2024年に読んだ本を紹介するコーナーです。
今年読んだ本をリアルタイムに更新しますので、今読んでる本や気になる本などの感想を参考にしてください。
読書記録と感想をどうぞ。
2024年に読んだ本全て紹介[おすすめ読書・感想]
凪良ゆう「星を編む」
「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
評価 9/10
名作「汝、星の如く」の続編。
北原先生の過去、編集者の苦悩の裏側、暁海と北原先生のその後を描いた物語は「汝、星の如く」の前後の話で繋がります。
周りにどう思われようと自分の人生の幸せを掴もうとして足掻いていく姿にとても感銘を受けました。
色んなことがある中で受け入れられる器の大きさも、人間力だなぁと‥。
瀬戸内の情景含め、この愛の物語を描き切った凪良先生の筆力は本当に素晴らしいですね。
今野敏「一夜 隠蔽捜査」
犯人も目的も安否もわからない中、竜崎はミステリ作家・梅林の助言も得ながら捜査に挑むことに。
劇場型犯罪の裏に隠された、悲劇の夜の真相とは――。
評価 6/10
大好きな隠蔽捜査シリーズ13作目が刊行されましたので早速購入して楽しみましたよ。
今回は、有名作家の誘拐事件。
犯人の要求がないまま時間だけが過ぎて、別の管轄では殺人事件が発生。
友人のミステリー作家がアドバイザーの立ち位置で竜崎に絡み、事件の行方はなかなか妙な方向に進んでいく…。
なんとなくわかりやすい真犯人と計画の内容でしたが、この作品の面白いところは事件の内容じゃなくて、事件を解決するまでの人間関係の絡み方ですよね。
多少のマンネリ感と顛末の分かりやすさはあれど、竜崎という人間を軸に展開していく過程に満足感があります。
次作では、そろそろ強烈なキャラの登場を願ってます。
町田そのこ「夜明けのはざま」
評価 7/10
死がテーマの重い作品かと思って買ったのにずっと放置してましたが、読んでみると仕事とか、人間関係の悩みに葛藤しながらも答えを模索する様が描かれていました。
特に30代前後の女性に突き刺さるエピソードや言葉が多いので、共感される方は泣けてしまうかも…。
「昔こういう気持ちあったよなぁ…」なんて言葉にできなかった気持ちが表現されていてすごく突き刺さりました。
色んな人の悩みに対してじっくりと向き合える時間の作れる作品です。
田内学「きみのお金は誰のため」
ひょんなことで知り合った投資銀行勤務の七海とともに、
謎めいた屋敷へと入っていく。
そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでおり、
「この建物の本当の価値がわかる人に屋敷をわたす」と告げられる。
その日からボスによる「お金の正体」と「社会のしくみ」についての講義が始まる。
評価 7/10
この本とにかく例がわかりやすくて、身近な事柄からお金の本質が再認識できる内容です。
改めて社会ってどうやって出来ているのかを考えられるし、自分たちもどう未来に対して行動できるのかっていうのを考えさせてくれます。
身近なお店や人への感謝を忘れずに行動したくなると思います。
東野圭吾「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち」
評価 6/10
マジシャン×ミステリーの相性は抜群なものがあるのですが、東野さんの描くキャラってシリーズ化を望む物になると一気にぶっ飛んでいて面白くなるんですよね。
今回は短編ってことを知らずに買ったので若干残念な気持ちになりましたが、連作短編的な要素があって、最後に腑に落ちるトリックが仕掛けられてます。
相変わらずただのマジシャンだとは思えないほど鋭すぎる叔父さん。
姪との会話も面白いし、事件の内容も東野さんらしい展開ではないようなものもあって、意外性がありました。
宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」
「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー(をやめたい)主婦、観光大使になるべくしてなった女子大生……。
個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!?
面白さ、ますますパワーアップの全5篇!
