辻村深月「名前探しの放課後」感想 青春小説だと思えたドラマの全てはフェイク

 

辻村深月さんの作品「名前探しの放課後」を読み終わりました。

いつもの如くじっくり1章ずつ読んでたら、平気で10日位掛かりましたね。

噛み締めて読んでたはずの物語も、ラスト1章の数十ページで一気にジェットコートスターが走り出す見事な物語。

いやーまたやられましたよ…。

辻村深月「名前探しの放課後」

あらすじ

依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。

感想 評価8/10

誰かが自殺した。でも、そいつの名前が思い出せない。

3ヶ月後の未来からタイムスリップした依田いつかが、その自殺を止める為にクラスメイトを巻き込んで暗い未来を変える為に奮闘する青春小説。

 

自殺する奴の名前が分からない状態から色んな推測で絞っていくと、学年でイジメにあってるやつがいた。

そのイジメられる同級生を救い、友達になって、イジメっ子を見返そう。

上手く行ったはずの物語。

でも、何故か釈然としないラストへの展開。

 

新学期になると突然物語が動き出す。

終わったはずの物語の歯車が、在らぬ方に噛み合って一気に雪崩の様に崩れ落ちていく。

そう物語の全ては複線であり、全てがこの瞬間の為のミスリードだったという罠。

 

最後の章に行った瞬間に雷に打たれた様な衝撃でした。

ある意味「冷たい校舎の時は止まる」を読んだ時の止まらない鼓動を思い出した。

また作者の罠にハマってしまっていたのだ。

 

しかも、エピローグで語られる椿ちゃんの正体が、「ぼくのメジャースプーン」で言葉を無くしたふみちゃんだったという事実。

自動的に小学校から一緒だった彼氏の秀人は「ぼくのメジャースプーン」の主人公ではないか!

「凍りのくじら」からお馴染みの郁也も出てくるし、天木も実は「ぼくのメジャースプーン」のタカシだったと言う。

「凍りのくじら」からお馴染み芦沢理帆子も登場してるんですよね。

 

色々と一気に複線回収されて見事としか言いようのない展開。

そこまでがあまりに平坦でつまらない長さだったのがちょいと残念ですが、それでも流石辻村ワールドです。

読むときはこの順番を元に読むのがオススメです。

 

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