。

522Pの大ボリュームを一気読みさせるストーリーは本当にお見事すぎて、何度も先を考えながら読み直してましたが、結末は全く予想できない結果になりましたね。

白夜行とか容疑者Xの献身が好きな方なら絶対にはまりますよ。

 

家族シアター

あらすじ
「家族」で起こる、ささやかな大事件。いま一番旬な作家、辻村深月の最新文庫。息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。家族を描く心温まる全7編。

評価 7/10

家族って、時に面倒でありながらも、自分の帰る場所であり、特別な場所でもある。

逃げ場がないからこその感情をうまく表現された作品の中に、温もりがありますね。

辻村さんて本当に女の子のちょっとした気持ちを拾って、表現するのが上手いですよね。

普段当たり前に接する家族の物語だからこそ、日常にある想いが詰まってるんだと思います。

 

すべて忘れてしまうから

あらすじ
いまはない喫茶店、帰りがけの駅のホーム、予定のなかったクリスマスイブ、点滴の終わりを告げるナースコール、安いビジネスホテルの廊下、知らない街のクラブ、朝のコンビニの最後尾、新幹線こだまの自由席、民宿の窓でふくらむ白いカーテン、居場所のないパーティー会場―ふとした瞬間におとずれる、もう戻れない日々との再会。ときに狼狽え、ときに心揺さぶられながら、すべて忘れてしまう日常にささやかな抵抗を試みる「断片的回顧録」。

評価 6/10

あの時の遠い記憶が蘇るような、何でもないけどなにか大事な感情がそこにはある思い出。

日記のような記憶の集合体なんだけど、本当にその瞬間が生きているような文章表現されてます。

センスがいい文章の繋げ方だったり、例えだったり、記憶の切り出し方だったり、すごい才能でした。

 

麦本三歩の好きなもの第二集

あらすじ
後輩、お隣さん、合コン相手ーー
三歩に訪れる色んな出会い
図書館勤務の20代女子・麦本三歩の
あいかわらずだけどちょっと新しい日々

評価 6/10

この物語は、他愛もない日常と仕事とプライベートの話をしてるだけなんだけど、なんかほのぼのして、キャッチーで、この何も起こらないダラダラ感がいい。

デートで連れて行ってもらった焼肉屋で割り勘かどうかを気にしたり、先輩の結婚式で二日酔いをして、またそれを繰り返す。

本当に真面目でありながら、一生懸命やっても抜けていて、バカだなぁと思いながらも構いたくなる人。

読めば読むほどに三歩が好きになる不思議さがありますね。

 

億を稼ぐ積み上げ力

評価 6/10

元々ブロガーのトップであり、ビジネスYou Tuberでも著名なマナブさんの本。

コツコツタイプの作業の積み重ねでのPCDAを回しながら、常に変化を感じ取ってビジネスチャンスを掴み取る嗅覚がすごいですね。

マナブさんの読み物を見ると、読みやすい文章の書き方の勉強にもなります。

Kindleunlimitedで読めます。

 

金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン

某アメリカの本のオマージュですが、今の日本に必要な考え方が描かれてますね。

会社員で会社に縛られてる方に読んで欲しい内容ですが、本当にこれ読んで行動したら1年で人生は変るでしょうね。

学校では教えてくれない今の働き方のヒントが詰まってます。

こちらもKindleunlimitedで読めます。

 

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

評価 7/10

オードリー若林さんの旅行記エッセイ。

そこに旅する理由がまた面白く、行った先の景色の描写やその時の気持ちの描き方が上手いんですよね。

旅をする理由は人それぞれですが、その瞬間にしか感じられないような言葉をとても印象的に描かれてますね。

特にキューバの旅は、今の日本との対比がとてもわかりやすく、日本で生きててモヤモヤしたり、ちょっと居場所のない人には刺さるんじゃないかな。

 

結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日

あらすじ
このまま結婚もせず子供も持たずおばあさんになるの?スーパーで夕食の買い物をしながら、ふと考えるすーちゃん36歳、独身。ヨガ友達のさわ子さんはもうすぐ40歳。寝たきりの祖母と母との3人暮らしで、13年間彼がいない。恋がしたい。いや、恋というより男が欲しい。女性の細やかな気持ちを優しく掬いとる、共感度120%の4コマ漫画。 

評価 7/10

30代女性の抱える悩みを描いたコミックエッセイ。

前作も面白かったですが、やっぱり気持ちの描き方がリアル。

不安な気持ちを代弁させてくれながら、払拭させてくれる優しさがあります。

 

花の鎖

あらすじ
両親を亡くし、愛する祖母もガンで入院中、さらに講師として働いていた英会話スクールが破綻し金銭的に困っている梨花。
建設会社で働いていたが、伯父夫婦のすすめで営業職の和弥と結婚した美雪。
公民館で水彩画教室の講師をしつつ、和菓子屋でバイトをしている紗月。
そして、3人の女性の人生に影を落とす謎の男・K――。
大ベストセラー「告白」でのデビューから進化し続ける作家・湊かなえが放つ、感動のミステリー。

評価 7/10

「K」というイニシャルの人物を使った巧みなミステリー小説。

3つの物語を読ませながら、複雑な糸を解いていくようにどんどん物語の先が見えてくると衝撃的なラスト。

ネタバレになるので全然書くことないのですが、ちょっと時系列がややこしくて、捻りすぎてる感じもありましたね。

タイトルの意味を知ってしまうと腑に落ちる内容なのですが、湊さんの巧みなプロットは流石でした。

 

スモールワールズ

あらすじ
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。

評価 8/10

6つの短編がどれも内容が濃すぎて、読み終わってもどの話も2度、3度読んでしまった

悲しいエピソードのラストにあっと驚く展開が待っている話や最後がホラー過ぎて恐ろしい話があり、全体を通して感情が目まぐるしく変わる1冊です。

比喩表現がとても上手いし、湊かなえさんみたいなゾクゾク感があって楽しめますね。

短編でこんなにレベルが高いと、長編がどんな感じになるのか楽しみで仕方がありません。

 

最高のアフタヌーンティーの作り方

あらすじ
老舗ホテルで働く涼音は、念願叶って憧れのマーケティング部サービス課、アフタヌーンティーチームに配属された。
喜び勇んで、アフタヌーンティーの新企画を出したものの、パティシエ・達也に「目新しければいいってもんでもないから」と冷たく却下されてしまう。
「最高のアフタヌーンティーって、一体、なんだろう」?
大人気「マカン・マラン」シリーズの古内一絵、期待の新作が登場です!

評価 8/10

日本で初めてアフタヌーンティーを出したホテルを舞台に繰り広げる物語は、美味しそうなお菓子やお茶だけにとどまらず、人の成長とともに多様性や人生観までも描いた作品です。

産まれる国や時代の背景によって、想いや生き方は違うけどみんな必死で頑張って生きてるなと、お仕事小説としても考えさせられます。

 

お茶の時間

あらすじ
「あそこの女子会はなにに盛り上がっているのだろう?」「あのカップル、初々しいなぁ」「あっちの男性はパソコンで何をしているのだろう?」、まわりを見渡し、自分についても思索にふけったり。
大人気・益田ミリが贈る、ゆるふわ、楽しい人生エッセイ・マンガ。

評価 5/10

のんびりとした時間にふと読みたくなる益田さんのエッセイ本。

漫画で描かれてる本書は、カフェでの出来事や思ったことを書き連ねています。

益田さんの作品は、本は読みたくないけど‥ってときにぴったりな感じで、軽く読める割に何か自分の思いに重なる部分があってホッとするんですよね。

 

さよならドビュッシー

あらすじ
祖父と従姉妹とともに火事に遭い、全身大火傷の大怪我を負いながらも、ピアニストになることを誓う遥。コンクール優勝を目指して猛レッスンに励むが、不吉な出来事が次々と起こり、ついに殺人事件まで発生する……。ドビュッシーの調べも美しい、第8回『このミス』大賞大賞受賞作。

評価 7/10

斬新な設定の本格的なピアニストの物語とミステリーが合わさった感じの作品。

ピアニストの成長を描いた作品としても楽しめるし、ミステリーとしても先が気になる展開になってます。

探偵役が異色のピアニストってもの面白いが、主人公視点の物語がまた見事な展開を生みました。

続編もあるみたいなので、また買ってみます。

 

物語のなかとそと

あらすじ
読むことと、書くことにあけくれて暮らす著者の日常は、現実を生きている時間より、物語のなかにいつ時間のほうがはるかにながい。散歩も、旅も、お風呂も、その延長のなかにある。

