2024年に読んだ本を紹介するコーナーです。
今年読んだ本をリアルタイムに更新しますので、今読んでる本や気になる本などの感想を参考にしてください。
読書記録と感想をどうぞ。
2024年に読んだ本全て紹介[おすすめ読書・感想]
凪良ゆう「星を編む」
「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
評価 9/10
名作「汝、星の如く」の続編。
北原先生の過去、編集者の苦悩の裏側、暁海と北原先生のその後を描いた物語は「汝、星の如く」の前後の話で繋がります。
周りにどう思われようと自分の人生の幸せを掴もうとして足掻いていく姿にとても感銘を受けました。
色んなことがある中で受け入れられる器の大きさも、人間力だなぁと‥。
瀬戸内の情景含め、この愛の物語を描き切った凪良先生の筆力は本当に素晴らしいですね。
今野敏「一夜 隠蔽捜査」
犯人も目的も安否もわからない中、竜崎はミステリ作家・梅林の助言も得ながら捜査に挑むことに。
劇場型犯罪の裏に隠された、悲劇の夜の真相とは――。
評価 6/10
大好きな隠蔽捜査シリーズ13作目が刊行されましたので早速購入して楽しみましたよ。
今回は、有名作家の誘拐事件。
犯人の要求がないまま時間だけが過ぎて、別の管轄では殺人事件が発生。
友人のミステリー作家がアドバイザーの立ち位置で竜崎に絡み、事件の行方はなかなか妙な方向に進んでいく…。
なんとなくわかりやすい真犯人と計画の内容でしたが、この作品の面白いところは事件の内容じゃなくて、事件を解決するまでの人間関係の絡み方ですよね。
多少のマンネリ感と顛末の分かりやすさはあれど、竜崎という人間を軸に展開していく過程に満足感があります。
次作では、そろそろ強烈なキャラの登場を願ってます。
町田そのこ「夜明けのはざま」
評価 7/10
死がテーマの重い作品かと思って買ったのにずっと放置してましたが、読んでみると仕事とか、人間関係の悩みに葛藤しながらも答えを模索する様が描かれていました。
特に30代前後の女性に突き刺さるエピソードや言葉が多いので、共感される方は泣けてしまうかも…。
「昔こういう気持ちあったよなぁ…」なんて言葉にできなかった気持ちが表現されていてすごく突き刺さりました。
色んな人の悩みに対してじっくりと向き合える時間の作れる作品です。
田内学「きみのお金は誰のため」
ひょんなことで知り合った投資銀行勤務の七海とともに、
謎めいた屋敷へと入っていく。
そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでおり、
「この建物の本当の価値がわかる人に屋敷をわたす」と告げられる。
その日からボスによる「お金の正体」と「社会のしくみ」についての講義が始まる。
評価 7/10
この本とにかく例がわかりやすくて、身近な事柄からお金の本質が再認識できる内容です。
改めて社会ってどうやって出来ているのかを考えられるし、自分たちもどう未来に対して行動できるのかっていうのを考えさせてくれます。
身近なお店や人への感謝を忘れずに行動したくなると思います。
東野圭吾「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち」
評価 6/10
マジシャン×ミステリーの相性は抜群なものがあるのですが、東野さんの描くキャラってシリーズ化を望む物になると一気にぶっ飛んでいて面白くなるんですよね。
今回は短編ってことを知らずに買ったので若干残念な気持ちになりましたが、連作短編的な要素があって、最後に腑に落ちるトリックが仕掛けられてます。
相変わらずただのマジシャンだとは思えないほど鋭すぎる叔父さん。
姪との会話も面白いし、事件の内容も東野さんらしい展開ではないようなものもあって、意外性がありました。
宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」
「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー(をやめたい)主婦、観光大使になるべくしてなった女子大生……。
個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!?
面白さ、ますますパワーアップの全5篇!