評価 7/10
りに干渉されてもひたすらマイウェイを突っ走る成瀬は高校でも、大学でも変わらないスタンスで、成瀬に出会った人も惹かれていく様は読んでいて爽快です。
順調に知名度が上がっていく話の流れが非常に面白かったです。
大津市を舞台にこんなローカルで面白い作品を生み出せるキャラ設定と作者の地元愛の強さが素晴らしいです。
ぜひ大学生活を描いた続編から、社会人編など期待しています。
梶山三郎「トヨトミの野望」
評価 8/10
誰もが知る世界のトヨタを題材にしたフィクション小説です。
8~90年台の企業としての成長の様子と、内部での覇権争いの様子があまりにも面白すぎて読む手が止まらなかったですね。
武田社長の剛腕ぷりが強烈で、特にアメリカで販路を広げるための政治的な戦略が非常に興味深かったです。
続編が三部作であるので、続きが気になって仕方がない作品。
梶山三郎「トヨトミの逆襲」
評価 7/10
シリーズ2作目。
世の中のEVカーへのシフトでゲームチェンジを迎えようとする自動車業界の様子がめちゃくちゃリアルに描かれています。
IT系の企業の参入やバッテリー問題なども含め、未来の話がメインになっているので余計にこれからどうなるのかが世の中のインフラとして考えるのも非常に面白いビジネス小説です。
梶山三郎「トヨトミの世襲」
評価 7/10
トヨトミシリーズ3部作の完結編。
このシリーズはフィクションのはずなんだけど、T社の情報を調べるほどにリアルな内情が暴露されているような作品です。
ただ1作目から話のスピード感は増しているのに、面白さは落ちていく感じは否めないかな。
エンタメ小説としても、ビジネス書としても学びのシリーズ作品でした。
瀬尾まいこ「ありがとう、さようなら」
給食で苦手な料理と格闘したり、生徒たちからの厳しいおしゃれチェックをなんとか切り抜けたと思えば、生徒会のやる気に感化されたり、合唱コンクールで胸がいっぱいになったり……。
奮闘する瀬尾せんせいと生徒たちのあたたかくてにぎやかな日常の合間に見える、それぞれの成長。「ありがとう」と「さようなら」がめまぐるしく襲ってくる学校という場所で過ごす日々は、瀬尾さんの作品世界すべてにつながる愛にあふれていた。
評価 6/10
中学校という現場ならではの子供達とのやりとりがあまりにも懐かしくて、自分の中学校時代の先生を思い出しながら読んでしまいました。
笑いもあれば、涙もあって、まさにタイトル通りの作品だと思います。
現実はこんなに温かい場面ばかりではないとも思うけど、大人になってからあの頃を振り返る作品としてもおすすめです。
柚木麻子「あいにくあんたのためじゃない」
評価 6/10
どれもタイトルがユニークで、内容も出てくる人々も結構リアルに居そうなあるあるが入っていて、確かに誰もが傍観者じゃいられなくなる感じが読者をゾクゾクさせるね。
「こんな人おるわぁ〜」って誰もが周りの人を想像したくなる作品だし、自分も気をつけなきゃ思ってしまう場面も多々…。
「商店街マダムショップは潰れないのか?」「パティオ8」が特にツボ。
桐野夏生「燕は戻ってこない」
評価 8/10
弱者と強者の貧困と搾取の話だと思っていたけど、それぞれには理由があって、悪意がないからタチが悪いんですよね。
色んな面で危うい行動をする主人公と、自分勝手な夫婦たちの心情の変化がほんとにリアルでしたね。
決して気持ちのいい話じゃないんだけど、その分人間の自分勝手さが出ていて最後の行動に繋がるんだろうと、主人公の人生を応援したくなるラストの描き方の見事さでした。
恩田陸「spring」
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。
一人の天才をめぐる傑作長編小説。
評価 5/10
恩田さんの最新作は、バレエの天才を描いた長編小説。
序盤の春のエピソードはすごく興味深く読めて、バレエ観たことのない人でも踊りがイメージ出来るのは流石の筆力。
ただ3章の作曲家のところで一気に分からなくなって失速‥。
ちょっと前提知識はあった方がいいのかなと思ってしまいました。
春をめぐって友人や恩師の目線で語られる物語は良かったんだけど、読む側の興味がどれだけついていけるかが今作は大事でした。
多崎礼「レーエンデ国物語 夜明け前」
生まれよく心根よく聡明な彼は旧市街の夏祭りに繰り出し、
街の熱気のなか劇場の少女と出会う。
――そして、真実を知り、一族が有する銀夢草の畑を焼き払った。
権力が生む欺瞞に失望した彼の前に現れたのは、片脚を無くした異母妹・ルクレツィアだった。
孤島城におわす不死の御子、一面に咲き誇る銀夢草、弾を込められた長銃。
夜明け前が一番暗い、だがそれは希望へと繋がる。
評価 8/10
本屋大賞24にもノミネートした大人向けのダークファンタジーの4作目。
やっと明かされるレーエンデの数々の謎や秘密が出てきます。
一番気になってたルーチェの言動の意味はやっぱり辛い…。
誰かが立ち上がって辛い思いを引き受けなきゃ動かないんだろうけど、今作のルクレツ
アとレオンの関係を見てるとほんとに悲しすぎましたね。
毎回何でこんなに痛々しいくらいに悲しい終末を迎えて終わるのか‥。
夜明け前が一番暗いにしても、救われないくらいに切ないです。
次作で完結なんだろうけど、そこまでに通じる伏線が今作にはいくつかあって読み応えがありそうです。
柚木麻子「BUTTER」
評価 7/10
元ネタとなる事件をベースにした小説。
想像していたよりもずっと濃厚でこってりした作品で、とにかく五感が刺激されて、すんごい香ってくる感じ。
まさにタイトル通りにbutterなんですが、中に出てくる料理の描写が見事すぎて、どの時間に読んでもお腹が減るんだよ…。
人生観だったり、女性特有の社会的な見方ってのがとても考えさせる作品でした。
読むのに結構気力がいるので、元気のある時に読むのを勧めます。
池井戸潤「俺たちの箱根駅伝」
箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。
本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。
隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか?
