大好きな作家の一人である伊坂さんの中でも特に印象深いキャラの陣内。
彼の活躍した短編小説「チルドレン」から早12年の月日を経て遂に続編が登場したんですよね。
今回はなかなか読めなかった続編の「サブマリン」の感想・評価です。
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伊坂幸太郎「サブマリン」
あらすじ
陣内と武藤の腐れ縁コンビは、無免許運転のあげく歩行者をはねて死なせた少年・棚岡佑真の面談に当たっていたが、彼はなかなか話に応じない。棚岡は自らも交通事故で両親を失っており、やがてその後も交通事故に巻き込まれ友人を失っていたことが判明する。その加害者の少年を、陣内が担当していたことも。
いっぽう武藤は、ネット上で暗躍する脅迫文投稿者に脅迫状を送り付けたあげく自首した少年・小山田俊の試験観察も担当していたが、ある日俊がネットの殺人予告者が犯行に移そうとしていると伝えてくる。
物語は棚岡と小山田というふたりの加害者少年を軸にまず動いていくが、読みどころはやはり陣内の相変わらずの変人ぶり。武藤にいわせれば、「自信満々で何でもできるような態度で、はた迷惑な人」だが、実は棚岡の事件とは深い関わりがあり、そこから意外な一面も浮かび上がってくる。
先の読めないプロットの妙もさることながら、有能だがへそまがり、強面だがナイーヴといった伊坂小説の多面的なキャラクター造形はや/はり魅力的だ。
感想 評価 8/10
チルドレンを読んだのは8年程前。
伊坂さんの作品でも、表紙が印象的だったのを良く覚えてます。
でも、表紙以上に主人公の陣内の破天荒ぶりが凄かった。
一度読んだら忘れない位の沢山の名言を残してくれた。
そして、そのまま終わってしまうのだ思ってたら月日を経てまた出逢えた。
そんな「サブマリン」は内容がとっても重いんです。
交通事故で「19歳の未成年が無免許運転で、歩いてたおじさんを轢き殺した」と言う社会的なテーマを扱った作品なんです。
でも、そこは伊坂さんの手腕が生きて、いつもの様に軽快な会話とテンポのいい展開で、そんな悲しさを微塵も感じない位に明るく仕上がっています。
懐かしのお友達も出てきてて、一緒に当事者たちに話を聞きながらいつもの様に関係ない様な所で話が色々と脱線していきます。
それなのにラストにはその全てが複線になっていて、見事に繋がるんですよね!
完全にやられたと思います。
嬉しかったのは年を重ねても、痛快な陣内は12年経って全く変わっていなかったです。
表ではあんなにふざけたこと言ってても、裏ではしっかり動いてるんですよね。(カッコいい)
ほんとに陣内ロスが長かったなぁと感じる位にキレ味鋭い言葉の数々を言い放ってくれた。
「人の命は別の命じゃ生まんねえぞ」ってのは重かったなぁ。
また10年後に逢いたいですね。
レビューもチェック
文庫はまだなのでぜひ新書で楽しみましょう
チルドレン読んでない方は、まずこちらから詠みましょう。
伊坂幸太郎さんの全作品紹介
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