寺地はるな「大人は泣かないと思っていた」を読んだ感想レビュー 心に残った名言

 

寺地はるなさんの「大人は泣かないと思っていた」を読みました。

恋愛小説っぽい雰囲気の表紙でしたが、かなり響く言葉の多い寺地さんらしい短編集。

人生に沢山の気づきを与えてくれて、かけがえのない家族や恋人、友人を感じさせてくれる素敵な作品です。

感想やレビューをどうぞ。

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寺地はるな「大人は泣かないと思っていた」を読んだ感想

寺地はるな「大人は泣かないと思っていた」あらすじ

隣の老婆が庭のゆずを盗む現場を押さえろと父から命じられた翼。ところが、捕らえた犯人もその目的も、まったく予想外で―(「大人は泣かないと思っていた」)。バイト先のファミリーレストランで店長を頭突きし、クビになったレモン。その直後、母が倒れたと義父から連絡が入って…(「小柳さんと小柳さん」)他、全7編。人生が愛おしくなる、魔法のような物語。

感想 評価 8/10

寺地さん3冊目を読了。

恋愛系の話か・・とタイトルを見てスルーって感じでしたが、結構おすすめされてたので読んでみたら、めちゃくちゃこれ良かったわ。

人それぞれの人生って見える部分もいっぱいあるけど、それ以上に見えない部分、本人にしか分からない感情ってたくさんあるよね。

 

「でも、過去があっての、今のあたし。

だからどうせ頭を使うなら、あの時こうしてたらどうなったかな、なんてことじゃなくて、今いるこの場所をどうやったらもっと楽しくするか、ってことを考えたいのよね」

寺地さんの短編の描き方だと、他人軸と自分軸で全然話の見え方が変わるので、そこが恐ろしいくらいに強調されていて読んでてすごい発見がある。

世代間の壁だったり、男女の感情の差がこれ読んでると本当にハッとさせられるからゾクゾクしますね。

 

途中で略奪結婚の話になった時、「私ら三十歳だよ、他の女に遠慮なんかしてる余裕ないんだって」って言葉が妙にリアルに感じられた。

やっぱり若いんだなー。かなわないなあー。

笑おうとしたのに、息が苦しくなった。

違う。年齢の問題ではない。

私が彼女にかなわないのは、そこではない。

気づきたくなかったのに、気づかされてしまった。

自分の好きな人のもとへ全力疾走で走っていくようなひたむきさを、私は持ち合わせていなかった。

三十歳の現在もそうだし、二十歳の頃もそうだった。

目を背けてた事実を目の当たりにさせられると人間悲しくなるよな。

まっすぐな人間が羨ましく思えてしまう。

 

「黙って去っていくのは、卑怯なことです。ふたりではじめたことの後始末を残ったひとりに押しつけるのは。

去った方はそりゃ、楽です。ただ忘れればいいんだから。

でも去られたほうは違う。自分でいろいろと考えて、結論を出して、そのことに折り合いをつけてかなきゃならない。

ちゃんと別れを告げることが、去っていく人間の最低限の礼儀だと思います」

「去っていかれたほうの人間が『忘れる』をやりとげるのは、大仕事です。そこに至るまでに、何度も泣いたかもしれない。・・・怪我したら痛いですよね
血も出るし、膿も出る。

どんなに経過を辿ってその傷が治ったかは、傷を負った本人しか知りません。

他人が、治療後の姿を見て『簡単に治ったんだね。じゃ、別にいいんじゃない。

怪我したことなんか忘れなよ』なんていうもんじゃないと思いますね」

こうやって他人の目線で、人の気持ちを痛いほど分かってあげられる、懐の広い人間になりたいよね。

 

 

奥さんの言った優しい言葉も印象的。

「結婚してからずっと飲みこんできたあなたへの文句が、まだまだあるのよ。
それ全部、死ぬ前に伝えてしまいたいから、とにかく長生きしましょう。お互いに」

旧来の生き方を全うして、今の時代に残されてしまうようなお父さん世代の代弁も見事だったな。

あれは相当きつく当たられてるけども、世の中のほとんどあんな感じなんだろうな。

 

「来年」や「将来」が、あらかじめ設定されていて、ただそこに向かって駒を進めるようにして生きていければ、楽だろうなと思う。

でも違う。予想外のことがかならずおこる。

俺たちはたぶん目の前に現れるものにひとつずつ対処しながら、一歩踏み出す方向を決めるしかないのだろう。

人生って思ったようにはいかないし、誰しも悩み、苦しみ、もがきながら未来に走ってる。

こうやって一人一人の視点で物語を展開してくれると、みんなの気持ちと本音がよく分かって、自分だけじゃないと思える。

生きるって大変だけど、そんな大変な人生だからこそ誰かと生きていきたいと思う。

最後の「一緒にいられてうれしいなと思って」でモヤモヤした感情が一気に抜け落ちて、ふわっと涙腺崩壊でした。

 

親子、恋人、友情と愛のこもった作品です。

2-30代はもちろん、もっと上の方にも読んで欲しい作品。

次は、「夜が暗いとはかぎらない」を読みましょう。

 

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