一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。
プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。
「不可能」と言われた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。
評価 8/10
話の主役は予選を敗退してしまったチームから輩出された、学生連合のメンツにスポットが当てられています。
記録に残らないオープン参加なチームによる、もう一つの箱根駅伝物語。
選手側の視点と、テレビ局の撮る側からの視点も描かれていて、感動のドラマの裏側までしっかりと知れる場面もあったりします
特に中継の苦悩とか、報道に関わる人の数とか考えたことなかったので、驚きましたね。
文字読んでるのに走ってる姿を想像しながら楽しめました。
何かに頑張って努力した時間はきっどどこかで生きてくるし、人生においてかけがえの何かを手にできると思います。
東野圭吾「クスノキの女神」
一方、認知症カフェで玲斗が出会った記憶障害のある少年・元哉は、佑紀奈の詩集を見てインスピレーションを感じる。
玲斗が二人を出会わせたところ瞬く間に意気投合し、思いがけないプランが立ち上がる。
不思議な力を持つクスノキと、その番人の元を訪れる人々が織りなす物語。
評価 6/10
東野さんらしい、哀しくて切なくて温かいストーリーはじわじわきましたね。
ハンデを持った若い力が頑張って生きようとする姿は、明日への力になります。
中盤までそんなにピンと来なかったけど、ラストは切ない気持ちが染み渡る作品。
伊吹有喜「娘が巣立つ朝」
真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。
そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。健一は長年勤めた会社で役職定年が近づき、最近会社での居心地が良くない。週末は介護施設の母を見舞っている。将来の見通しは決して明るくない。
智子は着付け教室の講師をして忙しくしているが、家で不機嫌な健一に辟易している。もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。
評価 6/10
結婚をきっかけに様々な問題が浮かび上がる2人とその家族の話。
そして、娘の結婚を機に夫への母親の溜まり溜まった不満の数々を吐き出していく母親の物語。
結婚って価値観とか、金銭感覚とか、育ってきた環境によって全然違うからこそ後回しにすると厄介な事もあるんだよね。
こんなに両家がぶつかっていって引かない展開も面白い。
これから結婚する子供と、30年連れ添ってきた夫婦の姿を同時に描くって、めちゃくちゃ興味深い関係性になってました。
しかも、子供の結婚を軸にした親達の関係性を見直していく結末になるとは、まさかの最後の展開でしたね・・・。
津村 記久子「水車小屋のネネ」
ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――
評価 8/10
姉妹二人の成長と自立、それを見守る人周りのたちと、喋るヨウム”ネネ”との40年間を描いたとても温かいエピソードの詰まった長編作品。
読んでいると長い間この姉妹を見守る感覚になって、すごく感情移入してしまいます。
ネネの存在が絶妙で、発する言葉が面白くて、鳥なのに物語の中心に際立つ存在でいてくれるのがとても印象的でした。
人との出会いや関わり方をすごく考えさせてくれる内容になっていて、誰かに助けられ
てことに関してポジティブに捉えさせてくれます。
人に親切にすることを改めて大事にしなきゃと思わされました。
岸田奈美「国道沿いで、だいじょうぶ100回」
笑いと涙と他者への想像力とともに軽やかな筆致でつづる自伝エッセイシリーズ第3弾。
評価 7/10
お母さんは歩けなくて車椅子、弟さんは障害をもって大変なはずなんだけど優しさに溢れた感受性豊かなで度量がすごい。
弟さんの友達や馬の話でもあったけど、色んな人の特性を知っているからこそ、少し他と違う人への「なぜ?」の意味がわかるんだと思う。