掌編小説と 全身で拾い集めた世界じゅうの瑣末なものものについて書かれた文章たち。著者の創作と生活の「秘密」がひもとかれるスリリングな散文集。

評価 6/10

書くこと、読むことについて綴られたエッセイ集。

江國さんらしい文章表現とファンタジーみたいな作品もあり、数ページで読めるエッセイが沢山読めて楽しめます。

作家活動の裏側や日々思ってること、旅先で感じたことなど、読んでてドキドキが多かったですね。

 

四畳半タイムマシンブルース

あらすじ
水没したクーラーのリモコンを求めて昨日へGO! タイムトラベラーの自覚に欠ける悪友が勝手に過去を改変して世界は消滅の危機を迎える。そして、ひそかに想いを寄せる彼女がひた隠しにする秘密……。

評価 8/10

四畳半神話大系ファン必見の作品。

めちゃくちゃ面白かった。

リモコンとコーラによってこれほどの大作が描かれるとは、本当にお見事でしたね。

伏線の回収、設定が非常に巧妙で面白かったです。

 

安いニッポン 「価格」が示す停滞

評価 7/10

世界はこれだけ物価が上がっても賃金も上がってる。じゃあ日本は?

今の日本の現状と、長く続くデフレが引き起こすマイナス要素が具体的に書かれています。

給料安くても物が安いから、節約さえすればお金貯まるし〜って思ってる方の未来はかなり危険です。

 

おいしくて泣くとき

あらすじ
貧困家庭の子どもたちに無料で「こども飯」を提供する『大衆食堂かざま』。その店のオーナーの息子、中学生の心也は、「こども飯」を食べにくる幼馴染の夕花が気になっていた。7月のある日、心也と夕花は面倒な学級新聞の編集委員を押し付けられたことから距離が近づき、そして、ある事件に巻き込まれ…。無力な子どもたちをとりまく大人たちの深い想い。「美味しい奇跡」を描いた希望の物語。

評価 9/10

貧困家庭の子供達に無料で「こども飯」を提供する大衆食堂の息子とそこに食べに来る同級生の夕花。

いじめ、貧困や虐待がテーマにあり、中学時代にありそうなクラスでの会話が結構懐かしくもあり、心にグサグサと刺さります。

本当に最後は終わるのが悲しいくらいに涙が止まらなくて、号泣していました。

 

週末、森で

あらすじ
そうだ、田舎で暮らそう。ある日思い立って森の近くで暮らしはじめた翻訳家の早川さんと、週末ごとにお土産を手に、早川さんを訪ねてくる経理部ひとすじ14年のマユミちゃんと旅行代理店勤務のせっちゃん。畑を耕すことも、ナチュラルライフにはまることもなく、仲良し3人組がてくてく森を歩く…働く女性に贈る共感度120%の四コマ漫画。

評価 5/10

東京から森に移住したアラサー女性と、東京で働く友人2人を描いたコミックエッセイ。

よくある自給自足と言うよりは、スローライフをしながら家と地域でできる生活をして、そこで出逢えた人達に教えて貰ったことや体験できることを楽しんでる印象の本。

森で得た体験が、社会に戻った時に気づきになるって良いですよね。

 

あのこは貴族

あらすじ
東京生まれの箱入り娘・華子は、結婚を焦ってお見合いを重ね、ついにハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。一方、地方生まれの上京組・美紀は、猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退。現在はIT企業に勤めながら、腐れ縁の「幸一郎」との関係に悩み中。境遇の全く違う二人が、やがて同じ男をきっかけに巡り会い―。“上流階級”を舞台に、アラサー女子たちの葛藤と解放を描く傑作長編。

評価 8/10

東京の上流階級のお嬢様と、地方から努力で東京にやってきた女性の物語。

特にthe東京出身というあるあると、生まれながらにして勝ち組に属する彼女たちの家庭の話はとても愉快でした。

地方から東京に行った人間にしか分からない背景はみんなあるあるだし、美紀の境遇は痛いほど分かるでしょう。

憧れ続けても駄目。背伸びしても駄目。

人生諦めて、前に進むのも大事だし、受け入れるのも超重要。

色んな人がいるけども、自分らしさを手に入れましょう。

この作品タイトルこそポップな感じがしますが、内容はかなり人間らしい本質が詰まっていて共感度高いですね。

 

自作の小屋で暮らそう

あらすじ
誰にも文句を言われず好きなだけ寝ていられる。時間を気にせず好きなことができる。10万円で小屋を作ってベーシックに暮らす(Bライフ)までの試行錯誤。雑木林に土地を買い、手工具で小屋を建て、水や電気、トイレ等の生活設備を整える。地元の人の反応や野生動物との出会いも。文庫化にあたり薪ストーブの楽しみについても追記。小屋ブームの一端を担った本。

評価 5/10

自分で作った小屋で暮らすという、考えたこともなかった価値観を教えてくれる本。

土地を買い、小屋の材料を買い、小屋を建てて生活する。

100万円もあれば可能な生活なので、人生の可能性の一つとして読んでおくととネタになると思います。

 

やっぱり食べに行こう

あらすじ
ゴッホもこんなふうにパンをかじりながら、サン=レミからパリへと戻ったのかもしれない。小説、アートと同じくらい「おいしいもの」が大好き!『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』『たゆたえども沈まず』などの取材先で食べた「思い出の一品」をつづる満腹エッセー集

評価 6/10

原田マハさんのおいしいを探す旅。

取材先で食べた現地の食べ物、海外で食べる日本食の味、美味しいものを探しに行く旅など、1話が2ページなので、ほんまに無限に美味しいものが出てきます。

そのどれもが魅力的であり、楽しそうだからもう最高。

 

世界は終わらない

あらすじ
書店員の土田新二・32歳は、後輩から「出世したところで給料、変わんないッスよ」と突っ込まれながらも、今日もコツコツ働く。どうやったら絵本コーナーが充実するかな? 無人島に持って行く一冊って?1Kの自宅と職場を満員電車で行き来しながら、仕事、結婚、将来、一回きりの人生の幸せについて考えを巡らせる。ベストセラー四コマ漫画。

評価 7/10

いつもなら主人公は女性な益田さんの珍しい男性が主人公のコミックエッセイ。

32歳の独身 書店員の日々の出来事やアラサーならではの想いが詰まっていて共感の嵐でした。

書店員なので、読んでる本が色々と出てきて、読みたい本と沢山出逢えましたよ。

 

心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ

あらすじ
部屋を浄め、心を浄め、人生を浄める片づけ術
モノを捨てられないのは、モノにまつわる過去の記憶や、
そのモノが表している 自分のプライドなど、心理的な原因がじゃまをするから。
それらを捨てない限り、心の中も整理できず、前に進むことができません!
溜め込んでいるモノと自分の心との関係をはっきりさせ、
モノから解放されるためのヒントが満載の一冊。

評価 7/10

過去への執着が捨てられない人間を作るんだと思わされた1冊。

色んな片付けの本を読んだけど、コレはなかなか刺さりましたね。

読んだらかなりスッキリしますよ。

 

雪のなまえ

あらすじ
「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。
いじめにあい登校できなくなった小学五年生の雪乃は、
父とともに曾祖父母が住む長野で暮らしを始める。
仕事を諦めたくない母は東京に残ることになった。

ほんとうの自分を受け容れてくれる場所。
そこを見つけるため、今いる場所に別れを告げるのは、決して逃げではない。

評価 8/10

長野の自然豊かな環境と穏やかな村の人々の存在が、少女の閉じた心を段々と開いていく姿に話が進む度、とても応援してしまいました。

今いる場所に居続けることは確かに楽だけど、一気に環境を変えるだけでもっと人生変わるかもって思います。

この作品読みながら伊吹さんの「雲を紡ぐ」に重なりましたね。

あれは岩手だったけど、どちらの作品も豊かな自然の描写と人生の大先輩からの言葉が胸に残ってます。

 

まなの本棚

あらすじ
「本の出逢いは人との出逢いと同じ」
年間100冊以上も読み、本について語り出したら止まらない芦田愛菜が
本当は教えたくない“秘密の約100冊”をご紹介。
世代を超えて全ての人が手に取ってみたくなる
考える力をつけたい親御さんと子供たちにも必読の書です。

評価 8/10

芦田愛菜ちゃんって懐かしいなと思って手にとってみると、本気の読書家であり、本への愛が詰まった1冊だったので買ってしまいました。

本を読む方は勿論だけど、本を読んでみたい方、読みたい本を見つけたい方にはとても刺激になる本だと思います。

 

正欲

あらすじ
息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。

しかしその繋がりは、”多様性を尊重する時代”にとって、
ひどく不都合なものだった――。

これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?

