辻村深月「かがみの孤城」感想 7人の孤独が時を超えて繋がる心温まる物語

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あまりにも話題になってる辻村深月さんの「かがみの孤城

本屋大賞にもノミネートされた、インスタでもバンバン上がってくるもんだから、積読多いけど割り込んで読んでみました。

これはまさに「スロウハイツの神様」を超える、長編ファンタジーの名作なんじゃないかと思う作品。

辻村史上初の半日で一気読みしたので感想・ネタバレをどうぞ。

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辻村深月「かがみの孤城」

あらすじ

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

感想 評価10/10

物語の設定としては、

・学校でイジメにあった主人公の中一の女の子

・ある日、鏡が光って鏡の向こうに行くと”オオカミさま”が現れて、”秘密の鍵”を探せと言う。

・集められたのは中学生の7人。

・4月に始まり、3月が終わるまでの期間に秘密の鍵を探すと、見つけたものの願いが叶う。

・鏡の世界に居られるのは、毎日9時から17時。

 

雰囲気的には読み始めた頃は「冷たい校舎の時は止まる」に近い感じを覚えた孤独感に似た空気を持っていたが、それはなんとなく解けてしまう。

みんな中学生だけど、個性も環境も違うせいで違和感を覚える。

みんな学校に行ってないだろうけど、自分と同じ境遇だったりすると嫌なので、口に出せない雰囲気だったのですが、徐々にこの世界に溶け込んでいくうちに話を出来る様になるのだが…。

 

こんな感じで全く予想できない展開は無くて、前半の伏線が効いてるのだけど後半は一気に伏線の回収をする「スロウハイツの神様」と同じような展開で怒涛の流れ。

何度も”オオカミさま”はヒントは既に与えている。と言っていたが、ヒントだらけだよなと思ったのは、物語に今は関係なく出てくると思うであろう回想シーンや名前。

特に辻村さんは名前で脅かす物語をよく作るので要注意なのである。

苗字なのか名前なのか、ニックネームなのか?色々と考えながら思考を凝らす必要がある。

特に何度も何度も出てくる喜多島先生は鍵になってくると思ってたのだけど、その正体がアキだとは…。

 

パラレルワールドだと書かれていた時点ではなんか腑に落ちない展開だなと思ってたけど、日付の話になった時に時間軸がズレてるんじゃないかと違和感を覚えた。

なぜかゲームの話とか喜多島先生の話での違和感があったから。

そう思ってたら予想通りの展開が待っていたのだが、”オオカミさま”の正体はミスった。

そう言えば姉を亡くしたハワイのあの子は、童話に詳しかったのだ。(一瞬冷たい校舎の術中にはまった記憶が蘇る…)

 

また子供の孤独で暗い話か…と読み始めた物語も、その孤独を超えて自分の世界を破れるきっかけを与えてくれるドラえもんの様な素晴らしい物語が出来上がってるんだなと感動してしまいましたね。

特に鏡の中で、みんなの記憶を辿るシーンからのネタバレで一気に涙腺崩壊

スロウハイツで、環が実はコウちゃんに勇気を与えてたのだと分かった瞬間のあの暖かさに近いものを覚えた。

スバルがマサムネに言った、「俺がこれからゲームを作って、お前の自慢出来る友達になってやる」みたいな会話も最高でしたね。

アキの境遇が引き起こしたラストシーンも全てはこの話の伏線に過ぎなかったのです。

 

凍りのくじら」で出会った辻村作品は、ほんとに毎回丁寧に読もうと思ってるけど、今回は最新作と言う事でめちゃくちゃ読みやすくなっていた。

毎回最初のページがラストに繋がるのだけど、今作も最後の救われた気持ちがある晴れ晴れとした温かいストーリー最高でした。

(macco)
間違いなく最高傑作。ここにありました。

 

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