自分のよく知らない日人に対して「なぜ?」と思うことが沢山あるけど、その人にしか分からない何かを持っていたりするんだろうなと、改めて視野の狭さを感じてしまいます。
今村翔吾「塞王の楯」
評価 8/10
大津城を舞台に最強の石垣を作る穴太衆と鉄砲職人・国友衆の戦いを描いた戦国小説。
今村さんなのでハズレなしだと思ってましたが、読み始めると止まらない面白さで乱世にタイムスリップ。
最強の縦となる石垣を作り出す穴太衆の見事な仕事ぶりや哲学を知ってしまうと、城廻をした時の石垣の見る目が変わって非常に面白いです。
熱き男たちの生き様と葛藤はまさに矛盾した部分もあって、戦いの先に何を見出して、世の中を変えようという想いがあるのかというのを追体験できます。
エンタメ度が高く読みやすいんだけど、筆者の熱量があって面白い作品でした。
雫井脩介「犯人に告ぐ2」
特別捜査官の巻島史彦は、刑事特別捜査隊を指揮し、特殊詐欺集団の摘発に乗り出していた。
そんな中、振り込め詐欺グループに属していた砂山知樹は、指南役の天才詐欺師・淡野から
これまで日本の犯罪史上に類を見ない新たな誘拐計画を持ちかけられる。
標的は横浜の老舗洋菓子メーカー〔ミナト堂〕。その〔ミナト堂〕と知樹には浅からぬ因縁があった――。
評価 7/10
人気作「犯人に告ぐ」の続編。
続編だけどこれだけで読める事件の展開は、かなりワクワクさせられる面白さで初見でもこれだけ読んで楽しめます。
天才詐欺師 淡野によるオレオレ詐欺、誘拐事件と犯罪が繰り広げられ、詐欺集団と警察、両方からの視点で描かれているので、どちらが裏をかかれるのか‥先が気になりめっちゃ面白い。
悪を応援したくなるキャラの魅力が、物語をより熱くします。
「リップマン」の続きが気になりすぎて、速攻3をポチったよ。
雫井脩介「犯人に告ぐ3」
一方、捜査の手をかいくぐって逃げ延びた淡野は鎌倉に潜伏し、警察を出し抜く新たな犯罪計画を立てていた――。
評価 8/10
詐欺師「リップマン」
警察のスパイ「ポリスマン」
裏の顔はボス「ワイズマン」
2からのキャラ設定、物語の伏線が見事で、謎が明らかになって行く度に驚かされる展開が本当に凄い。
しかも最後の詐欺が警察の裏金を強請るとは‥。
ラストは悲しくなるほどに呆気ないんだけど、これは次作に期待したくなります。
益田ミリ「そう来る?僕の姉ちゃん」
究極の聞き上手 順平(弟)が織りなす、
ちょっと元気になれる148の話。
評価 4/10
姉と弟の日常的な会話から生まれる数々の名言が面白いコミックエッセイです。
恋をする姉ちゃん、日常を生きる姉ちゃん、疲れた姉ちゃん、色んな場面でクスッと笑わせたり、ハッとさせられる言葉があります。
それにしても遊びすぎでしょうこの姉ちゃん…て位に巻数が増えてきたので、そろそろ結婚でもしてほしいわ。
pha「パーティーが終わって、中年が始まる」
何も大切なものはなくて、とにかく変化だけがほしかった。
この現状をぐちゃぐちゃにかき回してくれる何かをいつも求めていた。
喪失感さえ、娯楽のひとつとしか思っていなかった。」――本文より
若さの魔法がとけて、一回きりの人生の本番と向き合う日々を綴る。
評価 6/10
元ニート phaさんの新作エッセイは、タイトルが突き刺さって購入。
表紙を見た途端、まさにアラフォーに差し掛かった今のわたしに向けた本?的な気持ちになってしまいました。
20代の頃と明らかに変わるアラフォーは、変化することに面倒くささを感じたり、体力の衰えにより行動する気力がなくなったりと、今までの自分が否定してた事が現実になっても容認できる状況になるんですね。
年齢と共に気持ちや行動が変化する模様が今までの本の流れと一緒に感じられて、人間らしくてなんか安心しました。
寺地はるな「こまどりたちが歌うなら」
父の跡を継いで社長に就任した頼りない伸吾、誰よりも業務を知っているのに訳あってパートとして働く亀田さん。やたらと声が大きく態度も大きい江島さん、その部下でいつも怒られてばかりの正置さん、畑違いの有名企業から転職してきた千葉さん……。
それぞれの人生を歩んできた面々と働き始めた茉子は、サービス残業や女性スタッフによるお茶くみなど、会社の中の「見えないルール」が見過ごせず、声をあげていくが――。
一人一人違う”私たち”が関わり合い、働いて、生きていくことのかけがえのなさが胸に響く感動長編!