作家生活10周年記念作品・黒版。
あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。

評価 9/10

テーマは作中何度も出てくる、多様性と言う言葉に込められてます。

分かったつもりでいたはずの言葉も、この作品を読むと何も知らない自分が恥ずかしくなった。

どれだけ俯瞰して見ていたつもりでも、狭い視野しか持ってなかったと。

誰にも言えない苦しみは、時にして色んな問題を生み出してくる。
だけどそれを理解してくれる人が居たのなら‥。

人間の本当の心の底は見えないし、全てを受け入れることは出来ないからこそみんな我慢して生きているよね。

理解できる世界、受け入れる度量、読みながらすごい考えさせられましたね。

 

あまからカルテット

あらすじ
野蛮な乙女らよ、青春の最終コーナーを突っ走れ! 女子校時代からの仲良し四人組。アラサーに迫り来る恋や仕事の荒波を、稲荷寿司やおせちなど料理をヒントに無事解決できるのか――彼女たちの勇気と友情があなたに元気を贈る! 危うく美しい29歳たちを描く傑作ラブ・コメディ

評価 6/10

ピアノ講師、デパコスの美容部員、編集者、料理研究家の同級生4人が、身の回りに起こる事件に力を合わせて解決していくお話。

食がテーマなので、読んでてお腹が空くし、出てくる食べ物みんな魅力的なんですよね。

キーンと冷えたハイボールが飲みたくなり、いなり寿司が美味しそうで堪らなくなります。

話の展開的にツッコミどころ満載の行き過ぎた感はあるのですが、最後の1話に上手く集約されてましたね。

 

おりたたみ自転車はじめました

評価 7/10

休日も家にこもって寝るだけだった作者がおりたたみ自転車に出逢ってから、ご近所から日本全国どこでもサイクリングをするという自転車好きになった過程と、おりたたみ自転車の魅力を描いた素晴らしい本です。

1300円とは思えないフルカラーの大ボリュームで描かれてて、情報量も濃いし、すごく魅力的な本だと思います。

四万温泉やしまなみ海道をおりたたみ自転車で一緒に旅するって素敵ですね。

 

声の在りか

あらすじ
「こんなところにいたくない」パート帰りの希和が見つけたのは、小学四年生の息子・晴基とそっくりの筆跡で書かれた切実なメッセージだった。本人に真意を問いただすことも夫に相談することもできない希和は、晴基が勝手に出入りする民間学童『アフタースクール鐘』で働きはじめる。マイペースな経営者・要や子どもたちに振り回されながらも、希和はいつの間にか自分の考えを持たない人間になってしまっていたことに気付く。周囲から求められるものでも、誰かからの受け売りでもない、自分自身の言葉を取り戻すためにひとりの女性が奮闘する、大人の成長小説!

評価 7/10

相変わらず共感の嵐。

日常の中で、心の中に仕舞い込んでしまった本音ありますよね。

人には同調出来ないし、自分の意見もうまく言えない人って生きづらい。

コロナ化において、本音隠してる人もっと増えてると思うし、疲れてる方も物凄く増えてると思う。

この作品読んで、少しでも共感したら、今日から自分変えていけるでしょう。

それくらいの魔法があると良いなと思う作品です。

 

アリバイ崩し承ります

あらすじ
美谷時計店には「時計修理承ります」とともに「アリバイ崩し承ります」という貼り紙がある。難事件に頭を悩ませる新米刑事はアリバイ崩しを依頼する。ストーカーと化した元夫のアリバイ、郵便ポストに投函された拳銃のアリバイ……7つの事件や謎を、店主の美谷時乃は解決できるのか!?

評価 6/10

全7話からなる短編集で、毎回事件に悩んだ刑事が時計店を訪れて、事件を解決してもらうんですが、こんなに殺人事件のことをペラペラ喋って良いの?って感じで相談する姿にツッコミを入れたくなる設定です。

そんな設定はさておきながら、ミステリーの本質部分はなかなか本格。

まるで探偵役と一緒に出されてた問題をクイズ形式で解いてる様な気持ちになります。

あっと驚くような事件やトリックはありませんでしたが、ミステリー好きなら楽しめると思います。

 

ものは捨てても、ワタシは「好き」を捨てられない

あらすじ
「ミニマリスト=ものがない」ではない
暮らしが窮屈にならない、
ミニマルな暮らし方
人気ミニマリストVloggerのmamiさんが綴る、
モノと向き合って身軽に心地よく、
そして毎日が楽しく豊かになる
ものへの向き合い方と暮らしの工夫。

評価 5/10

スッキリした部屋で、好きなものに囲まれた暮らしを体現した本。

You Tubeの方で観てたお部屋と考え方が写真と文字で楽しめる感じなのですが、ちょっと内容が少なかった気がします。

 

鹿の王 1

あらすじ
強大な帝国・東乎瑠(ツオル)から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角(どつかく)”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!? たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう!

評価 7/10

本屋大賞受賞してる長編ファンタジー。

2年前からの積読でしたが、読み始めたら止まらない面白さで一気読み中です。

疫病か、民族の思想とか、テーマがこの先どうなるのか見ものです。

 

鹿の王 2

あらすじ
謎の病で全滅した岩塩鉱を訪れた若き天才医術師ホッサル。遺体の状況から、二百五十年前に自らの故国を滅ぼした伝説の疫病“黒狼熱”であることに気づく。征服民には致命的なのに、先住民であるアカファの民は罹らぬ、この謎の病は、神が侵略者に下した天罰だという噂が流れ始める。古き疫病は、何故甦ったのか。治療法が見つからぬ中、ホッサルは黒狼熱に罹りながらも生き残った囚人がいると知り……!?

評価 7/10

読み進める毎にキャラの造形が深くなり、物語に惚れ込んでしまってます。

疫病の正体と民族対立の先に何があるのか、気になりすぎて早足で読んでしまいます。

 

鹿の王 3

あらすじ
何者かに攫われたユナを追い、“火馬の民”の集落へ辿り着いたヴァン。彼らは帝国・東乎瑠の侵攻によって故郷を追われ、強い哀しみと怒りを抱えていた。族長のオーファンから岩塩鉱を襲った犬の秘密と、自身の身体に起こった異変の真相を明かされ、戸惑うヴァンだが…!?一方、黒狼熱の治療法をもとめ、医術師ホッサルは一人の男の行方を追っていた。病に罹る者と罹らない者、その違いは本当に神の意思なのか―。

評価 8/10

バラバラのピースが一気に集まって、物語の形が見えてきた3巻。

民族的な対立の先にある、各々の想いが一体どういう形で決着を見せるのか最後が気になります。

 

鹿の王 4

あらすじ
何ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、人類を脅かす病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をしかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、完結!

評価 9/10

読み終わるのが勿体ないほどに感情移入して、ページが無くなっていくのが辛すぎました。

最後はなんとも言えない儚い終わり方でしたね。

政治、文化、病理学などの話が異世界なのにとても現実的で、全く架空の話とは思えないような話でしたね。

これから先もきっと読むだろうと思う、大好きな1冊になりそうです。

 

つまらない住宅地のすべての家

あらすじ
とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。
そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。
自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。

住宅地で暮らす人間それぞれの生活と心の中を描く長編小説。

評価 7/10

脱獄のニュースによって繋がりを持った隣人たちが、お互いを知り、干渉しあう事で、各家庭の持つ事情が少しずつ変化していく様が描かれてます。

日常に非日常が飛び込んでくると、人って変われるのかなと思う。

各家庭の闇と光が見えて、切ないながらも最後には希望が詰まってました。

つまらない人なんか居ないし、平凡だけども、人は人を変えられる力を持ってるんだと再認識させられました。

 

死にたがりの君に贈る物語

あらすじ
全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリ。だが、人気シリーズ完結を目前に訃報が告げられた。奇しくもミマサカの作品は厳しい批判にさらされ、さらにはミマサカに心酔していた16歳の少女・純恋が後追い自殺をしてしまう。純恋の自殺は未遂に終わるものの、彼女は「完結編が読めないなら生きていても意味がない」と語った。
やがて、とある山中の廃校に純恋を含む七人の男女が集まった。いずれもミマサカのファンで小説をなぞり廃校で生活することで、未完となった作品の結末を探ろうとしたのだ。だが、そこで絶対に起こるはずのない事件が起きて――。
著者自身の根源的な問いを内包する、痛切な青春ミステリ!

