池井戸潤「陸王」感想 仕事に対するやりがいを見つけよう

 

久しぶりに池井戸さんの小説です。

ほぼ読破してるのですが、タイトルで遠回りしてた「陸王

なんの話か読めなかったんですが、読み始めるといつもの池井戸節炸裂でノンストップで午前中を使い読破しましたので感想をどうぞ。

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あらすじ

勝利を、信じろ――。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は、百年の歴史を有する老舗足袋業者だ。といっても、その実態は従業員二十名の零細企業で、業績はジリ貧。社長の宮沢は、銀行から融資を引き出すのにも苦労する日々を送っていた。そんなある日、宮沢はふとしたことから新たな事業計画を思いつく。

長年培ってきた足袋業者のノウハウを生かしたランニングシューズを開発してはどうか。社内にプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手する宮沢。しかし、その前には様々な障壁が立ちはだかる。資金難、素材探し、困難を極めるソール(靴底)開発、大手シューズメーカーの妨害――。

チームワーク、ものづくりへの情熱、そして仲間との熱い結びつきで難局に立ち向かっていく零細企業・こはぜ屋。はたして、彼らに未来はあるのか?

感想 評価8/10

池井戸さんといえば銀行のイメージでしたが、「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」のヒットから中小企業を中心とした感動的な人の生き様と正義は勝つを推した物語構成に磨きがかかって来ましたね

今回も100年続く老舗の足袋製造メーカーが舞台

少し「下町ロケット1・2」に近い展開で物語は展開されます。

 

売り上げ低迷からの新規事業への模索。

その時出に逢った足袋をモチーフにした裸足感覚のランニングシューズとの出会い。

そこから試行錯誤して物を作る人間模様。

それを履く側のアスリートの葛藤など、どちらも輝きを失った場面から這い上がって行く人間と会社の再生への物語を描き出しています。

今回はかなりの長編という事で、結構細かく素材の供給元の話が続き、製造面での人間の映し出される姿が印象的でした。

要となるソールの特許と技術を協力してくれる飯山の存在は、ピカイチでしたね。

 

そして、この物語池の中で成長して行く姿の見える社長の息子大地

就職に失敗して、嫌々親の会社で彼の姿が陸王のプロジェクトにより突如として変化して行く様子は物語の核となる部分だと思います。

仕事をやらされている事を感じながら同時に受けている就職の面接で否定される自分の存在価値。

落とされる度に「自分には何ができるのか」と自問自答して行く姿が、仕事という責任の中で生きて行くうちに芽生える意識の変化で変わって行く。

特に最後の面接で自分のやっている事に責任と生きがいを語れる様になった姿が陸王と重なって行くんですよね。

 

そして、物語を通じて成長するのはランナーも同じで、ドン底から這い上がって行く茂木の姿と共に感動を覚えますね。

 

毎回、池井戸さんの描く人間は毎度とても魅力的なんですよね

今回の社長はもちろん、その周りにいる社員達や後々繋がって行く芯を持った人。

どの人間もとても輝いているんで、読んでいるこっちもとてもポジティブになって行くんです。

悪役として出てくる人間達もアンパンマンでいうバイキンマン的な役回り(笑)

正義は勝つが当たり前になってるので展開が読めてしまうんですが、お決まりの様に悪さを企んで最後には消えて行くのがまた気持ちが良い。

 

ただ最近のヒット作はニュアンスと展開が似すぎてる上に安易に最後が予想できる。

その展開力の潔さとそれをマンネリ化して落とし込んでいる事で、読者の期待を裏切らずにドラマ化されてヒットしてるんでしょうね。

読みやすく毎回感動できるのが売りなので、今作も外れなく楽しめます。

会社で疲弊して一歩踏み出せない方はもちろん、これからやりたい事を見つけて行く人生の一歩を踏み出す大学生達にも勇気を与えてくれるでしょう。

 

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