評価 6/10
今作は小さなお菓子メーカーに勤める人たちの人間関係のお話。
いとこが社長を継いだ会社に入社した主人公は、古い体質の会社の問題点を指摘して、その都度空気が悪くなる。
中小企業あるあるなんだけど、どうしても体質って変われないので、変なメスに入れようとすると人間関係がややこしくなるんですよね。
それでも言い続ける主人公の姿は素晴らしいけど、実際に会社にいたら面倒な人って煙たがられるタイプだろう。
「大丈夫?」は便利な言葉だけど、それだけじゃダメ。
人は目に見えている一面だけじゃなくて、どんな苦労をして生きているか分からないという事だけは常に思っておこうと改めて感じました。
原田マハ「スイート・ホーム」
地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、
腕利きだけれど不器用なパティシエの父、明るい「看板娘」の母、
華やかで積極的な性格の妹との4人暮らしだ。
ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。
さりげない毎日に潜むたしかな幸せを掬い上げた、
心にあたたかく染み入る珠玉の連作短編集。
評価 7/10
舞台は、宝塚市にある洋菓子店でそこの親子を中心に人生の岐路で愛の溢れる幸せをお裾分けしてもらえる様な心温まるストーリー。
お菓子が好きな人、料理が好きな人、キュンとしたい人にはおすすめ度高いよ。
人生上手く行ってないタイミングで読むと、辛くなるくらいに幸せそうな家族の姿があるので要注意。
今野敏「海風」
嘉永六年(一八五三年)六月、浦賀にその姿を現した四隻のアメリカ軍艦。強大な武力をもって日本に開国を求める艦隊司令長官・ペリーの対応に幕府は苦慮していた。
清国がイギリスとの戦争に敗れ、世界の勢力図が大きく変わろうとするなか、小姓組番士・永井尚志は、老中首座・阿部伊勢守正弘により、昌平坂学問所で教授方を務める岩瀬忠震、一足先に目付になっていた岩瀬の従兄弟・堀利煕とともに、幕府の対外政策を担う海防掛に抜擢される――。
強硬な欧米列強を前に、新進の幕臣たちが未曾有の国難に立ち向かう。
現代へと繋がる日本の方向性を決定づけた重要な転換期を描く幕末外交小説!
評価 7/10
警察小説のイメージしかなかった今野敏さんで、初めて読む歴史小説です。
黒船来航から開国までの日本で奔走する若き官僚たちを描いてるんですが、幕末には優秀な若者が沢山いるイメージなんだけど、歴史で覚えてた感じと全然違って非常に面白かったです。
黒船来航で待ったなしの日本の状況下で、立ち回る外交達の頭の良さは本当にすごかったんだろうね。
江戸幕府の保守的な状況下で、よくも変えてくれたと改めて思います。
改めて長崎という場所に興味を持てて、いつかじっくりと観光してみたい場所になりました。
ただこの話は、ここで終わるのか?って感じですんなり終わってしまったのが残念です。
上橋菜穂子「精霊の守り人」
チャグムの母・二ノ妃から、チャグムを守るよう依頼を受けたバルサは、幼ななじみの薬草師・タンダの元へ身を寄せる。そして、バルサとチャグムは、タンダとその師である呪術師のトロガイから驚くべきことを告げられるのだった ── チャグムに宿ったのは、異界の水の精霊の「卵」であること、孵化まで守らないと大干ばつがおこること、そして、異界の魔物がその「卵」をねらってやってくること ── 。
評価 6/10
出生から訳ありの女用心棒”バルサ”と冒頭から命を狙われる新ヨゴ皇国の第二皇子”チャグム”の出会いから始まる物語。
皇子には精霊の卵が産みつけられていて…。
ファンタジー作品って世界観を理解するまでに時間がかかる場合が多いのだけど、上橋さんは本当に分かりやすくて一気に入り込めます。
世界観もしっかりしていて、その国の歴史や民族の背景までしっかりと1冊でまとめられている。
「鹿の王」や「獣の奏者」が未読だったら★5かもしれないけど、現段階では後の作品の方がやっぱりすごいと思いました。
とりあえず全部読むのが楽しみです。
上橋菜穂子「闇の守り人」