評価 7/10

400P近い話なんだけど、読み始めたら続きが気になり300P位を一気読みしてしまいました。

ミステリーの部分は、違和感ありすぎて最初の方で感じた予想通りの展開でしたが、見事に裏切られるラスト。

これは、詳しく書けない内容だけど、アツくて美しい物語でした。

 

ボイステック革命

評価 7/10

音声配信のプラットフォーム「Voicy」代表の緒方さんが書かれた音声メディアの未来。

なんで音声が今伸びていて、これからのどう進化して、生活に定着していくのかという話が分かりやすく書かれてます。

声は心に響きやすいというのが納得です。

 

ランチ酒

あらすじ
犬森祥子、バツイチ、アラサー、職業は「見守り屋」。営業時間は夜から朝まで。
様々な事情を抱える客からの依頼で人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、夜勤明けの晩酌ならぬ「ランチ酒」。
別れた夫のもとで暮らす愛娘の幸せを願いながら、束の間、最高のランチと酒に癒される。
腹の底から生きる力が湧いてくる、絶品五つ星小説!

評価 6/10

「ランチ酒」ってタイトルの響きから、ヨダレが垂れそうな1冊。

美味しそうなハンバーガー、うな重、ソーセージ、チキン南蛮、アジフライなど夜に読むのにはお腹がグーグー言ってしまいそうな料理ばかり。

重い人間ドラマの裏にある至福の一杯がとても響いた1冊です。

 

六人の嘘つきな大学生

あらすじ
成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。

評価 8/10

めっちゃ面白かった就活ミステリー。

朝井リョウの何者とは全然違う驚きの展開ありで、先を読むのが楽しみすぎて止まりませんでしたね。

 

雨夜の星たち

あらすじ
三葉雨音は他人に感情移入できない26歳。
同僚星崎くんの退職を機に、仕事を辞める。
他人に興味を持たない長所を見込まれ三葉は「お見舞い代行業」にスカウトされ、移動手段のないお年寄りの病院送迎や雑用をする「しごと」をはじめる。

評価 6/10

いつもの寺地さんとは違うんだけど、やっぱり寺地さんらしい日常の些細な出来事、言葉、感情をうまく言語化してるんですよね。

見えないものが苦手で、全部はっきり言って欲しい。
これは人によっては難しく感じることもあるけど、ここまで割り切れる性格だと凄いよね。

リルカや姉との関係性とか、毒親の話とか、星崎くんとか、慌ただしく感情を揺さぶられましたね。

 

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら

あらすじ
親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸けて戦地に飛び立つ運命だった――。のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。

評価 6/10

現代から戦時中にタイムスリップするファンタジー作品。

戦時中を貧しく暮らしながら、毎日空襲に怯え、国からの不条理なお達しを受けながら生きていく中で、現代の若者がそれをどう感じて、受け止めるかがなかなかリアルでした。

今の平和な日本があるのは、こうやって生き抜いた人、守ってくれた人達のお陰なんですね。

異世界転生の恋愛小説のような形で描かれた作品なのでちょっと軽めです、が若い世代に向けてとてもおすすめな1冊です。

 

ボーンヤードは語らない

あらすじ
今度こそ傷ついた誰かを救えるように、わたしたちは警察官になった。
空軍基地での変死事件や雪密室、雨の夜の墜落事件の謎、
そして不可能犯罪に挑むマリアと漣の“始まりの事件”とは
『ジェリーフィッシュは凍らない』に連なるシリーズ第四弾は、短編集!

評価 7/10

今回は初の短編ということで、内容的にも今までの話に繋がる過去の物語になってます。
マリア、漣、ジョンの過去とマリアと漣の出会いを描いた4話。

どれも哀しい事件ばかりなのですが、短いページの中で見事に構成されてます。

主要キャラを深堀りするだけでこんなにシリーズが魅力的になるなんて、また最初から読みたくなりましたね。

 

ギフト

あらすじ
忙しさの中で見落としている「贈り物」をあなたへ。たとえば海の明るさに、手の温もりに、なにげないひとことや一本道に、あの人のジャケットに、ときには助けられることがある。なんでもない日々の中、『ギフト』はいつも私たちのかたわらにある。 

評価 6/10

何気ない日常に見つけるささやかな幸せを感じるショートストーリーが積み重ねられていて、ホロリと感じさせられたり、温かな気持ちにさせられたり、なんだか小さな幸せに出逢えたような気分になります。

1話1話たった数ページの作品にこんなにも心を掴まれるのかと思うほどに、思いっきり感動させられましたね。

 

どこでもいいからどこかへ行きたい

評価 6/10

日常につまらなさを感じた時に再読する1冊を再び読了。

この本読んでると日常の風景に気づきがあって、当たり前を見直すきっかけになります。

phaさんの考え方は人生観を見直すきっかけとなります。

 

山、楽しんでますか?

評価 7/10

登山に興味があって、少しステップアップしたい方におすすめのコミックエッセイです。

初心者から、中級者への階段を登る時に知っておきたいことや考え方などが勉強になりました。

 

妻が口をきいてくれません

評価 8/10

結婚してから月に1度位ある些細な喧嘩は、なぜ始まるんだろうと思い本屋で気になった1冊を読んでみた。

男女の考え方の違い痛烈に感じつつ、日々の感謝と気持ちを大切にしないとなぁと再確認しました。

日々の会話の大切さとお互いを尊重し、労ることや感謝を口にする重要さを感じますね。

家族は他人の共同体であるからこそ、思ったことはしっかり伝えて、聞くことも大事です。(自分に対しての戒め)

 

どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心

評価 7/10

嫌いな人あるあるの共感ポイントが一緒過ぎで、「わかる〜」の連発でした。
ほんと小さなイヤな部分がホコリみたいに溜まっていって、全てが嫌になる気持ちよくわかりますね。

なぜネガティブに引っ張られるんだろう?って時もあるけど、すーちゃんみたいな決断も大事だよね。

 

すーちゃんの恋

評価 5/10

すーちゃんシリーズ第4弾。

すーちゃんもついにカフェを辞めて、保育園の調理師に転職。

37歳独身女性の立場での結婚、出産への想いがとてもリアルな声に伝わってきます。

何かを解決してくれるわけでもないけど、日常の些細な気づきが自分を成長させてくれるし、あるあるの共感がとっても分かるって場面もありますね。

 

島はぼくらと

あらすじ
この島の別れの言葉は「行ってきます」。きっと「おかえり」が待っているから。   瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。

評価 7/10

青春小説的なんだけど、甘くて、淡い恋や友情の物語とは違う、島で生きる子供たちを中心とした人間ドラマ。

過疎化する島と、そこにIターンで人を呼び込み、一緒に暮らしていく人間関係が非常に上手く描かれてます。

高校最後の1年が、島だとこんな気持になるんだと思うと泣けてきますね。

いつかまた「おかえり」が聞ける物語を読みたくなります。

 

インヴァート

あらすじ
綿密ば犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。
だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか?

評価 6/10

はわわ、メディウムの続編がまさかの登場。

あのびっくりびっくりな小説が、シリーズ化するとは思ってもなかったですが、今作は倒叙ミステリ中編3話からなる犯人側からの目線、探偵側からの目線で進んでいくお話。

ちょっとイラつく翡翠の言動とキャラ設定はあるのですが、やっぱりこの探偵オマージュ的な設定と、見事な構成は先が気になって読ませますね。

特に最終話の手も足も出ないかと思わされる展開は、ドキドキハラハラでしたね。

 

兇人邸の殺人

あらすじ
魔眼の匣の殺人』から数ヶ月後――。神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子が突然の依頼で連れて行かれた先は、“生ける廃墟”として人気を博す地方テーマパークだった。園内にそびえる異様な建物「兇人邸」に、比留子たちが追う班目機関の研究成果が隠されているという。深夜、依頼主たちとともに兇人邸に潜入した二人を、“異形の存在”による無慈悲な殺戮が待ち受けていた。

評価 8/10

「屍人壮の殺人」から続く剣崎比留子シリーズ3作目。

今回も超意外な形でクローズドサークルになる展開で、また意外な本格ミステリーとなって見取り図と睨めっこして楽しめました。

1作目並みのインパクトがあり、それ以上の推理を広げる楽しみのあるミステリー小説でしたね。

斑目機関の謎はどう発展していくのか、次回作が楽しみです。

 

夏の庭

あらすじ
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ――。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが……。喪われゆくものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

評価 8/10

これめちゃくちゃ好みの作品でしたね。

小学生最後の夏に起こったこと、感じたことが子供たちを成長させるとても素敵なお話でした。

個人的に「スタンド・バイ・ミー」の世界観が好きなんですが、そこに共通する様な気分になりましたね。

 

3時のアッコちゃん

あらすじ
「アッコちゃんシリーズ」第二弾、待望の文庫化! 澤田三智子は高潮物産の契約社員として、シャンパンのキャンペーン企画チームに入っているが、会議は停滞してうまくいかない。そこに現れたのが黒川敦子女史、懐かしのアッコさんだった。イギリスでティーについて学んできたというアッコさんが、お茶とお菓子で会議の進行を激変させていき――!?

