住野よる「青くて痛くて脆い」感想 青春の終わりの1ページは儚かった

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キミスイこと「君の膵臓をたべたい」が大ベストセラーとなり、社会現象を起こした人気作家住野よるさんの新刊「青くて痛くて脆い」を読みました。

たまたま本屋で表紙が気になったのだけど、読んでみたらまたやられた感じでした。

あまりにも見事な物語の構成と、ラストの心理描写や突き刺さる言葉の数々に思わず胸を打たれました。

あらすじや感想と合わせてどうぞ。

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住野よる「青くて痛くて脆い」

あらすじ

人に不用意に近づきすぎないことを信条にしていた大学1年の春、僕は秋好寿乃に出会った。
空気の読めない発言を連発し、周囲から浮いていて、けれど誰よりも純粋だった彼女。秋好の理想と情熱に感化され、僕たちは二人で「モアイ」という秘密結社を結成した。
それから3年。あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういない。僕の心には、彼女がついた嘘が棘のように刺さっていた。

「僕が、秋好が残した嘘を、本当に変える」
それは僕にとって、世間への叛逆を意味していた――。

感想 評価8/10

キミスイ読んだ時は、ラノベに少しミステリーなエッセンスが加わっただけの、若すぎる青春物語だなと思ってました。

結局それ以降は作品読んでなかったのですが、今回なぜか帯の言葉に惹かれて手に取った作品。

読み始めると大学生の話。

ただ、君を愛してる」みたいな始まり方。

そして、主人公は周りに距離を置き、秋吉は正義を貫こうとする。

周りに馴染めない2人は結託して秘密結社モアイを作るのだが突然、

あの時の笑った秋吉はもうこの世界にはいないけど」と言う文章で、実は過去だったと言う事が明かされる始まり。

また死ぬ物語なのか?と思いつつ読んでると4年生になった現在の話になり、そのモアイは誰かに奪われて変わってしまったという展開。

そこから友人を巻き込んでの、モアイをぶち壊す作戦を決行する物語が進む。

 

結果的にこの話は、主人公目線の一人称で語られる目線がや想いがそもそもトリックであった

しかも、秋吉はヒロと呼ばれるモアイのリーダーとなって、過去を生きる主人公の幻想の中では死んでしまって居た。(どこにも死んだとはそもそも書かれていないわけです。)

2/3を読んだ辺りから、やっぱりコイツの独りよがりだったんだと思う話の展開になり、秋吉と再会して全てが理解できた

終わらせて美化した。
そして勝手に失望した

ここからの心理描写がお見事すぎて胸を打たれました。

傷ついたから、傷つけていいなんて、はずがないのに。

・・・
人は人を間に合わせに使う。
誰しもが、誰かを必要な何かとして間に合わせに使う。
・・・
間に合わせに使われ傷ついたことが、相手を傷つけていい理由になんて、本当はならない。
・・・
必要とされてきたじゃないか。
僕だって声をかけてもらえて嬉しかったはずだ。
・・・
間に合わせって、つまり、心の隙間を埋められたってことだ。
心の隙間に必要としてもらえたってことだ。

抜粋してみたけど、あまりにも儚すぎて固まってしまった

朝井リョウの「何者」も大学生の葛藤や心境が見事に表現されてたけど、本書もそれに負けないくらい素晴らしい主人公の成長を感じられる物語でした。

成長って、弱い自分から目をそらすことじゃないと思うんだよ。

ちょっとずつだけど、怖いけど、っていうその「けど」っていうのの先に行けるようにいたいんだよね。

なんかいっぱい勇気を貰えた小説であり、過去の色んな経験を乗り越えて生きて行く事が大切なんだと、改めて身に沁みて思いました。

キミスイはあまり印象に残らなかったけど、これはかなりオススメできますね。

 

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