数十年ぶりに生まれ故郷のカンバル王国にもどったバルサは、幼い自分を救い、育てた義父のジグロが、卑劣な反逆者にされていたことを知る。ジグロの汚名をすすごうとする中で、バルサは己の過去と向き合うことになる。
評価 7/10
「殺された者に名誉なんて関係ない、それは殺した者の言い訳だ」
守人シリーズの2作目を順調に読了です。
バルサの過去を知り、ジグロという男の想いを知る。
よりバルサの人間性を理解して、このファンタジーの世界の深みを感じられる内容で感動できでした。
悪人はどこの世界でも悪人だけど、この展開はほんとに哀しみがある。
最後の舞のシーンは印象的でしたね。
前作よりダークな内容でより深くこの世界に没頭できて好きな作品でした。
青崎有吾「地雷グリコ」
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
評価 8/10
高校生がグリコとか、じゃんけんみたいな簡単なゲームで戦う話なんですが、特殊ルールと、裏技的な面があってかなり頭を使う内容となってます。
勝負の理由は高校生なのに勝負の内容がレベル高すぎて、なかなか読んでて面白いんです。
めっちゃ頭を使うんだけど、使わなくても面白く読めるミステリー的な側面もあり、勝敗が決まったら「なるほど!」と納得。
短編て5つのゲームが小気味よく続いて、最後まで飽きさせず、期待させてくれましたね。
成瀬とは全然違うんだけど、同じ匂いのする主人公の性格で続編にも期待したいほどにまだ読みたいです。
朝井リョウ「生殖記」
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
評価 6/10
まずは、「生殖記」というタイトルの意味になるほど。
正欲の流れで期待していた感じでは無く、もっと哲学的にヒトという生物を観察した筆者の言葉が詰まっている感じはジワジワと来ます。
朝井リョウの言語化能力は、毎回恐るべしなんだけど、今作の語り方は人を選ぶ気もします。
生きる、働くに疑問を持っている方にはおすすめするけど、ちょっと前半がダレてて読むの疲れました。
柚木麻子「その手をにぎりたい」
と一念発起。東京に残ることに決めた。
お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
評価 6/10
バブル時代の作品は結構好きなんですが、銀座の寿司屋に通うバリキャリOLの話ってなかなか斬新でした。
旨そうな寿司のネタと職人の手が印象的で、決してドロドロしてないけど切ない感じの後味がなんともいえない読後感になります。
東野圭吾「架空犯」
焼け落ちた屋敷から見つかったのは、
都議会議員と元女優夫婦の遺体だった。
華やかな人生を送ってきた二人に
何が起きたのか。
評価 7/10
なんとあの「白鳥とコウモリ」の続編です。
「白鳥とコウモリ」は、東野さんの新たな代表作だと勝手に思っているので、期待させて貰うでしょう。
動機も真犯人も学生時代の過去にある…
一気読みの必須の気になる展開は、期待を裏切らずに最後まで面白かった。
今回は、読み終わったあとのタイトルの意味とか、カバーの写真とかなかなかいい感じでした。
稲垣えみ「人生はどこでもドア」
評価 6/10
53歳での仕事を辞めての一人旅。
しかも、観光地を目指すのではなく日本でやっていることをそのままやるという、暮らす様に旅をする14日間。
全然興味のなかった場所だけにとても興味深く読みました。
しかも、旅作で名所を巡らず、普通の暮らしをするって、考えたこともなくて斬新でした。
飛行機が遅れることから始まるドタバタ劇でしたが、現地の暮らし心地や仲良くなった人達との会話などすごくいい体験だなぁと学びになることが多かったです。
リヨンに江戸があった気づきが衝撃的でしたね。
冷蔵庫を使わずに毎日マルシェで新鮮な食材を買って調理する生活。
旅行が好きで、海外で生活してみたい方なんかにおすすめの1冊です。
お得に本を読むならこれがお勧め
オーディブル
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