評価 6/10

前作に続き、お仕事小説×食べ物小説って感じで、悩める人に喝を入れてくれる作品でした。

こんな先輩が職場にいると、どれだけ力強いかと思いますね。

職場で悩むことが多い人に読んで欲しい作品なんですが、ちょっと短すぎるのが残念。

 

月10万円で より豊かに暮らす ミニマリスト整理術

評価 4/10

YouTuberミニマリストタケルさんの2作目なんですが、これタイトルで思ってた内容と全然違いましたね。

ほぼ愛用品紹介の本でしたが、持ち物を見直そうって感じですね。

 

あの子の殺人計画

あらすじ
椎名きさらは小学五年生。母子家庭で窮乏している上に親から“水責めの刑”で厳しく躾けられていたが、ある時から自分が虐待されているのではないかと気づき始める。一方、JR川崎駅近くの路上で、大手風俗店のオーナーが刺し殺された。かつて店で働いていた椎名綺羅が捜査線上に浮かぶが、彼女には娘のきさらと一緒に自宅にいたというアリバイがあった―。社会派と本格が見事に融合した傑作ミステリー!

評価 8/10

社会問題にミステリーを掛け合わせて、見事なミスリードと叙述トリックという驚きのラスト。

刑事と娘の2つの視点で描かれる物語は、とにかくよく出来てましたね。

これだからミステリー本はやめられません。

 

桜のような僕の恋人

あらすじ
美容師の美咲に恋をした晴人。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は……。
きっと、涙が止まらない。桜のように儚く美しい恋の物語。

評価 6/10

タイトルとあらすじ見て展開はわかってましたが、予想以上に一気読みの物語でした。

物語自体はよくある展開の話なんですが、彼女の判断は正しかったのかは、彼の彼女に対する気持ちを思うととても切なくなります。

あのニット帽を拾って渡すシーン…切な過ぎませんか?

 

雨の日は、一回休み

あらすじ
おじさんはひどい。でも、おじさんだってつらい⁉
男性は「そうなんだよ」と共感、女性は「こんな人に困ってる! 」と思わず頷く物語。

評価 7/10

5話の短編の主人公は、みんなおじさん。

時代の変化についていけない頑固な頭の方々が、社会からお荷物扱いされながらも必死に生きようとする気持ちの変化が面白く描かれてます。

連作短編なので、先の話に出てきた人が物語の主人公になり、また違った角度で物語を楽しませてくれます。

 

あの日、君は何をした

あらすじ
北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。
15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。
刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。
『完璧な母親』で最注目の著者が放つ、慟哭のミステリー。

評価 8/10

本当に見事な2部構成。

15年後の物語が始まった時点で、何がどう繋がるのか全く予想できない事件だったのに終盤の展開でグイグイ読ませます。

母親がテーマの話なのですが、最後の方は狂気に満ちてて絶望感がすごかったです。

ある意味サイコホラーのように感じる狂気も、失う事で心の拠り所を探してたんだろうとほんと辛くなる展開です。

読後感は決して明るくないし、万人におすすめはできない作品だけど、読んでて本当にスリリングでしたね。

 

余命一年、男をかう

あらすじ
幼いころからお金を貯めることが趣味だった片倉唯、40歳。ただで受けられるからと受けたがん検診で、かなり進行した子宮がんを宣告される。医師は早めに手術を進めるも、唯はどこかほっとしていた――「これでやっと死ねる」。
趣味とはいえ、節約に節約を重ねる生活をもうしなくてもいい。好きなことをやってやるんだ! と。病院の会計まちをしていた唯の目の前にピンク頭のどこからどうみてもホストである男が現れ、突然話しかけてきた。「あのさ、おねーさん、いきなりで悪いんだけど、お金持ってない?」。
この日から唯とこのピンク頭との奇妙な関係が始まる――。

評価 7/10

日々節約して、投資して、毎日の家計簿を見て、アプリで資産を確認するのが趣味という、周りに一人は居そうなくらい現実的で節約思考のアラフォー女性が主人公。

リアルな話からホストを買うファンタジーな世界になるのですが、家族や周りに癖のある人間ばかり居て、いちいち面白くて見事でした。

後半は契約結婚からの恋愛感情が出てくる話で、ちょっとドラマ化しそうな展開です。

 

V.T.R

あらすじ
辻村深月の長編ミステリーから物語が飛び出した。「スロウハイツ」の住人を受け止め、支えたあの作家。物語に生きる彼らと同じ視線で、チヨダ・コーキのデビュー作を味わおう。『スロウハイツの神様』の世界へようこそ。「ねえ、ティー。一人ぼっちにならないで。アタシはあなたを愛してる」 

評価 6/10

「スロウハイツの神様」から飛び出した、チヨダコーキのデビュー作。

映画みたいな分かりやすい展開でしたが、物語の行く末を思うととても切ない終幕でした。

読み終わった後の解説があるのですが、まさかの赤羽環なんですよ。

この解説が非常に環らしくて、非常にグッときました。

 

純喫茶パオーン

あらすじ
創業50年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。
トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスにたっぷり、表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、
どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。
その店主の孫である「ぼく」が小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。
心地の好さに、きっとあなたも通いたくなる。

評価 6/10

約50年続いてる喫茶店パオーンを切り盛りする祖父母と、その孫の来人を中心にした日常と些細な出来事の連作短編集となってます。

小学生、中学生、大学生と成長していく過程で起こる日常のちょっとしたミステリー。

これ読むとナポリタン食べたくなって、ミルクセーキが飲みたくなります。

 

硝子の塔の殺人

あらすじ
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、
刑事、霊能力者、小説家、料理人など、
一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
館の主人が毒殺され、
ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、
圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。 

評価 8/10

序盤からミステリー小説の歴史を紐解いた会話が繰り出されるのですが、ある程度ミステリーを読んでる方ならニヤニヤが止まらない作家やタイトルが並びます。

懐かしいタイトルやタイトル知ってるけどまだ読んだことのない作品まで、事件に絡ませて語られる。

そうやってオマージュ的な作品かと思えば、裏切られる展開が待ってました。
それも1度じゃなく…。

帯が誇張しすぎですが、ある程度ミステリーを読んでる方なら、すごい楽しめる内容となってますよ。

 

サキの忘れ物

あらすじ
 見守っている。あなたがわたしの存在を信じている限り――。ある日、千春はバイト先の喫茶店で客が忘れていった一冊の本を手にする。それは誰からもまともに取り合ってもらえなかった彼女がはじめて読み通した本となった。十年後、書店員となった千春の前に現れたのは。人生は、ほんとうにちいさなことをきっかけに動きだす。たやすくない日々に宿る僥倖のような、まなざしあたたかな短篇集。

評価 7/10

9つの物語は全く違う世界観で、なんでこれを1冊にまとめたの?って位に自由奔放な作品でした。

表題作は本にまつわるお話で、忘れ物の本と出逢い、こんな些細なことで人生が変わるのかと、ホロリとさせられます。

もが毎日小さな選択の連続だけど、ちょっとしたきっかけによって人生は変わるし、変えていけられるというメッセージを感じる1冊でした。

 

透明な螺旋

あらすじ
シリーズ第十弾。最新長編。
今、明かされる「ガリレオの真実」。

房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。

「愛する人を守ることは罪なのか」
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。

評価  6/10

房総沖で発見された男の死の捜査の中で、浮かび上がる事件関係者たち。

その中に湯川先生に繋がる糸があり、湯川先生も捜査に協力するのですが、その先に待っ

る悲しい事実と衝撃の事件の内容がまさかまさかの展開でした。

遂に明かされる湯川の過去と今回の事件の全貌は、まさに螺旋のようでした。

湯川先生の思いがけない一面と、衝撃の過去が明かされるファンには嬉しい1冊でもありました。

 

