少し前に本屋大賞ノミネートし話題となり、映画化もしたベストセラー小説「世界から猫が消えたなら」を読みました。
タイトルからして泣けるお話なんだろうなと思いましたが、泣くよりも考える事が多くて絶望感溢れるこの本の感想をどうぞ。
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川村元気「世界から猫が消えたなら」
著者:川村元気とは
感想を語る前に知って欲しいのはこの著者の事。
映画のプロデューサーとして「電車男」「告白」「モテキ」「怒り」「君の名は」「何者」など大ヒット作を生み出して来ています。
そんな敏腕の初の小説となったのがこの本なんです。
あらすじ
郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、奇妙な取引を持ちかけてくる。
「この世界からひとつ何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得ることができる」
僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計……そして、猫。
僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。
感想 評価6/10
タイトルから気になる「世界から猫が消える?」
表紙とこのタイトルだけで猫好きが手に取ってしまいそうな本書。
敏腕Pのヒットメーカーだけに読者の読みたいもののツボを押さえたストーリー展開。
印象的にはラノベの薄っぺらく、軽い印象なのですが、書かれてる内容はとても重く、とてもじゃないけど「ふ〜ん。そうなの?」と言える話ではない。
余命1日。
突然宣告された命の終わり。
そこにやって来た悪魔(悪魔ってなんだ?デスノートか!・・・それは死神)
余命を1日伸す代わりにこの世から大事なものが消えていく。
電話を失い、映画を失い、時計を失い、猫も失いかけた。
この世から自分が消えようとする中で、代わりに消えていくもの。
「ドラえもんの」例えの様に上手くは言えないけど、消えていいもんなんかないんだよ。
そして、一番の名シーンの母からの手紙の下りが辛いわ。
「何かを得るためには、何かを失わくてはならない。」
この言葉は本当に突き刺さった。
失うものが、本当に失っていいものかをもっと考えなくてはいけないんだと思う。
現代は便利になった分その辺りの事が全部消えてしまってるんだ。
余命との戦いの中で、家族の絆を結びつけて普段気づかない事を気づかせようとする。
「家族って『ある』ものじゃなかった。家族は『する』ものだったんだ」
軽快に進める割に随所に名言を入れてくる。
最後は自分の死の決意を父に私に行く姿がなんとも言えないのだ。
映画の主人公でも、なぜだか決意した後は死を迎えようとも清々しい。
流石映画のヒット作を沢山手がける方と言う内容でした。
大衆向けにした読みやすさと読み手の感情を揺さぶる表現の絶妙さ。
映画にした時に笑えて、泣ける軽快なバランス。
活字離れで本が売れない中で、売れる本を届けているなと言った印象を受けます。
アマゾンの評価が低いのも分かるのですが、多分こう言ったヒット作は届かなくて良いとこまで届いてるから言われるんでしょうね。
少し前に読んだ「君の膵臓をたべたい」もタイトルが挑戦的だったので同じ様なレビューが多く、似た印象を持ちました。
泣けなかったけども、映画見て観たいなと思う作品です。
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著者の新作です。
「君の膵臓をたべたい」も気にいると思います
読書するならKindleお勧めです。