東野圭吾さんの2019年初となる最新作がやっと発売となりました。
大ファンとしては、「いつ出るんやろ?」と毎年気が気じゃないのですが、今年も見事に刊行してくれたんですね。
しかも嬉しい事に今作の希望の糸は、加賀恭一郎シリーズの続き物という事で、感想をどうぞ。
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東野圭吾「希望の糸」感想・ネタバレ 加賀恭一郎のサイドストーリー
あらすじ
「死んだ人のことなんか知らない。
あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」
ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。
どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。
閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。
捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。
災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。
容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。
感想 評価 7/10
2019年の最新刊は、私も一番好きな加賀恭一郎物語の最新刊。
2013年の「祈りの幕が降りる時」から6年。
沈黙していた加賀さんのシリーズのその先が遂に描かれたんですね。
でも、今回の主役は従兄弟の松宮刑事。
「赤い指」で初登場した時は、警視庁の捜査一課の刑事と日本橋署の刑事と言う関係でしたが、今は加賀さんも立場は代わりましたからね。
今作もプロローグからまた伏線の連発です。
構成的にジワジワと話の展開が読めていくのですが、実際の事件の革新的な部分は見えないまま犯人は逮捕されます。
犯行の動機の部分と事件の真相は分からないまま、犯人の供述で事件は終わろうとするのだけど、松宮と加賀は納得いかずに自分のカンを頼りに目星をつけた人物に会う。
懐かしき古畑任三郎を思い出すような捜査の進め方で、話の展開は読めないままでも綿貫と汐見と言う怪しい2人の確信に迫る展開が面白い。
ネタバレ的には、ありえないレベルの医療ミスによって起こってしまった悲劇の物語。
なぜこの2組の夫婦が絡み合うのか?と序盤からの謎が、後半ジェットコースターの様に怒涛の真相激白となります。
しかも、松宮自身の親に関わる真実も絡み、事件の真相と自分に知らされてなかった衝撃の真実を耳にする事になるとても重い話の展開です。
まぁここが、東野さんらしいジワジワと伏線が明かされる展開で、読んでてまさかの連発ですね。
巧みな会話と洞察力での事件の真相に迫る推理力が凄かったです。
正直盛り込みすぎな部分もあり、あまりにも驚き提供してる感はありますが、全てが予想を超えた構成で読者を裏切らないのは流石だなぁと思いました。
加賀さんの物語と言うよりは、松宮の事件と秘密を明かす様なサイドストーリー的な部分が強く、加賀恭一郎シリーズは前作で一区切りですね。
また、加賀さんのキレのある事件解決と人情を見てみたいですね。