ぜんぶ、すてれば

評価  6/10

必要なものを見極めて、決断する力を改めて思い知らされた1冊。

常識にとらわれずに生き方、考え方を改めて自分の頭で考えないとと思いました。

 

オタク女子が、4人で暮らしてみたら。

評価  6/10

いろんな種類のオタク女子がルームシェアして生活するまでの話を面白おかしく描いたエッセイ本。

ルームシェアするまでの過程とか、苦労した点とか、ルームシェア生活が実際どうなの?ってところが非常に参考になります。

文章にセンスがあるので、非常に面白かったです。

 

アンと青春

あらすじ
アンちゃんがデパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働き始めて8ヶ月。販売の仕事には慣れてきたけど、和菓子についてはまだまだ知らないことばかりだ。でも、だからこそ学べることもたくさんある。みつ屋の個性的な仲間に囲まれながら、つまずいたり悩んだりの成長の日々は続きます。今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。待ちに待ったシリーズ第2弾!

評価  8/10

前回が登場人物の自己紹介なら、今作はよりお仕事小説としてして楽しめる悩める人々の心にも寄り添った作品になってます。

和菓子に関した謎は、前回よりもよりディープな世界なんですが、ほんとトリビアレベルで「へ〜」の連発です。

京都とか金沢とか、結構身近な街が舞台となる話もあって、個人的にも面白かったです。

アンちゃんの成長していく姿を応援したくなるそんな素敵な作品です。

 

月曜日の抹茶カフェ

あらすじ
川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。
その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に、1度だけ「抹茶カフェ」を開くことに。

ツイていない携帯ショップ店員と愛想のない茶屋問屋の若旦那、妻を怒らせてしまった夫とランジェリーショップのデザイナー兼店主、恋人に別れを告げたばかりのシンガーと実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、時代に取り残されたと感じている京都老舗和菓子屋の元女将と自分の名字と同じ名前の京菓子を買いにきたサラリーマン……。

この縁は、きっと宝物になる――。

人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押していることに気づく、
一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヵ月の心癒やされるストーリー。

『木曜日にはココアを』のおなじみのメンバーも登場するシリーズ続編です。

評価  6/10

青山さん6冊目となる最新作は、デビュー作「木曜日にはココアを」の続編となる作品。

人はこの瞬間にも出会って、すれ違い、また新しい人に出会ってるのだけど、そんな一人一人の縁には沢山の物語が詰まってます。

誰かの言葉に救われたり、背中を押してもらえたり、自分じゃ気づけなかったことに気づかせてくれる。

心の隙間をそっと埋めてくれる優しさに溢れた作品です。

 

とにもかくにもごはん

あらすじ
午後5時開店、午後8時閉店。
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。
スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。
お客さんは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、
娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。
みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず。

やさしくって、おいしくって、心にしみる。
子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい。

評価  7/10

亡き夫との思い出をきっかけに作られた子ども食堂が舞台の物語。

色んな縁が繋がってこの場所にいる人々の想いが、短編で描かれていて、すごく淡々としてるのに味わい深いほろ苦さを感じてさせてくれました。

最後の波子さんの章は、まさかの展開に出会えて良かったね。

 

サブマリン

あらすじ
陣内さん、出番ですよ。

『チルドレン』から、12年。
家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちの物語。

伊坂幸太郎、書き下ろし長編。

評価  8/10

伊坂さんの中でも大好きなキャラクター陣内の出てくる「チルドレン」の続編。

今作は、答えのない善悪の問題を立場を変えながら読者に問う様なお話です。

事件を表面だけで見るのと、加害者、被害者の立場で見て、そこに第三者の視点を入れていくと見え方が全く変わる。

コミカルに重いテーマを難なく読ませる憎めないキャラにまた会いたいですね。

 

その女アレックス

あらすじ
おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。

評価  8/10

最初は監禁されたアレックスは一体どこの誰で、なぜ誘拐されて、こんな目に遭うのか…

そして、警察はアレックスを無事に保護出来るのか?といった感じで、スリリングな展開に先が気になって読んでたのですが、無事に脱出した彼女が向かった先で起こした、衝撃の行動が次の2部になってます。

これ本当に見事な構成で、二転三転するアレックスの姿に読みては翻弄されて、物語から目が離せなくなるパターンです。

謎が謎を連れてきて、3部を読む頃には「えっ?」ってなりますよ。

衝撃のラストに目が離せない悲しい作品でしたね。

 

ガラスの海を渡る舟

あらすじ
大阪の心斎橋からほど近いエリアにある「空堀商店街」。
そこには、兄妹二人が営むガラス工房があった。

兄の道は幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で、「みんな」に協調したり、他人の気持ちに共感したりすることができない。
妹の羽衣子は、道とは対照的に、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるが、突出した「何か」がなく、自分の個性を見つけられずにいる。
正反対の性格である二人は互いに苦手意識を抱いていて、祖父の遺言で共に工房を引き継ぐことになってからも、衝突が絶えなかった。
そんなガラス工房に、ある客からの変わった依頼が舞い込む。それは、「ガラスの骨壺が欲しい」というもので――。

評価 7/10

今作は、亡き祖父のガラス工房を受け継いだ兄弟の物語。

すごく日常に寄り添った家族の物語と、生と死が淡々と描かれています。

表紙のガラスと海と位置関係が、とても見事に表してるなと本を閉じて思いましたね。

 

バニラな毎日

あらすじ
5年間営んでいた洋菓子店「パティスリー・ブランシュ」を閉じることになった白井。そんな彼女を常連客だったマダムが訪れ、次が決まるまで厨房を貸して欲しいという。その厨房でマダムが始めたのは、風変わりなお菓子教室だった。

評価 6/10

5年間営んだ洋菓子店を潰してしまった主人公が、お客だった料理研究家に厨房を貸して、カウンセリングみたいな一風変わった料理教室を開く短編。

この料理研究家のおばさまのキャラがとっても良くて、主人公とのコンビでお菓子を作っていく展開が毎回見事。

本気で料理を作るって、自分と向き合い、自分を見つめ直すきっかけになりますよね。ほんと。

原因において自由な物語

あらすじ
人気作家・二階堂紡季には、
誰にも言えない秘密があった。
露呈すれば、すべてを失う。
しかし、その秘密と引き換えにしても、
書かねばならない物語に出会ってしまい――。

評価 6/10

いじめがテーマの青春小説かと思えば、作家の描く作中作でもあり、実は「法廷遊戯」から繋がる作品でもありました。

目新しい展開なんだけど、伝えたい想いは結構作家らしい言葉なんですよね。

好みが別れる作家さんだと思いますが、きっと次の作品も読んでしまうかな。

 

常識のない喫茶店

あらすじ
ただ働いているだけなのに、なぜこんな目にあわなければならないのか。
治外法権、世間のルールなど通用しない異色の喫茶で繰り広げられる闘いの数々!
狂っているのは店か? 客か? あらゆるサービス業従事者にこの本を捧げます。

評価 8/10

喫茶店で働く著者の方が、日々の仕事で出会うお客様や仕事の事を本音で綴ったエッセイ本です。

この方本当に言葉のセンスがツボすぎて、プロローグ読んだ時点から笑いました。

喫茶店の話ですが、サービス業の方なら共感するエピソード多すぎるんじゃないかな?

読みながら共感度高い作品だったので、多くの人にお勧めしたいです。

 

プロセスエコノミー

評価 7/10

モノ作りや人の成長過程を見せることで、共感を得てファンを増やしていくという、物余りの今の時代にあった発信方法の提案。

キングコング西野さんがかなり前からやってた手法ですが、こうやって事例をまとめてもらうと非常にわかりやすく受け入れられます。

 

ペッパーズゴースト

あらすじ
中学の国語教師・檀は猫を愛する奇妙な二人組が暴れる小説原稿を生徒から渡される。さらに檀は他人の未来が少し観える不思議な力を持つことからサークルと呼ばれるグループに関わり始め……。

評価 8/10

もう「伊坂さん得意の小説」って感じでスピード感があり、出てくるキャラや言葉に独自のセンスがあって、やっぱりカッコいいね。

展開で言えば殺し屋系の流れに近いけど、テーマはもっと重い話になってます。

それを感じさせない物語のスピード感と、セリフの言い回しやそれぞれの考え方にすごく前向きな気持ちにさせられます。

ニーチェの永遠回帰をテーマにして、前を向けない人に希望を与えてくれるとても素敵な物語です。

 

母親からの小包はなぜこんなにダサいのか

あらすじ
昭和、平成、令和――時代は変わっても、実家から送られてくる小包の中身は変わらない!?
業者から買った野菜を「実家から」と偽る女性、父が毎年受け取っていた小包の謎、そして、母から届いた最後の荷物――。
実家から届く様々な《想い》を、是非、開封してください。

評価 7/10

親元離れて住んでる方なら、母親からの小包あるあるは経験あるんじゃないかな?

