桐野夏生「残虐記」感想 ミステリアスで想像力を駆り立てる

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桐野夏生さんの「残虐記」を読みました。

タイトルからしてまたグロいのが来るかと思ってましたが、物語は少女の監禁事件の被害者と被疑者の話。

あまりに謎の多いミステリアスな話で、いつも通り引き込まれていきました。

感想をどうぞ。

桐野夏生「残虐記」

あらすじ

自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。黒く汚れた男の爪、饐えた臭い、含んだ水の鉄錆の味。性と暴力の気配が満ちる密室で、少女が夜毎に育てた毒の夢と男の欲望とが交錯する。誰にも明かされない真実をめぐって少女に注がれた隠微な視線、幾重にも重なり合った虚構と現実の姿を、独創的なリアリズムを駆使して描出した傑作長編。柴田錬三郎賞受賞作。

感想 評価6/10

今回読んだのは少女の監禁事件の話ですね。

小学生の頃に誘拐されて1年以上男の家に監禁された少女が主人公となり、明らかにされてない事件の真相を周りの人間の言葉と一緒に読者が解決する。

実際に主人公の少女は大人になり、失踪してしまう。

その夫の手紙と過去の話に頼って読者の想像力を引き立てて行くのですが、展開の仕方が見事すぎてミステリアス。

前半に散々出しておいた謎多き一人の男。

そして、「みっちゃん」は誰なのか?

事件を解決する鍵を握りるであろう男の存在は、気になりすぎて読むスピードが止まらない。

これは「OUT」読んだ時の気分にさせてくれる。

でも、肝心のラストは全部小説という形で、暴露されましたが真相はフィクションなのか?ノンフィクションなのか?

うーん。全員グルだったのかな?煮え切らないけど、話の流れとしては少女の妄想話。

あの寮の中の歪な空間だからこそ出来た話なんでしょうが、ラストだけは謎を解き明かして欲しかったね。

桐乃さんの話ではちょっと残念な感じです。

 

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これはミステリー史に名を刻む名作です。

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