評価 7/10
りに干渉されてもひたすらマイウェイを突っ走る成瀬は高校でも、大学でも変わらないスタンスで、成瀬に出会った人も惹かれていく様は読んでいて爽快です。
順調に知名度が上がっていく話の流れが非常に面白かったです。
大津市を舞台にこんなローカルで面白い作品を生み出せるキャラ設定と作者の地元愛の強さが素晴らしいです。
ぜひ大学生活を描いた続編から、社会人編など期待しています。
梶山三郎「トヨトミの野望」
評価 8/10
誰もが知る世界のトヨタを題材にしたフィクション小説です。
8~90年台の企業としての成長の様子と、内部での覇権争いの様子があまりにも面白すぎて読む手が止まらなかったですね。
武田社長の剛腕ぷりが強烈で、特にアメリカで販路を広げるための政治的な戦略が非常に興味深かったです。
続編が三部作であるので、続きが気になって仕方がない作品。
梶山三郎「トヨトミの逆襲」
評価 7/10
シリーズ2作目。
世の中のEVカーへのシフトでゲームチェンジを迎えようとする自動車業界の様子がめちゃくちゃリアルに描かれています。
IT系の企業の参入やバッテリー問題なども含め、未来の話がメインになっているので余計にこれからどうなるのかが世の中のインフラとして考えるのも非常に面白いビジネス小説です。
梶山三郎「トヨトミの世襲」
評価 7/10
トヨトミシリーズ3部作の完結編。
このシリーズはフィクションのはずなんだけど、T社の情報を調べるほどにリアルな内情が暴露されているような作品です。
ただ1作目から話のスピード感は増しているのに、面白さは落ちていく感じは否めないかな。
エンタメ小説としても、ビジネス書としても学びのシリーズ作品でした。
瀬尾まいこ「ありがとう、さようなら」
給食で苦手な料理と格闘したり、生徒たちからの厳しいおしゃれチェックをなんとか切り抜けたと思えば、生徒会のやる気に感化されたり、合唱コンクールで胸がいっぱいになったり……。
奮闘する瀬尾せんせいと生徒たちのあたたかくてにぎやかな日常の合間に見える、それぞれの成長。「ありがとう」と「さようなら」がめまぐるしく襲ってくる学校という場所で過ごす日々は、瀬尾さんの作品世界すべてにつながる愛にあふれていた。
評価 6/10
中学校という現場ならではの子供達とのやりとりがあまりにも懐かしくて、自分の中学校時代の先生を思い出しながら読んでしまいました。
笑いもあれば、涙もあって、まさにタイトル通りの作品だと思います。
現実はこんなに温かい場面ばかりではないとも思うけど、大人になってからあの頃を振り返る作品としてもおすすめです。
柚木麻子「あいにくあんたのためじゃない」
評価 6/10
どれもタイトルがユニークで、内容も出てくる人々も結構リアルに居そうなあるあるが入っていて、確かに誰もが傍観者じゃいられなくなる感じが読者をゾクゾクさせるね。
「こんな人おるわぁ〜」って誰もが周りの人を想像したくなる作品だし、自分も気をつけなきゃ思ってしまう場面も多々…。
「商店街マダムショップは潰れないのか?」「パティオ8」が特にツボ。
桐野夏生「燕は戻ってこない」
評価 8/10
弱者と強者の貧困と搾取の話だと思っていたけど、それぞれには理由があって、悪意がないからタチが悪いんですよね。
色んな面で危うい行動をする主人公と、自分勝手な夫婦たちの心情の変化がほんとにリアルでしたね。
決して気持ちのいい話じゃないんだけど、その分人間の自分勝手さが出ていて最後の行動に繋がるんだろうと、主人公の人生を応援したくなるラストの描き方の見事さでした。
恩田陸「spring」
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。
一人の天才をめぐる傑作長編小説。
評価 5/10
恩田さんの最新作は、バレエの天才を描いた長編小説。
序盤の春のエピソードはすごく興味深く読めて、バレエ観たことのない人でも踊りがイメージ出来るのは流石の筆力。
ただ3章の作曲家のところで一気に分からなくなって失速‥。
ちょっと前提知識はあった方がいいのかなと思ってしまいました。
春をめぐって友人や恩師の目線で語られる物語は良かったんだけど、読む側の興味がどれだけついていけるかが今作は大事でした。
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