6話の短編からなる小包の話は、経験談に似てるお話だったり、「こんなのあるの?」と思う面白エピソードだったり、実家や両親がとても懐かしく思える温かさが詰まってました。

 

 倒産続きの彼女

あらすじ
彼女が転職するたび、その企業は必ず倒産する――
婚活に励むぶりっ子弁護士・美馬玉子と、高飛車な弁護士・剣持麗子がタッグを組み、謎の連続殺「法人」事件に挑む!

評価 8/10

傑作だった「元彼の遺言状」の続編が早くも登場。

今回は、法人相手で潰れそうな会社の中からリークされた「転職する度に会社を潰す女性」を調査していくのですが、いきなり首切り部屋で事件が起きるわけですね。

一体彼女は何者なんだろ?とほんとにドラマか、映画のワンシーンが浮かび上がるような先の気になる作品です。

 

7.5グラムの奇跡

あらすじ
国家試験に合格し、視能訓練士の資格を手にしたにもかかわらず、野宮恭一の就職先は決まらなかった。
後がない状態で面接を受けたのは、北見眼科医院という街の小さな眼科医院。
人の良い院長に拾われた恭一は、凄腕の視能訓練士・広瀬真織、マッチョな男性看護師・剛田剣、カメラが趣味の女性看護師・丘本真衣らと、視機能を守るために働きはじめる。
精緻な機能を持つ「目」を巡る、心温まる連作短編集。 

評価 6/10

前作は水墨画という美しい世界を広げてくれたのですが、今回は眼科を舞台にした目に関する日常に寄り添ったお話。

すごく不器用なんだけど誠実で真っ直ぐな野宮くんの性格が滲む物語ですね。

色んな重い目の病気の患者さんと出会い、しっかりと向き合い、悩んで成長する。

目が見えること、日常に光があることは奇跡なんだなぁと、改めて感じさせてくれる作品でした。

人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。 

評価 7/10

大学4年間のバイトで稼いだお金1000万円で、1万冊の本を買った作者の本の読み方、本を読む意味を書かれた1冊。

自分の中での答え合わせのために定期的に読み返してます。

 

革命前夜

あらすじ
バブル期の日本を離れ、東ドイツに音楽留学したピアニストの眞山。個性溢れる才能たちの中、自分の音を求めてあがく眞山は、ある時、教会で啓示のようなバッハに出会う。演奏者は美貌のオルガン奏者。彼女は国家保安省の監視対象だった…。冷戦下のドイツを舞台に青年音楽家の成長を描く歴史エンターテイメント。 

評価 8/10

歴史の1ページとして学んだベルリンの壁崩壊。

当時のドイツがどんな状況で、その時の人々の生活や空気感が一体どんな感じだったのかまで考えたこともなかったので、本当に衝撃的なお話でした。

様々な想いでこの国に集まった留学生たちとの交流と、東ドイツの政治的背景にある波乱に巻き込まれていく展開は、サスペンス映画のような作品で、二転三転する展開が本当に目が話せなくてお見事でしたね。

 

夜が明ける

あらすじ
15歳の時、 高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。
普通の家 庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できる ことなんて何一つないのに、 互いにかけがえのない存在になっていった。 大学卒業後、 「俺」はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属する。 しかし、 焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体 も、 壊していった……。
思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描 きながら、 人間の哀しさや弱さ、 そして生きていくことの奇跡を描く。

評価 9/10

貧困、虐待に過酷な労働環境や人間関係での苦しみまで、現代社会が抱える問題がテーマ。

ページをめくればめくるほど落ちていく暗い夜の闇の中。

途中何度も辛くなってしまう場面もあり、読み手もこの作品と向き合う勇気を試されてるかのような気分になります。

ラストの展開は見事で、救いの言葉に感情を持っていかれたし、読んだあとはざわつきが止まらなくて、心穏やかじゃない気分になったけど、この本に出逢えてよかったと思える素晴らしさがありました。

 

木曜日にはココアを

あらすじ

川沿いを散歩する、卵焼きを作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる……。
わたしたちが起こしたなにげない出来事が繋がっていき、最後はひとりの命を救う。
小さな喫茶店「マーブル・カフェ」の一杯のココアから始まる12編の連作短編集。

評価 6/10

青山さんの作品どれ読んでも思いますが、人との繋がりによって人生はちょっとした事で一歩踏み出せる。

人生の大きな変化は、日常の中のちょっとした言葉や出来事によって起こるんだなぁと改めて感じさせてくれます。

ココアのように甘いお話が疲れた心を癒やし、優しい気持ちにしてくれます。

 

最初の、ひとくち

あらすじ
初自腹のパフェは、ファミレスの味。思い出がふんわり甦る極上の食エッセイ。

評価 6/10

食べ物を初めて食べた時の事を思い出すエッセイ本。

出てくる食べ物が色々と懐かしすぎて、妻とあれこれ喋りながら読んでました。

 

護られなかった者たちへ

あらすじ
誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体で発見された。
怨恨が理由とは考えにくく、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。
しかし事件の数日前に、一人の模範囚が出所しており、男は過去に起きたある出来事の関係者を追っているらしい。そして第二の被害者が発見され――。
社会福祉と人々の正義が交差したときに、あなたの脳裏に浮かぶ人物は誰か。

評価 7/10

タイトル見た時から辛い話なんだろうなと思ってましたが、想像以上に哀しいお話でした。
ページを捲るごとに知る生活保護の実態。
生活保護の不正受給の話はニュースでもよく見てたけど、重要なのは本当に必要な人に届いてない現実。

2つの事件の犯人は大体予想できるのですが、やっぱりというか想像通りの結末。
映画だと最後はどんな描き方をしてるんだろうね。

 

パリでメシを食う

あらすじ
三つ星レストランの厨房で働く料理人、オペラ座に漫画喫茶を開いた若夫婦、パリコレで活躍するスタイリスト。その他アーティスト、カメラマン、花屋、国連職員…パリにいつのまにか住み着いた日本人10人の軌跡。時にセーヌ川のほとりで、時にワインを片手に、彼らが語る軽やかでマイペースなパリでの暮らしぶりに、思わず肩の力がふっと抜けるエッセイ。

評価 7/10

人生の中でチャレンジして、諦めなかったからこそ今があってこんな本に出てるのでしょうが、そのバイタリティーがすごいです。

思い描いた夢を叶えた人もいれば、諦めて辿り着いた先で上手く生きてる人もいて、人生どこで、何があるかわからないけど、動いてみることで変わるんだなぁと勇気を貰えました。

 

星を掬う

あらすじ
小学1年の時の夏休み、母と二人で旅をした。
その後、私は、母に捨てられた――。

ラジオ番組の賞金ほしさに、ある夏の思い出を投稿した千鶴。
それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。
この後、母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見ることになって――。

評価 7/10

前作が重すぎて、読みながら非常に辛かったのですが、今回も元夫のDVや母の周りの人達の悲しき境遇が連鎖してまた辛い展開なんですよね。

それでも、描き方が非常に丁寧で、それぞれの裏にある想いがちゃんと理解できれば、腑に落ちる言葉がありました。

人間の弱い部分をかなりうまく言葉にしていて、そこでぶつかり合う想いがとてもズキズキ響きましたね。

 

未来

あらすじ
「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。
送り主は未来の自分だという……。『告白』から10年、湊ワーールドの集大成!
待望の書き下ろし長編ミステリー!!

評価 7/10

湊かなえさんの描く「未来」は一体どんな作品なんだろうと、前から気になっていた作品です。

前半は、未来からの手紙を受け取った少女が、手紙形式で未来の自分に日記を書いてます。

これ未来というタイトルで少しは明るい作品かと思いましたが、めちゃくちゃ重いじゃないですか…。

出てくる少女たちの浮き彫りになる不幸は、これでもかと人生を狂わせ、救いのなさを感じさせる展開。

テーマとしては虐待、いじめ、自殺、貧困など、家庭内で起こってる社会問題を掘り下げて、親のせいで不幸になってる子供たちを浮き彫りにさせてます。

読んでる途中も、読み終わったあとも疲れましたが、見事な作品です。

 

赤と青とエスキース

あらすじ
メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画(エスキース)」。
日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。
二度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。

評価  7/10

メルボルンで描かれた1枚の絵が30年旅をする6篇の短編集。

最初は、「これ青山さんの本だよね?」と不思議に思ってましたが、章を重ねるごとに出てくる青山さんらしさ。

人生を後押ししてくれる感じ、居場所はここにあるってことを気づかせてくれます。

まさに新境地的な作品で、今までとは少しテイストが変わりましたが、読後感が素晴らしい余韻に包まれてます。

 

ファンベースなひとたち

評価  6/10

マーケティングの勉強として購入しましたが、具体的な実例が漫画で描かれてるので非常に分かりやすかったです。

コアなユーザーを獲得するのは、企業だけじゃなくSNS時代の個人も同じ。

これからの時代に必要なスキルになるので、興味ある方は読んでみて下さい。

 

お金のむこうに人がいる

評価  7/10

めちゃくちゃわかりやすい経済の入門書として売れてるみたいですが、本当に説明の仕方が上手いです。

世の中の見方も、物の見方も、考え方も変わる面白い1冊でした。

数字が苦手な方にこそ読んで欲しい本です。

 

彼女は頭が悪いから

あらすじ
横浜市青葉区で三人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公 務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。偶然に出会って恋に落ちた境遇の違う二人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学の友人らが立ち上げたサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。そ して酒を飲ませ、仲間と一緒に辱めるのだ…。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件が明るみに出る。 頭脳優秀でプライドが高い彼らにあったのは『東大ではない人間を馬鹿にしたい欲』だけ だったのだ。さらに、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いするのだ。
読み手の無意識下にあるブランド意識、優越感や劣等感、学歴による序列や格差の実態をあぶり出し、自分は加害者と何が違うのだと問いかけ、気づきを促す社会派小説の傑作!

評価 7/10

これ、東大生が起こした実際の事件を元にしたフィクションという事なんですが、読み進めるほどに気持ち悪くなります。(覚悟して読まないと後々後悔します)

小説なら救いはあるけど、実際にあった事件の内容だと思うと本当に辛すぎる内容に怒りしか生まれない。

改めてタイトルみて、ほんとにキツーい1冊だなぁと思いました。

 

前進する日もしない日も

あらすじ
着付け教室に通ったり、旅行に出かけたり、引っ越ししたり。仕事もお金も人間関係も自分なりにやりくりできるようになった30代後半から40歳にかけての日々。完全に「大人」のエリアに踏み入れたけれど、それでも時に泣きたくなることもあれば、怒りに震える日だってある。悲喜交々を、きらりと光る言葉で丁寧に描く共感度一二〇%のエッセイ集。

評価 5/10

疲れた時は益田さんを探すクセがありますね。

短文で書かれた何気ない日常の想いとか、モヤモヤとかが、非常に分かるの連続。言語化出来ない心の内を代弁してくれてるような言葉に出逢えたり、懐かしい昔を思い出したり、大事なものに気付かされたりと、読み終わったら自然と「わたしも頑張ろ」って思えます。

今作は本当に日常の日記みたいな短文ばかりなのですが、どれもオチがついてて思わず笑ってしまいます。

 

現代生活独習ノート

あらすじ
偶然録画していた興味のない番組
冷蔵庫内の陣地争い 貧弱な食事ばかりのSNS画面 資料室の籠城騒動

キラキラはしていなくても、
冴えない日常は、案外愛しく、悪くない。

短編の名手がおくる 私たちの‘今’が詰まった8つの物語

評価 6/10

地味でほんとに何もない日常を切り取った小さな笑いを感じる津村さん最新刊。

エッセイのように読みやすい構成と、現代人を上手く表現した文章力は流石です

まさにタイトルの通りに現代の生活を独習して、気持ちを楽にしてくれるような1冊でした。

 

一万円選書

評価 7/10

一万円選書で有名な北海道にある「いわた書店」店主の著書。

この選書のことはインスタのフォロワーさんが書いててなんとなく知ってたのですが、抽選なのに3000人以上の方が待っているということで驚きました。

実際にカルテとお客様とのやりとりが書かれてるのですが、本当に値段の割に合わないくらいの情熱が入っていて感動しましたね。

読書好きな方はぜひ読んでみてください。

 

たまごの旅人

あらすじ
念願かなって、海外旅行の添乗員になった遥。アイスランドを皮切りに、スロベニア、パリ、西安で、ツアー参加客それぞれの特別な瞬間に寄り添い、ときに悩みながらも旅を続ける。
ところが2020年、予想外の事態が訪れて――

評価 6/10

近藤史恵さんの新刊は、旅が好きで海外旅行のツアー添乗員になった女性の物語です。

アイスランド、スロベニア、パリ、中国と短編で繋がる彼女の旅。

お仕事小説でもあり、旅する小説でもあるので、結構日常の体験談の延長にあって読みやすい1冊。

 

お金か人生か

評価 5/10

人生において、時間とお金と、どう向き合うかを真剣に問う本です。

自分にとっての幸せとは?を改めて考える切っ掛けになる内容なので、色々と考えながら読みました。

核心をついてる部分には結構納得いきますが、ちょっと読み飛ばしたくなる部分が多くて、ここまでの厚さは不要かな?と思いました。

 

子育てはもう卒業します

あらすじ
息子を憧れの学校に入れるため必死なお受験ママの淳子、堅実な職業に就いてと娘の就活に口を出す明美、勘当同然で押し切った結婚を後悔する紫。十代で出会った三人は故郷を離れてから数十年、様々な悩みを語り合ってきた。就職、結婚、出産、嫁姑問題、子供の進路…。時にふと思う。私の人生、このまま終わるの?誰かのために生きてきた女性の新たな出発を描く物語。

評価 7/10

3人の女性を軸にして展開する物語は、彼女たちの青春時代から、結婚して子供が巣立っていくまでの軌跡。

東京の大学で出逢った彼女たちは、就職難を経験し、就職しても職場での待遇に不満を持ち、結婚しても姑や子育てに翻弄されます。

ちょっといい家柄に嫁ぐって、今の時代でもこんな扱いなのかな?と思うことの連続で終始笑えました。

 

丘の上の賢人

あらすじ
売れないタレント・おかえりこと丘えりかは、依頼人に代わり旅をする「旅の代理人」。秋田での初仕事を終え、次なる旅先は北海道──ある動画に映っている人物が、かつての恋人か確かめてほしいという依頼だった。依頼人には、初恋を巡るほろ苦い過去があって……。『旅屋おかえり』未収録の、幻の札幌・小樽編が待望の書籍化。北海道旅エッセイ&おかえりデビュー前夜を描いた漫画も収録した特別編!

評価 6/10

旅屋おかえりの続編登場。

今回は、ある動画がきっかけとなり、かつての恋人を探す旅に出ます。

美味しいものを食べながら、依頼人の思い出の場所を巡る旅。

色々と北海道を想像しながら、ごちそうさまって気分にさせてくれます。

旅の結末は読んでのお楽しみですが、きっと期待を裏切らないでしょう。

 

戸村飯店青春100連発

あらすじ
「ごめんください。どなたですか?戸村飯店の兄弟、ヘイスケとコウスケです。おもろくってほんますみません。ありがとう」大阪下町の中華料理店で育った兄弟は見た目も違えば性格も違う。人生の岐路に立つ、どこか不器用で誠実な2人をユーモラスに描く。東京と大阪、離れてみえる絆。笑いと笑いと涙で包む、瀬尾まいこの世界。

評価 8/10

瀬尾さんの作品の中でもBEST3に入るお気に入りの「戸村飯店」を再読。

表紙だけ見たら名作感全然ないのですが、読むと本当に面白くて、温かくて、瀬尾さんらしい作品だなぁと改めて思います。

この本読むと、本当に自分の過去の様に懐かしい思い出を感じられるんですよね。

ヘイスケのきっかけはウルフルズの曲やったけど、ふとした瞬間にあるんだよね。

 

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